フリースクールを立ち上げたい。でも何から手をつければいいのかわからない。そんな方に向けて、開業までの流れと、開業してから実際に詰まるところを整理します。
先に結論です。フリースクールの立ち上げに資格や許認可は要りません。だから「始めること」自体のハードルは、思っているよりずっと低いです。
本当に難しいのはその先です。教材をどうするか、生徒がどう集まるか、在籍校に出席扱いにしてもらえるか、そして一人で抱え込まないか。この4つで止まります。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は約10年間の不登校を経験しました。当時はフリースクールで学び、18歳で起業しています。今は対面やオンラインのフリースクール、通信制高校の連携施設を運営する立場です。
この記事の最後に、僕たちが持っている運営の仕組みをお貸しする話を書きます。教材、探究学習のプログラム、全国のつながり、広報です。作りたい人が一人で全部揃えなくていいように、という提案です。
立ち上げに資格や許認可は必要か
必要ありません。フリースクールには法律上の設置基準がなく、学校のような認可の手続きもないためです。
背景にあるのが、平成28年(2016年)に成立した「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」、いわゆる教育機会確保法です。不登校の子が行う多様な学習活動への支援が基本理念に置かれ、国・地方公共団体・民間団体が連携して進めることが定められました。[1]
つまり民間が担うことが前提になっている領域です。教員免許も必須ではありません。
ただし、これは裏返すと「何を満たせば良いフリースクールなのか」を誰も教えてくれないという意味でもあります。基準がないぶん、設計は全部自分で決めることになります。
国の調査が示す、フリースクールの現実的な規模
規模感を持たずに始めると、計画が現実とずれます。文部科学省が平成27年(2015年)に全国の民間の団体・施設を対象に行った調査が、いまも一次データとして使えます。474件に送付し、319件が回答しています。[2]
数字を並べます。
- 在籍者は1施設あたり平均13.2人 義務教育段階の子どもの数。1〜5人の施設が41.6%で、20人以下が全体の8割強
- 会費(授業料)は月額の平均が約3万3千円 1〜3万円が38.2%、3〜5万円が36.3%
- 有給で週5日以上勤務するスタッフは平均2.8人 「有給・週5日以上の勤務者はいない」施設が29.1%
- 95%が常設の施設を持っている そのうち約6割が民間の物件を借用、約3割が自己所有、約1割が公共施設の借用
掛け算してみてください。13人×3万3千円で、月の会費収入は40万円台です。ここから家賃と人件費が出ていきます。
フリースクールは、小さな規模で始まり、小さな規模のまま続く事業だということです。[2] これを知らずに「まず広い物件を借りて職員を雇う」と組み立てると、最初の1年で息が切れます。
立ち上げの流れ
順番として整理すると、こうなります。
- 誰のための場所かを決める 対象の学年、受け入れる状態、通所かオンラインか。ここが曖昧なまま物件を探すと迷走する
- 運営の形を決める 先の調査ではNPO法人が45.8%、法人格のない任意団体が21.9%、個人が9.7%、株式会社などの営利法人が8.5%でした。助成金を狙うならNPO法人、動きの速さを取るなら個人や株式会社という選び方になります[2]
- 場所を決める 自宅の一室から始める人もいます。公共施設の借用は費用を抑えられますが、曜日と時間の制約が付きます
- 中身を決める 何をする場所なのか。個別の学習、体験活動、相談。ここが後述する最初の壁です
- 在籍校と自治体に挨拶する 開業前に済ませておくと、出席扱いの相談がずっと進みやすくなります
お金の面では、物件の取得費と備品で数百万円が目安になります。自治体が運営者向けの補助金を出している例もありますが、金額と要件は自治体ごとに違うので、開業予定地の都道府県と市区町村に直接確認してください。
開業してから本当に詰まる4つのこと
ここが本題です。立ち上げの手続きより、このあとのほうが難しいです。
学習教材を自分で用意しなければならない
先の調査では、団体やスタッフが独自に作成・用意した教材を使っている施設が72.8%でした。教科書が77.3%、市販の教材が78.9%です。そして学習カリキュラムを決めている施設は49.7%、決めていない施設が50.3%と、ほぼ半分に割れています。[2]
つまり、多くの現場が教材を手作りしています。これは開業後にいちばん時間を奪われる仕事です。子どもと向き合う時間を、教材づくりに削られていきます。
生徒が集まらない
規模の数字を思い出してください。1〜5人の施設が41.6%です。[2] 開業しても、しばらくは数人のままという現実があります。
保護者は「知られていない場所」に子どもを預けません。理念の良さは、伝わらなければ選ばれません。ここで広報の力が要ります。
出席扱いにしてもらえない
これは見過ごされがちですが、経営を左右します。同じ調査で、在籍校で出席扱いになっている子の割合は55.8%でした(小学生52.9%、中学生58.1%)。[2]
裏を返せば、4割以上は出席扱いになっていないということです。出席扱いになるかどうかは、保護者が施設を選ぶときの最大の判断材料のひとつです。ここを実現できる施設と、できない施設で、選ばれ方が変わります。
出席扱いの要件そのものは、こちらの記事に文部科学省の通知をもとにまとめています。開業前に一度読んでおいてください。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
相談できる相手がいない
有給で週5日以上働くスタッフがいない施設が29.1%です。[2] つまり実質ひとりで運営している場所が、決して珍しくないということです。
対応に迷う場面は必ず来ます。そのときに聞ける相手がいるかどうかで、続くかどうかが変わります。
>>フリースクールの立ち上げについて相談する(クラスジャパン小中学園)
僕が現場で見てきたこと
数字の話が続いたので、ひとつだけ現場の話をします。
半年間ひとことも話さなかった子が、eスポーツの大会の日に初めて声を出しました。保護者が泣いていました。
こういう瞬間のために、この仕事をやっています。そしてこの瞬間は、教材づくりや集客に追われて疲れ切っている状態では、たぶん見逃します。 だから運営の負担は、外から借りられるところは借りたほうがいいと思っています。
クラスジャパンの仕組みをお貸しします
僕たちが運営しているオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」は、2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
その過程で作ってきた運営の仕組みを、これからフリースクールを立ち上げたい方にお貸しします。 お渡しできるのは次の4つです。
- 学習教材の提供 手作りに時間を取られず、開業初日から使える教材が揃う
- さまざまな探究学習プログラム 子どもの興味から広げる活動を、企画ゼロから考えなくてよくなる
- 全国のコミュニティへのアクセス 同じことをしている運営者とつながる。ひとりで判断しなくてよくなる
- 広報サポート 「知られていない場所」の状態から抜け出すための支援
先ほど挙げた4つの壁に、そのまま対応しています。理念と、子どもと向き合う時間はあなたのものにして、仕組みの部分は借りてください。
フリースクールを立ち上げたいとお考えの方は、ぜひご連絡ください。いまの構想がどの段階でも構いません。
>>info@cjgakuen.com にご連絡ください(クラスジャパン小中学園)
今日できる一歩
開業予定地の市区町村の教育委員会に電話して、「市内のフリースクールの一覧に載せてもらえるか」だけ聞いてみてください。
多くの自治体が、不登校の保護者に向けて民間施設の情報を提供しています。載せてもらえるなら、それが開業後いちばん確実な集客経路になります。載せる条件があるなら、それは自治体が施設に何を求めているかの答えでもあります。
物件を探す前に、この電話を1本かけておくと、設計が変わります。
まとめ
フリースクールの立ち上げに資格や許認可は要りません。教育機会確保法で、民間が担うことが前提の領域になっています。
一方で規模は小さいです。国の調査では在籍者は1施設あたり平均13.2人、会費は月額平均約3万3千円、有給で週5日以上働くスタッフは平均2.8人でした。ここを現実として設計してください。
そして詰まるのは手続きではなく、教材、集客、出席扱い、孤独の4つです。ここは自分で全部揃えなくても、借りられます。
よくある質問
フリースクールの立ち上げに資格や許認可は必要ですか?
必要ありません。フリースクールには法律上の設置基準がなく、学校のような認可の手続きもないためです。教員免許も必須ではありません。
平成28年(2016年)に成立した教育機会確保法では、不登校の子どもが行う多様な学習活動への支援が基本理念に置かれ、国・地方公共団体・民間団体が連携して進めることが定められています。民間が担うことが前提の領域です。
ただし基準がないということは、何を満たせば良い施設なのかを誰も教えてくれないという意味でもあります。中身の設計はすべて自分で決めることになります。
フリースクールは経営として成り立ちますか?
規模は小さいものとして設計する必要があります。文部科学省が平成27年(2015年)に行った全国調査では、義務教育段階の在籍者は1施設あたり平均13.2人、会費は月額の平均が約3万3千円でした。
在籍者が1〜5人の施設が41.6%、20人以下が全体の8割強です。有給で週5日以上勤務するスタッフは平均2.8人で、そうしたスタッフがいない施設も29.1%ありました。
月の会費収入が40万円台という前提で、家賃と人件費を組み立てることになります。最初から広い物件と複数の職員を想定すると続きません。
開業してからいちばん苦労するのは何ですか?
教材、集客、出席扱い、相談相手のいない状態の4つです。
同じ調査では、団体やスタッフが独自に作成した教材を使う施設が72.8%、学習カリキュラムを決めている施設は49.7%でした。教材づくりが時間を奪います。また在籍校で出席扱いになっている子の割合は55.8%で、4割以上は出席扱いになっていません。
クラスジャパン小中学園では、これから立ち上げたい方に向けて、学習教材の提供、さまざまな探究学習プログラム、全国のコミュニティへのアクセス、広報サポートを行っています。関心のある方は info@cjgakuen.com までご連絡ください。
出典
- 文部科学省「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)」 ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査」平成27年8月5日 PDF 本文へ戻る
