子どもが学校に行けなくなったとき、多くの保護者の方が気になるのが「このまま欠席が積み重なって、進路に影響しないだろうか」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、学校に登校しなくても、フリースクールや自宅での学習を在籍校の「出席」として認めてもらえる制度があります。 そして横須賀市には、すでにその承認事例があります。
横須賀市には、就学援助を受けている世帯のお子さんが市の指定するフリースクールを無料で利用できる独自の事業もあります。
所得の要件がある制度なので、誰でも使えるわけではありませんが、知っているかどうかで選択肢は変わります。
この記事では、横須賀市で出席扱いを進める手順と、市の制度の中身、公的な相談教室までまとめてお伝えします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
横須賀市で実際に出席扱いが認められた事例
まず知っていただきたい事実からお伝えします。
横須賀市内の学校で、フリースクールに入会したあとすぐに活動レポートを学校へ提出することで、出席扱いが認められた事例があります。
「うちの子の学校でも認めてもらえるのだろうか」と不安な方は多いと思います。ただ、横須賀市にはすでに前例があります。前例があるということは、学校側にとっても判断しやすいということです。
横須賀市は、不登校の割合が県や全国より高い自治体でもあります。横須賀市教育委員会の報告によると、令和6年度の市立小・中学校の不登校児童生徒数は1,330人で、前年度より52人増えました。出現率は5.51%で、神奈川県や全国の水準を上回っています。[1]
市教育委員会はこの報告の中で、校内教育支援センターと市内5か所の相談教室で居場所づくりを進めてきたこと、今後は多様な支援の場の周知・整備をさらに進めることを明記しています。学校の外での学びをどう扱うかは、横須賀市の学校にとって特別な話ではなく、日常的な課題になっています。
そもそも「出席扱い」とは
出席扱いとは、学校に登校していなくても、自宅やフリースクールでの学習を在籍校の出席として認めてもらえる制度です。文部科学省が要件を示しており、最終的には在籍校の校長先生が判断します。[2]
ポイントは大きく4つあります。
- 保護者と学校の連携 担任の先生と定期的にやりとりできている状態が前提になります。
- 計画的な学習プログラム ICT教材やフリースクールでの活動がこれにあたります。
- 学習状況の把握 活動レポートや学習記録を提出し、学校が状況をつかめるようにします。
- 訪問等による対面指導 学校や教育支援センターなどの職員が、定期的な訪問や面談で本人の様子を確認することも求められます。
つまり「なんとなく家で勉強している」ではなく、記録を残して学校と共有する仕組みさえあれば、出席扱いは十分に目指せます。文部科学省の通知では、民間施設での相談・指導が子どもにとって適切かどうかを、校長先生が教育委員会と連携して判断するとされています。
横須賀市の場合、市が就学援助世帯向けの事業で4つのフリースクールを指定しているので、学校側にとってもフリースクールは「知らない場所」ではありません。この点はあとで詳しくお伝えします。
出席扱いの要件をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で3つの要件を掘り下げています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
なぜ出席扱いが重要なのか
第一に挙げられるのは、進学や受験への影響です。欠席日数が内申に響くのではないかという不安は、多くの保護者の方が抱えるものだと思います。
ただ、この影響は昔に比べると小さくなってきています。受験の合否判定で出席日数を考慮しない自治体が増えてきているためです。
だからこそ僕は、もうひとつの視点をお伝えしたいです。
僕自身、不登校の当時はフリースクールに通っていた当事者です。当時は、学校に行っていない自分への否定的な気持ちや「このままでいいのかな」という不安がずっと心のどこかにありました。
でも、フリースクールでの学びが出席扱いになったことで、自分がやっていることを学校が認めてくれた。 「これでいいんだ」と思えるようになったんです。その結果、少しずつ自己肯定感が高まっていきました。
出席扱いは、単に欠席日数を減らすための制度ではありません。学校の外での学びも認められているという安心感を子どもに届けられる制度です。だからこそ僕は、出席扱いを大事にしてほしいと思っています。
出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールについては、こちらで学び方を紹介しています。
横須賀市での進め方。実例ベースの4ステップ
実際に承認された事例をもとに、流れを整理します。
- フリースクールや教材を決める 出席扱いの実績があるところを選ぶと話が早く進みます。学校への説明資料や連携の型をすでに持っているためです。横須賀市が運営する不登校・ひきこもり支援のポータルサイトには、市内で活動する民間のフリースクールや居場所、親の会が紹介されています。探すときの起点にできます。
- 担任の先生に相談する 「出席扱いにしてほしい」といきなり交渉するのではなく、文部科学省の通知に沿ってフリースクールでの活動を出席扱いにできないか相談したい、と伝えるのがスムーズです。判断するのは校長先生なので、担任の先生経由で話を上げてもらいます。担任の先生と話しづらい場合は、市教育委員会の教育相談(046-822-8564)を先に使っても構いません。
- 活動レポートを提出する 横須賀市の事例では、入会後すぐにレポートの提出を始めたことが承認の決め手になりました。学習内容や時間、お子さんの様子が伝わることで、先生も安心して判断できます。
- 出席扱いが承認される その後も定期的にレポートを共有し、学校との連携を続けていきます。
もし学校の反応が鈍かったときの動かし方は、こちらの記事にまとめています。
>>出席扱いを学校に断られたときはどうする?校長判断を動かす3つの材料
横須賀市の補助は「就学援助世帯が指定施設を無料で使える」形
お金の話は正直にお伝えします。横須賀市には「横須賀市フリースクール学習支援事業」があります。ただし、東京都や相模原市のように保護者に利用料の一部を補助する形ではなく、対象世帯のお子さんが市の指定するフリースクールを一定回数まで無料で利用できるという仕組みです。[3]
対象になるのは、横須賀市内に住む就学援助費受給世帯の小・中学生で、病気や芸能活動などの理由以外で30日以上学校を休んでいるお子さんです。利用できる範囲は週3回、1回2時間程度、月12回までが上限で、交通費や食費は自己負担です。上限を超えて利用する分は全額自己負担になります。
対象施設は市が指定する4か所です。
- フリースクール子どもの夢 横須賀市小川町28-1
- 学習サポートネクスト(アンガージュマン・よこすか) 横須賀市上町2-4
- 湘南国際学院フリースクール 横須賀市舟倉1-32-1
- ミライのたいよう 横須賀市根岸町
この事業の窓口は教育委員会ではなく、民生局福祉こども部の生活支援課(046-822-8070、平日9時から16時、12時から13時を除く)です。就学援助とセットで運用されている制度なので、福祉の窓口が担当している点に注意してください。
就学援助を受けていない世帯が使える利用料補助は、2026年9月時点で横須賀市にはありません。
神奈川県には「神奈川県フリースクール等利用児童・生徒支援事業費補助金」がありますが、これは保護者に利用料の補助を行う市町村を県が支援する仕組みです。県の資料に載っている実施自治体は相模原市・鎌倉市・海老名市・藤沢市・葉山町・二宮町の6市町で、横須賀市は含まれていません。[4]
申請の様式・受付期間・必要書類は年度で変わります。制度の詳しい条件と申請先は、記事末の出典に挙げた横須賀市と神奈川県のページで確認できます。
補助の対象にならない世帯が横須賀市で負担を抑える考え方は2つあります。1つは、市が運営する相談教室(教育支援センター)を使うこと。
費用は教材費として月に数百円程度の実費だけです。もう1つは、出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールを選ぶことです。通学の交通費がかからず、通所型より利用料を抑えやすい選択肢です。
神奈川県内の自治体ごとの補助制度と、市内の民間フリースクールはこちらの記事で紹介しています。
>>神奈川県のフリースクールと補助金一覧。市区町村別に紹介します【2026年最新】
横須賀市で利用できる2つの選択肢
選択肢1:自宅で学べる「オンラインフリースクール」
「まだ外に出るエネルギーがない」というお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」という選択肢があります。
自宅にいながら、ネットの先生(担任)が伴走し、学習や生活リズムをサポートします。2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちを支えてきた実績があり、一定の要件を満たし校長先生が認めれば在籍校の出席扱いとなる仕組みも整っています。
出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきた取り組みなので、学校との連携もスムーズです。
学習面では最先端のAIサポートを取り入れているのも特徴です。生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIが、わからない場面で答えをすぐに教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定があるので、安心して使えます。
選択肢2:通える距離の「明光フリースクール」
外に出て仲間と過ごしたいお子さんには、明光義塾がつくる明光フリースクールがあります。神奈川県内に校舎はまだありませんが、横須賀市から向かうなら東京都大田区の大岡山校です。京急線で横浜駅へ出て東急東横線に乗り換え、武蔵小杉駅で目黒線に乗り継ぐと大岡山駅に着きます。校舎は大岡山駅から徒歩2分です。
横須賀からは距離があるので、まずは週1回のコースから試すのが現実的です。学び直しの個別サポートに加えて、プログラミングやeスポーツなど、子どもが「楽しい」と思えるコンテンツを用意しています。
学校ではないけれど、仲間と過ごしながら通う場所として機能します。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になった実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
横須賀市の公的な相談窓口も知っておこう
フリースクールとあわせて、横須賀市の公的な支援も知っておくと安心です。
横須賀市の教育支援センターにあたるのが「相談教室」です。市立小・中学校に在籍していて、登校できない、または登校に大きな負担がある子どもが対象で、学校の内外に5施設7教室あります。[5]
教室は次の5か所です。小学生は汐入相談教室(汐入小学校内)、中学生は公郷相談教室(公郷中学校内)と久里浜相談教室(久里浜中学校内)、小・中学生どちらも通えるのが武山相談教室(武山中学校内)とゆうゆう坂本相談教室(旧坂本小学校内)です。[6]
開室は月曜から金曜の10時から14時で、通う日数や時間はその子の状態に合わせて決めます。
午前は絵画や工作、読書、学習などの個別の時間、午後はスポーツや調理実習、畑仕事などの集団の時間という流れです。
費用は教材費として月に数百円程度の実費のみで、ゆうゆう坂本相談教室以外では給食も出ます。成績はつけず、進路指導は在籍校が行います。
大事な点として、相談教室への通室は学校長の判断で出席扱いにできます。学校の相談室との併用もできますが、手続きは年度ごとで、年度末にはいったん退室になります。
通室の入口は、市教育委員会支援教育課の教育相談(046-822-8513)か、ゆうゆう坂本相談教室(046-821-0166)への連絡です。教育相談で相談教室での支援が適切と判断されると通室できます。
そのほかの相談先として、市教育委員会の来所相談(046-822-8564、月曜から金曜の9時から17時)と、電話相談の子どもの悩みホットライン(046-822-6522、月・水・金曜の9時から17時)があります。
18歳未満の不登校・ひきこもりの相談は、こども家庭支援課(046-823-3152)でも受け付けています。
教育支援センターの通い方や費用の考え方はこちらの記事で、神奈川県内の相談窓口はこちらの記事で詳しく紹介しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
>>神奈川県の不登校相談窓口一覧。無料で頼れる公的・民間の相談先【2026年最新】
公的な教室とフリースクールは、どちらかを選ばなければいけないものではありません。お子さんの状態や相性に合わせて、複数の選択肢を並行して検討してみてください。
まとめ。横須賀市は「前例がある」から動きやすい
出席扱いは校長先生の判断で決まるため、前例があるかどうかが大きく影響します。横須賀市にはすでに承認事例があり、市も相談教室や指定フリースクールという形で学校の外の学びを支える姿勢を示しています。
利用料補助は就学援助世帯に限られますが、相談教室やオンラインフリースクールを組み合わせれば、費用を抑えながら学びと出席を確保する道はあります。
今日できる一歩として、連絡帳や学校への連絡メールに「学校の外での学びを出席扱いにできないか、一度相談したい」と一文書いてみてください。それだけで、担任の先生から校長先生へ話が上がる入口ができます。
学校に行かない期間があっても、学びと出席、そしてお金の心配を減らす方法はあります。お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。僕の公式LINEでは不登校に関する情報発信や無料相談を行っています。
よくある質問
横須賀市で不登校の出席扱いは認められますか?
横須賀市内の学校で、フリースクール入会後すぐに活動レポートを学校へ提出することで出席扱いが認められた事例があります。文部科学省の通知に沿って、最終的な判断は在籍校の校長先生が行います。担任の先生を通じて相談し、活動レポートを早めに提出し始めるのが承認への近道です。
横須賀市にフリースクールの補助金はありますか?
横須賀市フリースクール学習支援事業があります。就学援助費受給世帯の小・中学生で30日以上欠席しているお子さんが、市の指定する4施設を週3回・月12回まで無料で利用できる仕組みです。
窓口は生活支援課(046-822-8070)です。就学援助を受けていない世帯向けの利用料補助は2026年9月時点でありません。
横須賀市の教育支援センター(適応指導教室)はどこにありますか?
横須賀市では相談教室がこれにあたります。汐入(小学生)、公郷・久里浜(中学生)、武山・ゆうゆう坂本(小・中学生)の5か所で、月曜から金曜の10時から14時に開いています。通室は学校長の判断で出席扱いにできます。入口は市教育委員会支援教育課の教育相談(046-822-8513)です。
出典
- 横須賀市教育委員会「令和6年度横須賀市立小中学校における児童生徒の問題行動・不登校等の状況調査の結果について」(令和7年11月) PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日) ページ 本文へ戻る
- 横須賀市「横須賀市フリースクール学習支援事業」(2026年5月更新) ページ 本文へ戻る
- 神奈川県「フリースクール等に通う子どもへの支援(市町村による取組を支援)」(2026年5月更新) ページ 本文へ戻る
- 横須賀市「横須賀市教育委員会の教育相談」(相談教室・教育相談窓口) ページ 本文へ戻る
- 横須賀市教育情報センター「相談教室 教室の設置場所」 ページ 本文へ戻る
