子どもが学校に行けなくなったとき、多くの保護者の方が気になるのが「このまま欠席が積み重なって、進路に影響しないだろうか」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、学校に登校しなくても、フリースクールや自宅での学習を在籍校の「出席」として認めてもらえる制度があります。 そして横浜市には、すでにその承認事例があります。
横浜市は小・中学生の不登校が1万人を超える、全国でも規模の大きい自治体です。だからこそ市の公的な支援は整ってきていますが、フリースクールの利用料を補助する制度はまだありません。この記事では、横浜市で出席扱いを進める手順と、補助金がないなかでお金の負担を抑える考え方まで、まとめてお伝えします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。
いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
不登校の専門家として言えるのは、出席扱いの制度を知っているかどうかで、不登校になった後の選択肢は大きく変わるということです。
横浜市で実際に出席扱いが認められた事例
まず知っていただきたい事実からお伝えします。
横浜市内の学校で、フリースクールに入会したあとすぐに活動レポートを学校へ提出することで、出席扱いが認められた事例があります。
「うちの子の学校でも認めてもらえるのだろうか」と不安な方は多いと思います。ただ、横浜市にはすでに前例があります。前例があるということは、学校側にとっても判断しやすいということです。
横浜市は不登校の人数そのものが多い自治体でもあります。横浜市教育委員会の調査によると、令和6年度の市立小・中学校の不登校児童生徒数は10,050人で、前年度より275人増えました。
内訳は小学校が4,442人、中学校が5,608人です。[1] 1万人を超える子どもが学校の外で過ごしているということは、学校側にとっても「学校の外での学びをどう扱うか」が日常的な課題になっているということです。フリースクールの出席扱いも、横浜市の学校にとって特別な話ではありません。
そもそも「出席扱い」とは
出席扱いとは、学校に登校していなくても、自宅やフリースクールでの学習を在籍校の出席として認めてもらえる制度です。文部科学省が要件を示しており、最終的には在籍校の校長先生が判断します。[2]
ポイントは大きく4つあります。
- 保護者と学校の連携 担任の先生と定期的にやりとりできている状態が前提になります。
- 計画的な学習プログラム ICT教材やフリースクールでの活動がこれにあたります。
- 学習状況の把握 活動レポートや学習記録を提出し、学校が状況をつかめるようにします。
- 訪問等による対面指導 学校や教育支援センターなどの職員が、定期的な訪問や面談で本人の様子を確認することも求められます。
つまり「なんとなく家で勉強している」ではなく、記録を残して学校と共有する仕組みさえあれば、出席扱いは十分に目指せます。
文部科学省の通知では、民間施設での相談・指導が子どもにとって適切かどうかを、校長先生が教育委員会と連携して判断するとされています。
横浜市の場合、市教育委員会がフリースクールやフリースペースの一覧を公開して情報提供をしているので、学校側にとっても民間施設は「知らない場所」ではありません。
出席扱いの要件をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で3つの要件を掘り下げています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
なぜ出席扱いが重要なのか
第一に挙げられるのは、進学や受験への影響です。欠席日数が内申に響くのではないかという不安は、多くの保護者の方が抱えるものだと思います。
ただ、この影響は昔に比べると小さくなってきています。受験の合否判定で出席日数を考慮しない自治体が増えてきているためです。
だからこそ僕は、もうひとつの視点をお伝えしたいです。
僕自身、不登校の当時はフリースクールに通っていた当事者です。当時は、学校に行っていない自分への否定的な気持ちや「このままでいいのかな」という不安がずっと心のどこかにありました。
でも、フリースクールでの学びが出席扱いになったことで、自分がやっていることを学校が認めてくれた。 「これでいいんだ」と思えるようになったんです。その結果、少しずつ自己肯定感が高まっていきました。
出席扱いは、単に欠席日数を減らすための制度ではありません。学校の外での学びも認められているという安心感を子どもに届けられる制度です。だからこそ僕は、出席扱いを大事にしてほしいと思っています。
出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールについては、こちらで学び方を紹介しています。
横浜市での進め方。実例ベースの4ステップ
実際に承認された事例をもとに、流れを整理します。
- フリースクールや教材を決める 出席扱いの実績があるところを選ぶと話が早く進みます。学校への説明資料や連携の型をすでに持っているためです。横浜市教育委員会が公開している「不登校の児童生徒が利用できる地域の居場所情報」には、鶴見区から泉区まで20団体ほどのフリースクール・フリースペース・親の会が載っています。市が推薦するものではなく、あくまで情報提供という位置づけですが、探すときの起点になります。[3]
- 担任の先生に相談する 「出席扱いにしてほしい」といきなり交渉するのではなく、文部科学省の通知に沿ってフリースクールでの活動を出席扱いにできないか相談したい、と伝えるのがスムーズです。判断するのは校長先生なので、担任の先生経由で話を上げてもらいます。横浜市立の学校には児童支援・生徒指導専任教諭やスクールカウンセラーが配置されているので、担任の先生と話しづらい場合はそちらを窓口にしても構いません。
- 活動レポートを提出する 横浜市の事例では、入会後すぐにレポートの提出を始めたことが承認の決め手になりました。学習内容や時間、お子さんの様子が伝わることで、先生も安心して判断できます。
- 出席扱いが承認される その後も定期的にレポートを共有し、学校との連携を続けていきます。
もし学校の反応が鈍かったときの動かし方は、こちらの記事にまとめています。
>>出席扱いを学校に断られたときはどうする?校長判断を動かす3つの材料
横浜市のフリースクール補助金は、2026年9月時点でありません
お金の話は正直にお伝えします。2026年9月時点で、横浜市にはフリースクールの利用料を保護者に補助する市独自の制度はありません。
神奈川県には「神奈川県フリースクール等利用児童・生徒支援事業費補助金」という制度があります。ただしこれは県が保護者に直接支給するものではなく、保護者に利用料の補助を行う市町村に対して県が補助する仕組みです。
県の資料に載っている実施自治体は相模原市・鎌倉市・海老名市・藤沢市・葉山町・二宮町の6市町で、横浜市は含まれていません。[4]
東京都のように補助金として最大で月2万円まで支給される地域と比べると、横浜市はまだこれからという状況です。
制度は年度単位で変わります。申請の様式や受付の有無は、記事末の出典に挙げた県のページと、横浜市教育委員会の不登校支援・いじめ対策課(045-671-3724)で最新情報を確認してください。
補助金がないぶん、横浜市で負担を抑える考え方は2つあります。1つは、市が運営する教育支援センター(ハートフル事業)を使うこと。公的な支援なので、民間のフリースクールのような月数万円の利用料はかかりません。
もう1つは、出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールを選ぶことです。通学の交通費がかからず、通所型より利用料を抑えやすい選択肢です。
横浜市内の民間フリースクールの料金や場所は、こちらの記事で区ごとに紹介しています。
>>横浜市のフリースクールと補助金一覧。通える場所を地域で探せます【2026年最新】
横浜市で利用できる2つの選択肢
選択肢1:自宅で学べる「オンラインフリースクール」
「まだ外に出るエネルギーがない」というお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」という選択肢があります。
自宅にいながら、ネットの先生(担任)が伴走し、学習や生活リズムをサポートします。
2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちを支えてきた実績があり、一定の要件を満たし校長先生が認めれば在籍校の出席扱いとなる仕組みも整っています。
出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきた取り組みなので、学校との連携もスムーズです。
学習面では最先端のAIサポートを取り入れているのも特徴です。生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIが、わからない場面で答えをすぐに教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定があるので、安心して使えます。
選択肢2:通える距離の「明光フリースクール」
外に出て仲間と過ごしたいお子さんには、明光義塾がつくる明光フリースクールがあります。神奈川県内に校舎はまだありませんが、横浜市から通いやすいのは東京都大田区の大岡山校です。横浜駅から東急東横線で武蔵小杉駅へ出て、目黒線に乗り換えると大岡山駅に着きます。校舎は大岡山駅から徒歩2分です。
学び直しの個別サポートに加えて、プログラミングやeスポーツなど、子どもが「楽しい」と思えるコンテンツを用意しています。学校ではないけれど、仲間と過ごしながら通う場所として機能します。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になった実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
横浜市の公的な相談窓口も知っておこう
フリースクールとあわせて、横浜市の公的な支援も知っておくと安心です。
横浜市の教育支援センターにあたるのが「ハートフル事業」です。拠点は港南区の「ハートフルセンター上大岡」(上大岡西1-6-1 ゆめおおおかオフィスタワー13階)と、鶴見・上星川・都筑の3つの「ハートフルスペース」、小・中学校の中に置かれた「ハートフルルーム」です。
創作活動や軽スポーツ、学習活動を、月曜から金曜の9時30分から15時の間で、週1回1時間程度から週5回まで、その子のペースで行います。
このほか大学生などが家庭を訪問する「ハートフルフレンド」と、オンラインで学びや人とのつながりを届ける「ハートフルオンライン」もあります。
利用には学校によるアセスメントと本人の意思確認が必要なので、まずは在籍校に相談する流れです。[5]
横浜市の特徴は、市立の全校に校内の居場所「校内ハートフル」があることです。教室には入れなくても学校の中の別の部屋で過ごせる仕組みで、市はこの全校実施によって、中学校で欠席90日以上の生徒が139人減ったと報告しています(出典は冒頭の調査結果と同じです)。
相談の窓口は、横浜市教育委員会の一般教育相談(045-624-9414、月曜から金曜の9時から17時)です。小・中学生の不登校、友人関係、学習、進路の相談を受け付けています。緊急のときは24時間子どもSOSダイヤル(0120-078310)が24時間365日つながります。
教育支援センターの通い方や費用の考え方はこちらの記事で、神奈川県内の相談窓口はこちらの記事で詳しく紹介しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
>>神奈川県の不登校相談窓口一覧。無料で頼れる公的・民間の相談先【2026年最新】
公的な教室とフリースクールは、どちらかを選ばなければいけないものではありません。お子さんの状態や相性に合わせて、複数の選択肢を並行して検討してみてください。
まとめ。横浜市は「前例がある」から動きやすい
出席扱いは校長先生の判断で決まるため、前例があるかどうかが大きく影響します。横浜市にはすでに承認事例があり、市も学校の外の居場所を情報提供する姿勢を示しています。
補助金はまだありませんが、公的なハートフル事業やオンラインフリースクールを組み合わせれば、費用を抑えながら学びと出席を確保する道はあります。
今日できる一歩として、連絡帳や学校への連絡メールに「学校の外での学びを出席扱いにできないか、一度相談したい」と一文書いてみてください。それだけで、担任の先生から校長先生へ話が上がる入口ができます。
学校に行かない期間があっても、学びと出席、そしてお金の心配を減らす方法はあります。完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。僕の公式LINEでは不登校に関する情報発信や無料相談を行っています。
よくある質問
横浜市で不登校の出席扱いは認められますか?
横浜市内の学校で、フリースクール入会後すぐに活動レポートを学校へ提出することで出席扱いが認められた事例があります。文部科学省の通知に沿って、最終的な判断は在籍校の校長先生が行います。担任の先生を通じて相談し、活動レポートを早めに提出し始めるのが承認への近道です。
横浜市にフリースクールの補助金はありますか?
2026年9月時点で、横浜市にはフリースクールの利用料を保護者に補助する市独自の制度はありません。
神奈川県の補助金は保護者に補助を行う市町村を県が支援する仕組みで、実施しているのは相模原市・鎌倉市・海老名市・藤沢市・葉山町・二宮町の6市町です。
制度は年度で変わるため、横浜市教育委員会の不登校支援・いじめ対策課で最新情報を確認してください。
横浜市の教育支援センター(適応指導教室)はどこにありますか?
横浜市ではハートフル事業がこれにあたります。港南区のハートフルセンター上大岡、鶴見・上星川・都筑のハートフルスペース、小・中学校内のハートフルルームがあり、家庭訪問のハートフルフレンドやハートフルオンラインもあります。
利用には学校によるアセスメントと本人の意思確認が必要なので、まず在籍校か一般教育相談(045-624-9414)に相談してください。
出典
- 横浜市教育委員会「令和6年度『いじめ・暴力』・『長期欠席』等の状況調査結果」(令和7年10月。不登校児童生徒数、校内ハートフルの全校実施) PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日) ページ 本文へ戻る
- 横浜市教育委員会「不登校の児童生徒が利用できる地域の居場所情報」(令和7年7月時点・令和8年5月追加) PDF 本文へ戻る
- 神奈川県「フリースクール等に通う子どもへの支援(市町村による取組を支援)」 ページ 本文へ戻る
- 横浜市教育委員会「不登校児童生徒への支援について」(ハートフル事業・教育相談) ページ 本文へ戻る
