「学校を休み始めてから、子どもの様子がどんどん変わっていく。今どういう状態で、次に何が来るのか分からない」。不登校のお子さんを見守る保護者の方から、いちばん多く聞く不安がこれです。先が見えないから、今日の関わり方にも自信が持てなくなります。
結論からお伝えします。不登校には、支援の現場でよく使われる段階の目安があります。
前兆期、混乱期、安定期、回復期という流れで捉えると、「今うちの子はここにいる」「だから今はこの関わり方でいい」と判断できるようになります。
この記事は、その全体マップです。段階ごとの子どもの状態、やってしまいがちなNG対応、親ができることを一枚で整理します。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。この記事では、各段階を自分の体で通ってきた実感も交えてお伝えします。
不登校の段階とは?支援の現場でよく使われる4つの目安
不登校の段階の分け方には諸説あり、「この区分が正解」という決まった学術モデルがあるわけではありません。3段階で説明する人も、7段階で説明する人もいます。この記事では、支援の現場で使いやすいように4つに整理します。
- 前兆期 学校には行っているが、行き渋りや体調不良が増えてくる時期
- 混乱期 休み始めた直後。本人も家庭もいちばん揺れる時期
- 安定期 休むことに慣れ、家で過ごしながらエネルギーをためる時期
- 回復期 退屈を口にしたり、外に興味が戻ったりと、動き出しの準備が整う時期
先に大事なことを2つお伝えします。
1つ目は、この段階は必ずこの順番で一方通行に進むものではない、ということです。回復期に見えた子が混乱期に戻ることは普通にあります。行きつ戻りつが前提なので、後戻りしたように見えても失敗ではありません。
2つ目は、ゴールは学校復帰ではない、ということです。文部科学省は令和元年の通知で、不登校支援の目標は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することだと明確に示しています(出典: 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」[1] )。
この記事の段階マップも、学校に戻ることではなく、子どもが自分のエネルギーを取り戻して次の一歩を踏み出すことをゴールに置いています。
前兆期:行き渋りと体調不良が増えてくる
まだ学校には行っているけれど、朝の腹痛や頭痛が増える、日曜の夜に元気がなくなる、準備に時間がかかる。そんな変化が出てくるのが前兆期です。月に1回だった「休みたい」が週1回になり、少しずつ増えていきます。
この時期のNG対応は、励まして送り出し続けることです。「頑張って行けば楽しいよ」と背中を押し続けると、子どもが「しんどい」と言えないまま我慢を重ね、エネルギーを使い切ってから止まってしまうことがあります。使い切る前に休ませたほうが、その後エネルギーをためやすくなります。
親ができるのは、体調不良を「サボりの言い訳」と疑わないことと、「休みたい」と言える空気を家の中に作ることです。前兆のサインの具体例と家庭での対応は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>不登校の前兆・サイン。早めに気づいて家庭でできる対応
また、何日休んだら不登校と呼ばれるのかという定義の話は、こちらにまとめています。
>>何日休んだら不登校?文科省の定義と、欠席が続き始めたときの動き方
混乱期:休み始めた直後、いちばん揺れる時期
学校を休み始めた直後は、本人の中で「行かないと」という焦りと「行けない」という体の反応がぶつかっています。イライラして家族に当たる、昼夜が逆転する、部屋にこもる、泣く。親のほうも「このまま休ませていいのか」と迷い、家全体が揺れる時期です。
この時期のNG対応は、登校刺激を強めることと、休む期限を切ることです。僕自身、親に言われていちばんきつかった言葉は「いつまで休むの」でした。逆に「あなたが元気ならそれでいい」と言われた日から、家が安全な場所になりました。混乱期の子に必要なのは、行き先の議論ではなく、まず家が安全基地になることです。
ひとつ注意点があります。食事がほとんど取れない、眠れない日が続くなど、心身の消耗が極端な場合は、家庭だけで抱えず小児科や児童精神科など医療機関への相談を検討してください。段階の目安より、目の前の体調が優先です。
安定期:何もしていないように見えて、充電している
混乱期の嵐が過ぎると、子どもは落ち着いて見えます。ゲームや動画で一日を過ごし、学校の話題を避け、一見「休むことに慣れてしまった」ように見える時期です。
ここでのNG対応は、落ち着いたのを見て「そろそろ動けるのでは」と外に連れ出そうとすることです。安定期は止まっているのではなく、減ったエネルギーをためている途中です。充電の途中でコードを抜くように急かしてしまうと、また不安定な時期に戻ることがあります。
ゲームばかりで心配になる気持ちはよく分かります。ただ、僕は不登校の間にゲームを3万時間くらいやりました。そしてゲームの大会を自分で企画したことが、人を集めて何かをやる原体験になり、のちの起業の第一歩になりました。安定期の「好きなことに没頭する時間」は、無駄になるとは限りません。
回復期:動き出しのサインを見逃さない
エネルギーがたまってくると、子どもから小さなサインが出始めます。「暇だ」と口にする、家族との会話が増える、外の話題に興味を示す、勉強や進路の話を自分から少しだけする。これが回復期の入り口です。
この時期のNG対応は、サインを見つけた瞬間に一気に学校復帰へ引っ張ることです。せっかくたまったエネルギーが、大きすぎる一歩で一気に減ってしまいます。半歩ずつ、本人が選べる形で選択肢を見せるのがコツです。
回復期のサインの具体例と、次の場所へ動き出すときの進め方は、こちらの記事で深掘りしています。
>>不登校の回復期とは?段階ごとの特徴と、次の場所へ動き出すサイン
明光フリースクールという選択肢
安定期の後半から回復期にかけて必要になるのが、家の外の「学校ではないけれど通う場所」です。平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。
明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、勉強を強いられる場所ではありません。
段階を見ながら通う頻度を調整できるので、「まず週1回、午後だけ」のような入り方ができます。回復期の半歩を、本人のペースのまま踏み出せるのがこの場所の良さです。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
明光フリースクール
まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。
ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。混乱期や安定期でも、家から出ずにつながりを持てる選択肢です。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
今日できる一歩
今夜、学校の話題を一切出さない時間を10分だけ作ってみてください。子どもの好きなゲームやアニメの話を、こちらから聞いてみる。それだけで「この家では学校の話をしなくていい」というメッセージが伝わり、どの段階の子にとっても安全基地の土台になります。
まとめ:段階が分かれば、今日の関わり方が決まる
不登校の段階は、前兆期・混乱期・安定期・回復期という目安で捉えると全体が見えます。順番どおりに進まなくても大丈夫です。行きつ戻りつしながら、子どもは自分のペースでエネルギーを取り戻していきます。ゴールは学校復帰ではなく、子どもが元気を取り戻して自分の足で次へ進むことです。
お子さんが今どの段階にいるのか、判断に迷ったらLINEで無料相談を受け付けています。「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
不登校の段階は必ず順番どおりに進みますか?
いいえ。段階はあくまで支援の現場でよく使われる目安で、必ず一方通行で進むものではありません。回復期に見えた子が混乱期に戻ることも普通にあります。後戻りは失敗ではなく、行きつ戻りつしながらエネルギーがたまっていくのが自然な経過です。
不登校の回復期はどれくらいで来ますか?
期間には大きな個人差があり、数か月の子もいれば年単位の子もいます。大切なのは期間を短くすることではなく、各段階で必要な充電を邪魔しないことです。焦って外に連れ出すと、かえって充電に時間がかかることがあります。
子どもが一日中ゲームをしていて心配です。放っておいていいのでしょうか?
安定期のゲームや動画は、多くの場合エネルギーを充電する手段になっています。取り上げるより、好きなものの話題を通じて会話を保つほうが、エネルギーがたまることにつながります。ただし食事がほとんど取れない、眠れない日が続くなど心身の消耗が激しい場合は、医療機関への相談を検討してください。
出典
