「欠席がこんなに多くて、福岡の県立高校は受けられるのだろうか」。福岡県で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
福岡県の県立高校の一般入試には、中3の欠席が70日以上の人が中3の評定を使わずに選考を受けられる「長期欠席者特例措置」があり、全校・全学科が対象です。中3の欠席が30日以上の不登校生徒だけを対象にした公立の学びの多様化学校もあります。
昼間に通える定時制単位制の4校や公立の通信制は、面接と作文が中心の入試です。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「福岡県 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、福岡県教育委員会が公表している入学者選抜要項と令和9年度の入試日程をもとに、調査書(内申)の扱い、欠席への配慮の仕組み、不登校の生徒を対象にした学校、私立・通信制の選択肢を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、福岡県の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
福岡県の公立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
福岡県の県立高校の一般入試(一般入学者選抜)は、調査書の「各教科の学習の記録」のうち中学3年の9教科の評定の合計で順位をつけ、これとは別に5教科の学力検査の合計点でも順位をつけます。学力検査は各教科60点で、合計300点です。[1]
両方の順位が高校の定める一定数に入っている人がA群となり、調査書に特に支障がなければ入学予定者になります。それ以外の人はB群として、調査書の評定以外の記載事項を重視しながら、学力検査の結果や書類を精査して総合的に選考されます。
ここで知っておいてほしいのが、調査書の評定が「中学3年」の記録で見られていることです。中1や中2に休んでいた期間があっても、中3の学びからやり直せる仕組みです。
もう1つ、要項には「調査書の出欠の記録は、修学上はなはだしい支障のない限り、等差をつける資料としない」と明記されています。欠席日数の欄はありますが、日数そのものを点数のように比べる資料ではない、というのが県の公式な立場です。
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
中3の欠席が70日以上なら「長期欠席者特例措置」を申請できる
福岡県の県立高校の一般入試には、長期欠席だった生徒のための申請制度が公式に用意されています。名称は「長期欠席者特例措置」で、令和7年度の入学者選抜から始まりました。一般入学者選抜を行う全ての高校の全ての学科・コースが対象で、全日制・定時制を問いません。[1]
- 申請できる人 高校入学後は継続して登校する意志があり、中3の欠席日数が12月末日の時点で70日以上の人
- 配慮の内容 調査書の「各教科の学習の記録」のうち中3の各教科の評定を資料とせず、学力検査と面接の結果、その他の志願書類で総合的に選考します
- 申請の方法 中学校長が作成する「長期欠席者特例措置適用申請書」と、本人が書く「自己申告書」を、調査書などの志願書類と一緒に志願先の高校へ提出します
教育支援センターでの学習などが出席扱いになっていて欠席が70日未満になっている人も、学習状況が長期欠席者と同等と認められれば対象になります。中学校をすでに卒業している人は「中3の欠席日数が90日以上」に読み替えます。
この特例措置を使う人は、5教科の学力検査に加えて面接を受けます。加点や特別枠を設けるものではなく、中3の評定を使わずに「他の受検生と同じ土俵に立つ」ための仕組みです。
注意点もそのまま知っておいてください。特例措置が使えるのは3月の一般入試だけで、2月の推薦入学や特色化選抜では使えません。また、令和8年度から始まった第2志望校制度で第2志望校に回った場合、第2志望校での選抜にはこの特例措置は適用されません。
令和9年度の一般入試は、出願が2027年2月10日から2月19日正午、学力検査が3月9日、合格発表が3月18日です。[2] 面接の実施日は志願先の高校が定めます。
制度の細かな条件は令和8年度の要項に基づいています。福岡県は例年10月下旬に翌春の要項を公表しているので、令和9年度の要項が出たら中学校の先生と一緒に最新の条件を確認してください。
自己申告書は欠席の弁明書ではありません。フリースクールや教育支援センターに通った経験、家で続けてきた学習、学校に行けない期間に考えたことは、そのまま「高校で続けたいこと」として書ける内容です。面接で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
欠席30日以上の不登校生徒が対象の「学びの多様化学校」小郡高校みらい創造コース
福岡県には、不登校の生徒だけを対象にした公立高校のコースがあります。県立小郡高校(小郡市)の普通科みらい創造コースで、公立高校としては全国初の「学びの多様化学校」として令和7年4月に開設されました。[3]
- 対象 中3で年間30日以上欠席した不登校生徒またはそれに相当する人で、入学後に継続して登校する意志があり、合格したら入学する意志が確実な人
- 選抜方法 国語・数学・英語の特別の学力検査に加えて、作文と面接を行います
- 定員と通学区域 定員40人。通学区域は県内全域です
福岡県教育委員会の資料では、面接と作文の結果と志願書類から学びの多様化学校の趣旨に合うと認めた人を入学予定者とし、定員を超えた場合に国数英の学力検査の結果で選考する、と説明されています。教育支援センターやフリースクール、保健室登校などで出席扱いになっている人も対象に含みます。[4]
授業は9時30分開始で1コマ45分、休憩は15分です。20人の少人数学級で、服装は自由、リラックスルームがあります。中学校の学び直しのための「ブリッジ国語・数学・英語」や、自己理解とソーシャルスキルを学ぶ科目が学校設定科目として置かれています。
この選抜は2月の推薦入学・特色化選抜と同じ日程で、令和9年度は出願が2027年1月20日から1月28日正午、検査が2月2日から3日、合格内定通知が2月10日です。推薦入学や特色化選抜との併願はできませんが、内定にならなかった場合は3月の一般入試を受けられます。
昼間に通える定時制単位制の4校と、公立の通信制
全日制だけが選択肢ではありません。福岡県には、県内の4つの地区に1校ずつ、昼間に通える定時制単位制の県立高校があります。北九州地区のひびき高校、福岡地区の博多青松高校、筑後地区の大牟田北高校、筑豊地区の西田川高校です。午前・午後・夜間などの部に所属し、自分で時間割を組み立てて登下校します。[4]
入試は前期が2回に分かれています。前期Ⅰ期は面接と作文だけで、5教科の学力検査はありません。令和9年度は推薦入学と同じ2027年2月2日から3日に行われます。
前期Ⅱ期は5教科の学力検査と面接で、一般入試と同じ3月9日です。Ⅱ期では長期欠席者特例措置を使うこともできます。10月入学の後期試験もあり、こちらも面接と作文です。
公立の通信制は博多青松高校の1校で、ひびき・大牟田北・西田川の3校が協力校です。令和8年度の選考は、志願書類の提出後に面接を行い、書類で選考する形で、5教科の学力検査はありません。4月入学の前期選考は一般入試の合格発表後の3月下旬に出願する日程で、10月入学の後期選考もあります。[1]
つまり福岡県の公立には、学力検査を受けずに入学を目指せる道が、学びの多様化学校、定時制単位制の前期Ⅰ期、通信制と3つあります。それぞれ日程が重ならないので、順番に挑むこともできます。
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。福岡県には博多や小倉を中心に、本校やキャンパスを置く私立の通信制が数多くあります。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>福岡県の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。福岡県内には福岡市や北九州市、久留米市をはじめ各地に46の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
>>明光義塾高等学院(明光義塾との連携コース)の資料請求はこちら
今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「うちの子は、12月末の時点で中3の欠席が70日以上になりそうですか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。70日以上なら長期欠席者特例措置、30日以上なら小郡高校みらい創造コースと、使える仕組みが具体的になります。
あわせて、お子さんと一緒に「学校に行かなかった期間に続けていたこと」を1つだけ話してみてください。それが自己申告書の最初の1行になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
福岡県の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。調査書の出欠の記録は等差をつける資料にしないと要項に明記されていること。中3の欠席が70日以上なら、全校・全学科で中3の評定を使わない長期欠席者特例措置を申請できること。
欠席30日以上の不登校生徒だけが対象の小郡高校みらい創造コースがあること。面接と作文で受けられる定時制単位制の前期Ⅰ期と公立通信制があること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
欠席日数が多いと、福岡県の県立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。福岡県の要項には、調査書の出欠の記録は修学上はなはだしい支障のない限り等差をつける資料としないと明記されています。さらに中3の欠席日数が12月末の時点で70日以上なら「長期欠席者特例措置」を全校・全学科で申請でき、中3の評定を資料とせずに学力検査と面接で選考を受けられます。
長期欠席者特例措置を使うと、不利になりませんか?
この措置は、中3の各教科の評定を選考の資料にせず、学力検査と面接の結果、志願書類で総合的に選考するという扱いです。加点や特別枠ではありませんが、不利に扱うための制度でもありません。中学校長の申請書と本人の自己申告書が必要なので、必ず中学校の先生に相談してから進めてください。
5教科の学力検査なしで受験できる福岡県の公立高校はありますか?
あります。中3の欠席が年間30日以上の不登校生徒を対象にした小郡高校みらい創造コースは、国数英の特別の学力検査と作文・面接で選抜します。博多青松・ひびき・大牟田北・西田川の定時制単位制の前期Ⅰ期は面接と作文だけで、博多青松の通信制は面接と書類で選考します。
出典
- 福岡県教育委員会「令和8年度福岡県立高等学校入学者選抜要項」(一般入学者選抜の選抜の方法・長期欠席者特例措置・定時制課程の単位制入学者選抜要項・通信制課程入学者選考要項) PDF / 「令和9年度福岡県立高等学校入学者選抜要項」(10月下旬公表予定) ページ 本文へ戻る
- 福岡県教育委員会「令和9年度福岡県立高等学校入学者選抜日程」 ページ 本文へ戻る
- 福岡県立小郡高等学校「みらい創造コース 生徒募集」 ページ / 福岡県教育委員会「令和8年度福岡県立高等学校学びの多様化学校入学者選抜実施要項」(上記要項65ページ) 本文へ戻る
- 福岡県教育委員会「福岡県立高等学校の不登校対応」(文部科学省 不登校児童生徒に係る特別の教育課程WG 資料2、2026年4月30日) PDF / 福岡県「県立高校における多様な学びの場の充実について」 ページ 本文へ戻る
