「欠席がこんなに多くて、愛知の公立高校は受けられるのだろうか」。愛知県で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
愛知県の公立高校入試は、令和9年度(2027年4月入学)から調査書の「出欠の記録」そのものが無くなります。中3の欠席が半分以上なら「長期欠席者等にかかる選抜方法」を全校で申請でき、30日程度以上なら「欠席に関する自己申告」ができます。
欠席が30日程度以上の人だけが出願できる全日制単位制選抜を行う県立高校も9校あります。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「愛知県 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、愛知県教育委員会が公表した令和9年度の入学者選抜の資料をもとに、調査書(内申)の扱い、欠席への配慮の仕組み、欠席が多い生徒を対象にした選抜、私立・通信制の選択肢を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、愛知県の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
愛知県の公立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
愛知県の公立高校の一般的な入試(全日制課程の一般選抜)は、調査書の「学習の記録」による評定得点と、5教科の学力検査の合計得点を組み合わせて校内順位を決めます。評定得点は中学3年の9教科の評定合計を2倍した数値で、最高90点です。学力検査は各教科22点で、最高110点です。[1]
評定と学力検査をどんな比率で見るかは高校ごとに決まっていて、ⅠからⅤまでの5方式があります。
- Ⅰ 評定得点+学力検査合計得点
- Ⅱ 評定得点×1.5+学力検査合計得点
- Ⅲ 評定得点+学力検査合計得点×1.5
- Ⅳ 評定得点×2+学力検査合計得点
- Ⅴ 評定得点+学力検査合計得点×2
どの高校がどの方式かは、愛知県教育委員会が令和9年度分を一覧で公表しています。学力検査を1.5倍や2倍にするⅢやⅤの高校なら、当日の得点で挽回できる幅がそれだけ広くなります。
ここで知っておいてほしいのが、愛知県の調査書が「中学3年の学習の記録」を軸にしていることです。愛知県公立高校の調査書情報に登録される学習の記録は第3学年のもので、中1・中2の評定は登録されません。[2] 中1や中2に休んでいた期間があっても、中3の学びからやり直せる仕組みです。
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
令和9年度から調査書の「出欠の記録」が無くなる
愛知県教育委員会は、令和9年4月に入学する人が受ける入試から、調査書情報の登録事項のうち「性別」「行動の記録」「出欠の記録」の3項目を削除すると公表しています。[3]
出欠の記録は、中2と中3の欠席日数を記録していた項目です。県は削除の理由として、教育支援センターで学習した日数や自宅でICTを活用して学習した日数を出席日数として扱えるようになり、学ぶ場についての考え方が変化していることを挙げています。
つまり、いま中3のお子さんが受ける入試では、欠席日数の数字が調査書に載りません。行動の記録も、教育支援センターや自宅で学ぶ生徒が増えて中学校で評価しにくくなったことを理由に削除されます。「休んでいたこと」が資料として高校に伝わる形が、制度の側から変わったということです。
中3の欠席が半分以上なら「長期欠席者等にかかる選抜方法」を申請できる
愛知県の公立高校入試には、長期欠席だった生徒のための申請制度が公式に用意されています。名称は「長期欠席者等にかかる選抜方法」です。全日制課程の一般選抜、定時制課程、通信制課程の全校・全学科で実施しています。[4]
- 申請できる人 中学校卒業見込者または卒業者で、やむを得ない事情により、中3の欠席等の日数が出席しなければならない日数の半分以上である人
- 配慮の内容 面接を実施する高校では面接を「個人面接」とし、調査書情報の「学習の記録」を参考として取り扱います
- 申請の方法 Web出願システムで「長期欠席者等選抜申請」を行い、欠席の理由や志望の動機などの自己申告を登録します
「欠席等の日数」には、学校を休んだ日だけでなく、保健室登校などの別室登校をした日、教育支援センター等で相談や指導を受けた日、自宅でICT等を活用して学習した日も含みます。中学校で出席扱いになっている日でも、この申請では欠席等の日数に数えられます。
この選抜方法は、推薦選抜・特色選抜・特別選抜では実施されません。また、加点や特別枠を設けるものではなく、学習の記録を「参考」の扱いにして、他の受検生と同じ土俵に立つための仕組みです。中学校の先生とよく相談したうえで手続きを進めるよう、県のリーフレットにも書かれています。
30日程度以上の欠席なら「欠席に関する自己申告」ができる
半分には届かないけれど欠席が多い、という人にも仕組みがあります。中2・中3のいずれか、または両方の学年で欠席日数が年間30日程度以上の志願者は、希望すればWeb出願システムから「欠席に関する自己申告」を行うことができます。[2]
この30日程度以上にも、別室登校の日数、教育支援センター等で相談や指導を受けた日数、自宅でICT等を活用して学習した日数を含めることができます。
自己申告は欠席の弁明書ではありません。フリースクールや教育支援センターに通った経験、家で続けてきた学習、学校に行けない期間に考えたことは、そのまま「志望の動機」や「高校生活への抱負」として書ける内容です。
面接がある選抜で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
欠席が多い人だけが出願できる「全日制単位制選抜」の9校
愛知県には、中2・中3のいずれかの学年で欠席日数が年間30日程度以上の人だけが出願できる「全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜」(全日制単位制選抜)があります。[5]
5教科の学力検査はなく、面接に加えて、作文(400字か600字)・基礎学力検査(国語・数学・英語の基礎的な内容)・プレゼンテーションのうち高校が定める1つを行います。
定員は募集人員の20%程度までを上限に各高校が定めます。令和9年度に実施するのは次の9校です。
- 守山高校 普通科。基礎学力検査
- 中川青和高校 キャリアビジネス科。プレゼンテーション
- 日進高校 普通科。作文(400字)
- 佐屋高校 農業科・家庭科。基礎学力検査
- 武豊高校 普通科。基礎学力検査
- 豊野高校 普通科。基礎学力検査
- 幸田高校 普通科。基礎学力検査
- 時習館高校 普通科。プレゼンテーション
- 御津あおば高校 普通科。基礎学力検査
令和9年度の全日制単位制選抜は、出願が2027年1月25日から2月1日、面接と入学検査が2月4日、合格発表が2月8日です。一般選抜は出願が2月8日から16日、学力検査が2月24日、合格発表が3月8日なので、全日制単位制選抜で合格にならなくても一般選抜に進めます。[6]
これらの9校の一般選抜では、5教科のうち得点の高い3教科を2倍にする傾斜配点を行います。得意な教科がある子には、一般選抜でも有利に働く仕組みです。
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
定時制・公立通信制も同じ配慮の対象
全日制だけが選択肢ではありません。定時制課程の入学検査は面接が基本で、基礎学力検査(国語・数学・英語)と作文(400字)のうち2つまでを行うことがあります。令和9年度は出願が2027年1月28日から2月4日、検査が2月12日、合格発表が2月18日です。[1]
公立の通信制は旭陵高校(名古屋市)と刈谷東高校(刈谷市)の2校で、入学者選抜は前期と後期の2回に分かれています。面接と作文を行うことがある、という形で、5教科の学力検査はありません。令和9年度は前期の出願が2027年1月12日から19日、後期の出願が3月11日から18日です。
このほか、佐屋・武豊・豊野・御津あおばの4校には、通信制課程の「フレキシブルハイスクール」もあります。旭陵・刈谷東の前期選抜とフレキシブルハイスクールは併願できます。長期欠席者等にかかる選抜方法は、定時制課程と通信制課程でも実施されています。
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。愛知県には県内に本校を置く私立の通信制が5校あり、名古屋市内には広域通信制のキャンパスも集まっています。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>愛知県の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。愛知県内には名古屋市や豊田市、岡崎市、一宮市、豊橋市をはじめ各地に110の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
>>明光義塾高等学院(明光義塾との連携コース)の資料請求はこちら
今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「うちの子は、中3の欠席等の日数が半分以上になりそうですか。それとも30日程度以上ですか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。どちらに当てはまるかで、長期欠席者等選抜申請か欠席に関する自己申告か、使える仕組みが決まります。
あわせて、お子さんと一緒に「学校に行かなかった期間に続けていたこと」を1つだけ話してみてください。それが自己申告の最初の1行になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
愛知県の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。令和9年度から調査書の出欠の記録が無くなること。中3の欠席等が半分以上なら、全校で長期欠席者等にかかる選抜方法を申請できること。30日程度以上なら欠席に関する自己申告ができること。
欠席が多い人だけが出願できる全日制単位制選抜の9校があること。面接と作文が中心の定時制・公立通信制があること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
欠席日数が多いと、愛知県の公立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。令和9年度の入試から調査書の「出欠の記録」は削除され、欠席日数の数字は調査書に載りません。中3の欠席等の日数が出席すべき日数の半分以上なら「長期欠席者等にかかる選抜方法」を全校・全学科で申請でき、学習の記録を参考として取り扱う配慮を受けられます。
欠席が半分には届かないのですが、何か仕組みはありますか?
あります。中2・中3のいずれかまたは両方の学年で欠席日数が年間30日程度以上なら、Web出願システムから「欠席に関する自己申告」ができます。別室登校や教育支援センター、自宅でのICT学習の日数も含めて数えられます。中学校の先生と相談して手続きを進めてください。
5教科の学力検査なしで受験できる愛知県の公立高校はありますか?
あります。中2・中3のいずれかの学年で欠席が年間30日程度以上の人だけが出願できる全日制単位制選抜が、守山・中川青和・日進・佐屋・武豊・豊野・幸田・時習館・御津あおばの9校にあります。面接に加えて作文・基礎学力検査・プレゼンテーションのうち1つで選抜します。
出典
- 愛知県教育委員会「令和9年度愛知県公立高等学校入学者選抜(全日制課程)一般選抜における各高等学校の面接実施の有無及び校内順位の決定方式について」(2026年7月7日) PDF / 「愛知県公立高等学校入学者選抜方法の概略」(令和8年7月発行) PDF 本文へ戻る
- 愛知県教育委員会「令和9年度愛知県公立高等学校入学者選抜に関するQ&A」(問6・問39・問40) PDF 本文へ戻る
- 愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・豊橋市教育委員会「公立高校の入試の調査書情報が変わります!」(令和8年4月発行) PDF 本文へ戻る
- 愛知県教育委員会・名古屋市教育委員会・豊橋市教育委員会「長期欠席者等にかかる選抜方法について」(令和8年9月改訂) PDF / 愛知県「欠席日数が多い生徒が高校受験をする際の配慮について」 ページ 本文へ戻る
- 愛知県教育委員会「令和9年度愛知県公立高等学校入学者選抜(全日制課程)推薦選抜における全日制単位制高等学校普通科の合格者数及び全日制単位制高等学校にかかる入学者選抜の入学検査について」(2026年7月7日) PDF 本文へ戻る
- 愛知県教育委員会「令和9年度愛知県公立高等学校入学者選抜実施日程について」(2026年4月14日) PDF 本文へ戻る
