子どもが学校に行けなくなったとき、多くの保護者の方が気になるのが「このまま欠席が積み重なって、進路に影響しないだろうか」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、学校に登校しなくても、フリースクールや自宅での学習を在籍校の「出席」として認めてもらえる制度があります。 そして那覇市には、すでにその承認事例があります。
那覇市は、教育委員会が「一定の要件を満たせば出席扱いにできる」と公式に回答し、各学校の校長先生に周知している街です。さらに沖縄県には、在籍校が出席扱いを認めたフリースクールに通う子の通学費を支援する制度があります。
この記事では、那覇市の出席扱いの進め方、県の通学費支援、市の自立支援教室「きら星学級」「むぎほ学級」の使い方までまとめてお伝えします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
不登校の専門家として言えるのは、出席扱いの制度と地域の支援を知っているかどうかで、不登校になった後の選択肢は大きく変わるということです。
那覇市で実際に出席扱いが認められた事例
まず知っていただきたい事実からお伝えします。
那覇市内の学校で、フリースクールに入会したあとすぐに活動レポートを学校へ提出することで、出席扱いが認められた事例があります。
「うちの子の学校でも認めてもらえるのだろうか」と不安な方は多いと思います。ただ、那覇市にはすでに前例があります。前例があるということは、学校側にとっても判断しやすいということです。
市の姿勢も公式に確認できます。那覇市の電子相談システムに寄せられた「自宅学習やフリースクールを出席扱いにしてほしい」という声に対し、市の学校教育課は2024年3月にこう回答しています。[1]
学校外の施設で相談・指導を受けている不登校の子どもについて、一定の要件を満たせば指導要録上の出席扱いにできると文部科学省が示しており、市教育委員会は子どもの利益を最優先に、各学校の校長先生へ周知している、という内容です。
つまり那覇市では、出席扱いは「学校が知らない制度」ではありません。校長先生に伝わっている前提で、保護者から相談を切り出せる状態です。判断するのは在籍校の校長先生なので、まず担任の先生に話を上げてもらいます。
そもそも「出席扱い」とは
出席扱いとは、学校に登校していなくても、自宅やフリースクールでの学習を在籍校の出席として認めてもらえる制度です。文部科学省が要件を示しており、最終的には在籍校の校長先生が判断します。[2]
ポイントは大きく4つあります。
- 保護者と学校の連携 担任の先生と定期的にやりとりできている状態が前提になります。
- 計画的な学習プログラム ICT教材やフリースクールでの活動がこれにあたります。
- 訪問等による対面指導 自宅で学ぶ場合は、先生の家庭訪問や面談など、対面のやりとりが定期的にあることが求められます。
- 学習状況の把握 活動レポートや学習記録を提出し、学校が状況をつかめるようにします。
つまり「なんとなく家で勉強している」ではなく、記録を残して学校と共有し、先生とも顔を合わせる仕組みさえあれば、出席扱いは十分に目指せます。
ICT教材での出席扱いの進め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>ICT教材やタブレット学習を出席扱いにする方法。フリースクールとの違いもわかりやすく解説
なぜ出席扱いが重要なのか
第一に挙げられるのは、進学や受験への影響です。欠席日数が内申に響くのではないかという不安は、多くの保護者の方が抱えるものだと思います。
ただ、この影響は昔に比べると小さくなってきています。受験の合否判定で出席日数を考慮しない自治体が増えてきているためです。
だからこそ僕は、もうひとつの視点をお伝えしたいです。
僕自身、不登校の当時はフリースクールに通っていた当事者です。当時は、学校に行っていない自分への否定的な気持ちや「このままでいいのかな」という不安がずっと心のどこかにありました。
でも、フリースクールでの学びが出席扱いになったことで、自分がやっていることを学校が認めてくれた。 「これでいいんだ」と思えるようになったんです。その結果、少しずつ自己肯定感が高まっていきました。
出席扱いは、単に欠席日数を減らすための制度ではありません。学校の外での学びも認められているという安心感を子どもに届けられる制度です。だからこそ僕は、出席扱いを大事にしてほしいと思っています。
沖縄県は、この制度が特に大きな意味を持つ地域でもあります。県教育委員会の報告によると、令和5年度の県内の小・中学校の不登校の子どもは7,013人で、児童生徒1,000人あたり46.5人です。[3]
クラスに1人か2人は学校に行っていない子がいる計算になります。珍しいことではないからこそ、学校の外での学びをどう認めてもらうかが、那覇市の家庭にとって現実的なテーマになっています。
出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールについては、こちらで学び方を紹介しています。
那覇市での進め方。実例ベースの4ステップ
実際に承認された事例をもとに、流れを整理します。
- フリースクールや教材を決める 出席扱いの実績があるところを選ぶと話が早く進みます。学校への説明資料や連携の型をすでに持っているためです。
- 担任の先生に相談する いきなり交渉するのではなく、「文科省の通知に沿って、フリースクールでの活動を出席扱いにできないか相談したい」と伝えるのがスムーズです。那覇市では市教育委員会が校長先生に制度を周知しているので、この一言で話が通じやすくなります。
- 活動レポートを提出する 那覇市の事例では、入会後すぐにレポートの提出を始めたことが承認の決め手になりました。日付、取り組んだ内容、時間、本人の様子の4点がそろっていれば十分です。
- 出席扱いが承認される その後も定期的にレポートを共有し、学校との連携を続けていきます。年度が替わって担任の先生や校長先生が替わることもあるので、これまでのレポートは手元にも残しておいてください。
レポートに何を書けばよいかは、こちらの記事にまとめています。
>>出席扱いに必要な学習記録はどう書く?学校に渡す内容と、親が書かなくて済む仕組み
もし学校の反応が鈍かったときの動かし方は、こちらです。
>>出席扱いを学校に断られたときはどうする?校長判断を動かす3つの材料
那覇市の補助金。利用料の補助はなく、県の通学費支援は「出席扱い」が条件
お金の面も正直にお伝えします。那覇市には、2026年9月時点で、フリースクールの利用料そのものを保護者に補助する市独自の制度はありません。
先ほどの電子相談への回答でも、市の教育相談課は「フリースクールへの補助については、全国的な実施状況などを踏まえて調査研究していく」という趣旨で答えています。制度がないことを市が公式に説明している、という段階です。
一方で、沖縄県には別の形の支援があります。県の「高校生バス通学費等支援事業」の中に、在籍校が出席扱いとするフリースクールへの通学費支援という枠があります。[4]
対象は中学生と高校生で、次の2つの両方にあてはまる子です。
- 世帯の要件 住民税所得割の非課税世帯、児童扶養手当の受給世帯、家計急変で同程度の収入と見込まれる世帯のいずれか
- フリースクールの要件 在籍校の校長先生が、そのフリースクールで相談・指導を受けている日を指導要録上の出席扱いとしていること
支援の内容は、バスとモノレールの通学費で、交通系ICカードのOKICAが交付されます。利用料そのものの補助ではないこと、小学生は対象に入っていないことには注意してください。
ここが那覇市の家庭にとって大事な点です。県の通学費支援は、出席扱いが認められていることが申請の条件になっています。申請書類にも、在籍校の校長先生が出席扱いとしていることがわかる書類が含まれます。
つまり那覇市では、出席扱いの手続きを進めることが、そのまま県の支援の入口になります。出席扱いと支援制度は、別々に考えるのではなく、セットで動くのが近道です。
申請は随時受け付けていて、毎月5日までの申請で翌月1日からOKICAが使えます。問い合わせ先は、公立の学校に在籍している場合は県教育庁の教育支援課(098-866-2116)、私立の場合は総務私学課(098-866-2074)です。
制度の詳しい条件と申請先は、記事末の出典に挙げた沖縄県のページで確認できます。年度によって内容が変わることがあるので、申請前に最新の案内を確認してください。
なお、沖縄県は令和8年度に「フリースクール等に通う児童・生徒等の実態把握調査」を実施しています。県として支援を検討する入口に立った段階です。[5]
沖縄県内のフリースクールと支援制度は、こちらの記事で市町村別に紹介しています。
>>沖縄県のフリースクールと補助金一覧。市区町村別に紹介します【2026年最新】
那覇市で利用できる2つの選択肢
選択肢1:自宅で学べる「オンラインフリースクール」
「まだ外に出るエネルギーがない」というお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」という選択肢があります。
自宅にいながら、ネットの先生(担任)が伴走し、学習や生活リズムをサポートします。2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちを支えてきた実績があり、一定の要件を満たし校長先生が認めれば在籍校の出席扱いとなる仕組みも整っています。
出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきた取り組みなので、学校との連携もスムーズです。
那覇市は沖縄本島の南部にあり、市内の移動はモノレールとバスが中心です。小学生は県の通学費支援の対象外で、市内で通える民間の居場所も限られています。那覇市の中高生の居場所としては、松川にあるNPO法人ちゅらゆいの中高生の居場所kukuluがあります。
通う場所が近くにない、あるいは毎日の移動が負担になるという家庭にとって、自宅から始められるオンラインフリースクールは現実的な選択肢になります。
学習面では最先端のAIサポートを取り入れているのも特徴です。生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIが、わからない場面で答えをすぐに教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定があるので、安心して使えます。
選択肢2:仲間と過ごせる「明光フリースクール」
外に出て仲間と過ごしたいお子さんには、明光義塾がつくる明光フリースクールがあります。2026年9月時点で沖縄県内に校舎はまだありません。九州では福岡市内で校舎の開校準備を進めている段階です。
那覇市から通える距離ではないので、那覇市のお子さんにはまずオンラインのクラスジャパン小中学園をおすすめしています。
明光フリースクールでは、学び直しのサポートに加えて、プログラミングやeスポーツなど、子どもが「楽しい」と思えるコンテンツを用意しています。学校ではないけれど、仲間と過ごしながら通う場所として機能します。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になった実績も他の地域で多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
那覇市の公的な相談窓口も知っておこう
フリースクールとあわせて、那覇市の公的な支援も知っておくと安心です。
那覇市で不登校の相談と支援を担当しているのは、市教育委員会の教育相談課です。場所は那覇市松山2-22-1の那覇市津波避難ビル2階・3階で、電話は098-941-7868です。心理士、教育相談員、指導主事が、子ども本人、保護者、先生からの相談に応じています。[6]
自立支援教室「きら星学級」「むぎほ学級」
那覇市の適応指導教室(教育支援センター)にあたるのが、教育相談課が運営する自立支援教室「きら星学級」と「むぎほ学級」です。[7]
対象は、不登校や登校しぶりの状態にある小中学生です。市の資料では、登校しぶりを「10日以上30日未満の欠席」と具体的に示していて、欠席が30日に届く前の段階から使える教室だとわかります。
市は、日中の居場所を確保して個別の支援を行い、社会的自立に向かえるようにさまざまな活動を体験させることを目的としています。市の資料には、絵を描く創作活動や調理実習の様子が紹介されています。
「あけもどろ学級」と学習支援室「てぃんばう」
自立支援教室のほかに、教育相談課には「あけもどろ学級」があります。心理的・情緒的な不安が要因で登校できない子が対象で、教育相談を継続するなかで、状況に応じて集団活動、教育相談、学習指導を組織的に行う教室です。
まず教育相談課で相談を始め、必要があれば担当者との定期的な面接(継続相談)に進み、その状況によってあけもどろ学級につながる、という流れになっています。
さらに、学習支援室「てぃんばう」では、学習支援員が不登校の子どもの学習を支えています。中学校を卒業してから高校進学を目指す青少年の入試に向けた学習支援も行っていて、学びの遅れが気になる家庭には心強い場所です。
学校の中の支援員と、相談の入口
那覇市はすべての市立小中学校に教育相談支援員を配置していて、不登校や不登校傾向の子どもと保護者の相談・支援にあたっています。教室に入りづらいときは、担任の先生に「教育相談支援員の方と話せますか」と聞いてみてください。
相談の入口は次のとおりです。
- 青少年ダイヤル「なは」 098-941-7867。平日9時から17時(12時から13時を除く)。不登校、素行や問題行動、情緒・行動面、学業や進路の相談ができ、子ども本人からの電話も受け付けています。時間外は留守番電話です[8]
- 教育相談課の来所相談 098-941-7868。予約制なので、先に電話をかけます。自立支援教室の見学もここから相談できます
- 沖縄県立総合教育センター 教育相談「てるしの」 098-933-7537。県の教育相談窓口で、電話相談と予約制の来所相談があります
- ソラエなは 098-943-5335。那覇市首里石嶺町4-373-1の沖縄県総合福祉センター西棟3階。0歳からおおむね39歳までの子ども・若者と家族が対象で、不登校やひきこもりの相談を受けています
自立支援教室の利用は、在籍校と教育相談課の両方に話を通しておくと進みやすくなります。担任の先生には「市の自立支援教室を考えている」と伝え、教育相談課には来所相談の予約を入れる、という2本立てで動いてみてください。
教育支援センターの通い方や費用の考え方はこちらの記事で、沖縄県内の相談窓口はこちらの記事で詳しく紹介しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
>>沖縄県の不登校相談窓口一覧。無料で頼れる公的・民間の相談先【2026年最新】
公的な教室とフリースクールは、どちらかを選ばなければいけないものではありません。お子さんの状態や相性に合わせて、複数の選択肢を並行して検討してみてください。
まとめ。那覇市は「出席扱い」が県の支援の入口になる街
出席扱いは校長先生の判断で決まるため、前例があるかどうかが大きく影響します。那覇市にはすでに承認事例があり、市教育委員会も、要件を満たせば出席扱いにできることを各学校の校長先生に周知していると公式に回答しています。
市独自のフリースクール利用料の補助はありませんが、沖縄県の通学費支援は、在籍校が出席扱いを認めたフリースクールに通う中高生が対象です。出席扱いの手続きが、そのまま県の支援の入口になります。
公的な居場所としては、自立支援教室「きら星学級」「むぎほ学級」、あけもどろ学級、学習支援室「てぃんばう」があり、入口はすべて教育相談課です。
今日できる一歩として、連絡帳や学校への連絡メールに「学校の外での学びを出席扱いにできないか、文科省の通知に沿って一度相談させてください」と一文書いてみてください。那覇市では校長先生に制度が周知されているので、この一文から話が始められます。
学校に行かない期間があっても、学びと出席、そしてお金の心配を減らす方法はあります。完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。僕の公式LINEでは不登校に関する情報発信や無料相談を行っています。
よくある質問
那覇市で不登校の出席扱いは認められますか?
那覇市内の学校で、フリースクール入会後すぐに活動レポートを学校へ提出することで出席扱いが認められた事例があります。
那覇市教育委員会も、文部科学省の示す一定の要件を満たせば出席扱いにできることを各学校の校長先生に周知していると公式に回答しています。最終的に判断するのは在籍校の校長先生なので、まず担任の先生に相談してください。
那覇市にフリースクールの補助金はありますか?
2026年9月時点で、那覇市には利用料そのものを保護者に補助する市独自の制度はありません。
一方、沖縄県には、在籍校が出席扱いとするフリースクールに通う中高生を対象に、バス・モノレールの通学費を支援する制度があります。
住民税所得割の非課税世帯などの世帯要件があり、小学生は対象外です。問い合わせは県教育庁教育支援課(098-866-2116)です。
那覇市の適応指導教室(教育支援センター)はどこにありますか?
那覇市で適応指導教室にあたるのは、市教育委員会教育相談課の自立支援教室「きら星学級」「むぎほ学級」です。
不登校や登校しぶりの状態にある小中学生が対象で、日中の居場所として個別の支援や体験活動を行っています。ほかに「あけもどろ学級」と学習支援室「てぃんばう」があります。
窓口は教育相談課(那覇市松山2-22-1 那覇市津波避難ビル2階・3階、098-941-7868)です。
出典
- 那覇市電子相談システム「不登校・自宅学習・フリースクールの補助や出席扱いについて」(2024年3月回答) ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日) ページ 本文へ戻る
- 沖縄県教育委員会「令和5年度『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』結果等について」(令和6年第14回教育委員会会議 報告事項) PDF 本文へ戻る
- 沖縄県教育庁「フリースクールに通う中高生の通学費支援について(高校生バス通学費等支援事業)」(2026年9月8日更新) ページ 本文へ戻る
- 沖縄県こども若者政策課「フリースクール等に通う児童・生徒等の実態把握調査業務委託」(2026年6月3日更新) ページ 本文へ戻る
- 那覇市「教育委員会教育相談課」(令和8年1月19日更新) ページ 本文へ戻る
- 那覇市教育委員会教育相談課「教育相談課パンフレット(事業概要)」(令和6年度版、令和7年12月24日更新ページ) ページ、PDF 本文へ戻る
- 那覇市「青少年相談」(令和7年12月24日更新) ページ 本文へ戻る
