中学生になってから学校に行けなくなった。フリースクールやオンラインの学習を出席扱いにできると聞いたけれど、それで高校受験は本当に変わるのか。「中学生 出席扱い」と検索した方へ、先に答えを書きます。
中学生の出席扱いは、欠席日数を減らすためだけの制度ではありません。指導要録に「学んでいた記録」が残り、それが調査書と評定の土台になります。 ただし、出席扱いになれば内申点が自動で付くわけではないので、そこは分けて考える必要があります。
この記事では、出席扱いの記録が指導要録・通知表・調査書のどこに載るのか、内申点との関係、都道府県で違う調査書の扱い、そして中1・中2・中3それぞれの進め方に絞って整理します。出席扱いの要件そのものは別の記事に任せ、ここでは中学生の実務だけを扱います。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は約10年間の不登校を経験しました。当時はフリースクールで学び、現在は不登校の専門家として本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしてきました。
中学生の出席扱いはどこに記録されるのか。指導要録から調査書まで
出席扱いは、文部科学省の令和元年10月25日の通知に基づく仕組みです。義務教育段階の不登校の子が、学校外の施設で相談や指導を受けている場合や、自宅でICTを使った学習をしている場合に、在籍校の校長の判断で指導要録上の出席として扱えます。[1]
ここで大事なのは「指導要録上の」という言葉です。指導要録は学校が生徒ごとに作る公式の記録で、出欠の記録と学習の記録が載っています。出席扱いになると、出欠の記録に出席扱いとした日数が入り、備考として通っていた施設名などが書き添えられます。
調査書は、この指導要録をもとに中学校が高校へ提出する書類です。つまり出席扱いの記録は、指導要録を経由して調査書に反映される、という流れになっています。通知表に載る評価も同じ指導要録が元になっています。
同じ通知には、学校外の学習の計画や内容が教育課程に照らして適切なら、その評価を指導要録に記入し、通知表などで本人や保護者に伝えることが「学習意欲に応え、自立を支援する上で意義が大きい」と書かれています。[2] 出席扱いは、日数を数えるだけの制度ではなく、学びの中身を記録に残す制度です。
出席扱いになるための要件と、学校外の学習の2つの型については、こちらの記事で解説しています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
出席扱いと内申点は別の仕組み。評定はどう付くか
ここで多くのご家庭が誤解するのが、「出席扱いになれば内申点が付く」という思い込みです。出席扱いは出欠の記録の話で、内申点は各教科の評定の話です。評定は、定期テストや提出物、レポートなどの学習の成果を教科ごとに評価して付きます。
出席扱いになっても、教科の学習の成果が学校に届いていなければ、評定は「評価できない」となることがあります。逆に、出席扱いが認められていなくても、別室で定期テストを受けたり、課題を提出したりすれば評定が付くことはあります。
だから出席扱いの手続きと同時に、学習の記録を学校に届ける仕組みを作っておく必要があります。オンラインの学習なら学習時間と単元の記録、フリースクールなら活動報告書がそれにあたります。この記録が、指導要録の学習の記録を埋める材料になります。
内申点がない、あるいは低い状態で高校受験をどう組み立てるかは、こちらの記事で解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
>>学習記録を学校に届けやすいオンラインフリースクールの学び方を見る
調査書の出欠欄は都道府県で違う。記載しない県が増えている
「調査書に欠席日数が載って不利になるのでは」という心配については、都道府県ごとの事実を知っておくと落ち着いて考えられます。文部科学省が公立高校の入試を毎年調べている令和7年度の状況調査では、調査書に出欠の記録を求めない都道府県が10ありました。[3]
たとえば京都府は、出席日数で不利に扱われるのではないかという懸念をなくすために、調査書の出欠の記録欄を削除しています。北海道は、不登校の生徒に限らず出欠の記録を選抜の資料として用いないと説明しています。東京都の調査書の様式にも出欠の欄はありません。
一方で、出欠の記録を残している県もあります。同じ調査で千葉県は、令和7年度の入試では、出席扱いとした場合に調査書の欠席の主な理由の欄へ出席扱いとした日数と施設名を記入する運用でした。この形なら、出席扱いの記録は「学校外で学んでいた証拠」として高校に伝わります。
さらに多くの都道府県で、欠席が多い理由を本人が説明する自己申告書の提出が認められています。青森県や栃木県のように「いずれかの学年で欠席30日以上」といった目安を示している県もあります。お住まいの都道府県の実施要項は年度ごとに変わるので、中3の秋までに教育委員会のページで確認してください。
つまり出席扱いの価値は、都道府県によって「欠席日数を減らすこと」ではなく、「学んでいた事実を記録として残すこと」に軸が移っています。どちらの県であっても、記録が残っていることが受験で不利にならない条件です。
中学生の出席扱いの進め方。学年ごとに違う時間軸
令和6年度の文部科学省の調査では、中学生の不登校は216,266人で、1年間の新規は83,409人でした。[4] 珍しいことではないので、手続きも学校側は経験しています。進め方は学年で変わります。
- 中1・中2 急がなくて大丈夫です。まず担任か教育相談の担当に「学校外の学習を出席扱いにできる制度について相談したい」と伝え、学習の記録をどんな形で出せばよいかを聞きます。記録の形式を早めにそろえておくと、翌年度以降が楽になります
- 中3の2学期 ここが実質の締切です。調査書は多くの地域で12月から1月に作られるため、2学期以降に出席扱いを申し出ても、その年度の記録に反映されないことがあります。夏休み前までに校長判断まで進めてください
- 中3の3学期以降 出席扱いが間に合わなくても、自己申告書や面接で学校外の学習を伝える道があります。出席扱いの申請と並行して、志望校の入試方式を先に確認します
どの学年でも共通するのは、「出席扱いにしてください」ではなく「学校外でこういう学習をしていて、記録はこの形で出せます」と、材料を持って相談することです。校長が判断するための材料を家庭が用意する、という順番になります。
面接で欠席日数をどう説明するかは、こちらの記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
出席扱いを取る本当の意味。日数ではなく、子どもの自己認識が変わる
制度の話を続けてきましたが、僕が出席扱いをすすめる理由は、受験の損得だけではありません。
僕自身、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。それまでは、平日の昼間に家にいる自分を、どこかで責めていました。
通知表に自分の学びが載る。それは子どもにとって「学校に行っていない自分」が「別の場所で学んでいる自分」に変わる体験です。中学生は、自分がどう見られているかに敏感な年齢です。この自己認識の変化が、高校進学へ向かうエネルギーになります。
だから出席扱いの手続きが終わったら、通知表が届いた日に、その記録を本人と一緒に見てください。「あなたの学びは学校にも認められている」と伝えられる、数少ない具体的な場面です。
クラスジャパン小中学園という選択肢
中学生が自宅から学びながら出席扱いの記録を残していく場所として、僕たちはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」を運営しています。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度があり、その運用はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきました。学習の記録を学校に届ける形が整っているので、この記事で書いた「校長が判断するための材料」を家庭だけで用意する必要がありません。
ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。中3なら志望校と調査書の時期を見ながら、どの単元をいつまでに進めるかを担任と一緒に決められます。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
オンラインで学ぶ中学生が高校受験に間に合うかどうかは、こちらの記事で学年別に解説しています。
>>オンラインフリースクールで中学生は高校受験に間に合う?出席扱い・内申・学習の実際
今日できる一歩
今日できる一歩として、お子さんがいま学校の外でしている学習を、1週間分だけ紙に書き出してください。何を、どのくらいの時間、どんな教材でやったか。それが出席扱いの相談に持っていく最初の材料になります。
学校への連絡はまだしなくて大丈夫です。材料が1週間分そろってから、担任に「学校外の学習の記録を出席扱いの相談に使いたい」と一言伝えるだけで、話は前に進みます。
>>中学生の不登校は約15人に1人|中1・中2・中3で違う原因と、内申・高校受験への影響【2026年最新】
まとめ
中学生の出席扱いは、指導要録に学校外の学びの記録を残す制度です。その記録が調査書と評定の土台になります。ただし出席扱いと内申点は別の仕組みで、評定には教科の学習の成果を学校に届ける必要があります。
調査書の出欠欄は都道府県で扱いが違い、令和7年度の入試では出欠の記録を求めない都道府県が10ありました。中1と中2は記録の形を整える時期、中3は1学期が実質の締切です。そして出席扱いの一番の意味は、子どもが「別の場所で学んでいる自分」を認められる体験にあります。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
中学生が出席扱いになると、内申点も付きますか?
出席扱いと内申点は別の仕組みです。出席扱いは指導要録の出欠の記録に関するもので、内申点は各教科の評定です。
評定は定期テストや提出物、レポートなどの学習の成果をもとに付くため、出席扱いになっても学習の記録が学校に届いていなければ評価できない場合があります。学習の記録を学校に届ける形を整えることが必要です。
出席扱いの記録は高校の調査書に載りますか?
出席扱いの記録は指導要録に残り、調査書はその指導要録をもとに作られます。ただし調査書の出欠欄の扱いは都道府県で違い、文部科学省の令和7年度の調査では出欠の記録を求めない都道府県が10ありました。
出欠欄がある県では、出席扱いとした日数や施設名が記載される運用の例があります。お住まいの都道府県の実施要項で確認してください。
中3から出席扱いを申し出ても間に合いますか?
調査書は多くの地域で12月から1月に作られるため、中3の1学期が実質の締切です。夏休み前までに校長判断まで進めることをおすすめします。2学期以降に間に合わなかった場合も、多くの都道府県で欠席が多い理由を説明する自己申告書の提出が認められているほか、面接で学校外の学習を伝える道があります。
出典
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日(別記1・別記2) ページ 本文へ戻る
- 同通知「3 教育委員会の取組の充実(6)学校外の施設で指導を受けている場合の学習状況の把握」 ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」令和8年2月17日更新版 PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要(不登校抜粋版)」 PDF 本文へ戻る
