「欠席がこんなに多くて、岐阜県の公立高校は受けられるのだろうか」。岐阜県で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
岐阜県の公立高校入試では、令和7年度の選抜から調査書に「出欠の記録」の欄がなくなりました。欠席日数が多い人は、欠席の理由や高校に理解してほしいことを本人と保護者が書く「自己申告書」を出すことができ、県教育委員会はこれを選抜の資料に加えると要項に明記しています。
さらに、華陽フロンティア(岐阜市)と東濃フロンティア(土岐市)の三部制・単位制2校は、午前・午後・夜間から通う時間帯を選べます。公立の通信制2校は調査書の評定そのものを使いません。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「岐阜県 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、岐阜県教育委員会が公表した令和9年度(2027年4月入学)の入学者選抜要項と実施概要一覧をもとに、内申(調査書)の扱い、自己申告書の仕組み、受け入れの間口が広い公立の選択肢、私立・通信制の道を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、岐阜県の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
岐阜県の公立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
岐阜県の公立高校入試は、3月上旬の「第一次選抜」と、定員に満たなかった学科で行う3月中旬の「第二次選抜」の2本立てです。全日制も定時制も同じ枠組みで、通信制だけは「前期選抜」「後期選抜」という別の日程で行います。[1]
- 第一次選抜 すべての高校で、出願者全員が受ける「標準検査」を行います。中身は5教科の学力検査(各100点、各50分)で、学校によっては面接も加わります。部活動や実技の実績を特に重く見る学科では、希望者に「独自検査」を追加し、定員の30%を上限に先に合格者を決めます
- 第二次選抜 第一次選抜で定員に満たなかった学科・部で行います。全員に面接があり、国語・数学・英語のうち高校が指定した教科の学力検査や小論文を加える学校もあります
調査書の評定は「1年と2年の9教科の評定の合計」に「3年の9教科の評定の合計を2倍した値」を足して使います。中3の成績が重く、1・2年は半分の重みです。
そして、調査書の評定と学力検査の結果をどんな比率で見るかは、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7の5段階から高校ごとに決めて、県が事前に公表しています。令和9年度は岐阜・岐阜北・長良・大垣北・大垣東などの普通科が3:7で、学力検査の比重が重い学校が少なくありません。[2]
つまり、評定が厳しい状態でも当日の学力検査で挑める学校が、制度の中に最初から用意されています。
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
岐阜県の調査書には出欠の記録がない。令和7年度から欄を削除
ここが岐阜県の大きな特徴です。令和9年度の調査書(別記第1号様式)に書かれるのは、学籍の記録、各教科の学習の記録(観点別学習状況と評定)、特別活動の記録、学校内外における諸活動の記録、特記事項の5つだけです。学年ごとの欠席日数も、欠席の理由も、健康の状況も欄がありません。[3]
この欄がなくなったのは令和7年度の選抜からです。文部科学省が毎年まとめている全国の入学者選抜の状況調査を見ると、令和6年度の選抜では岐阜県の調査書に「出欠の記録」があり、令和7年度の選抜からは「調査書に出欠の記録を求めない」を全校で実施している県に変わっています。[4]
つまり、欠席日数は調査書には書かれず、志願先の高校が調査書から欠席の日数や理由を知ることはありません。調査書作成要領にも「特記事項」の欄は「その他、特記すべき事項がある場合に記入する」とあるだけで、欠席について書く決まりはありません。
評定そのものは残るので、テストを受けられなかった教科の低い評定は第一次選抜の審査に響きます。だからこそ、次に紹介する自己申告書と、調査書の比重が軽い学校や三部制の学校を組み合わせて考えるのが現実的です。
欠席が多い人は「自己申告書」を出せる。本人と保護者が書く1枚
岐阜県の要項には、出願の項目にこう書かれています。「出願者のうち、欠席日数の多い者等は、自己申告書(別記第6号様式)を提出することができる」。
そして選抜方法の項目には、高校長は「調査書の記録(出願者から自己申告書が提出された場合は、これを含む。)及び標準検査の結果に基づいて、総合的に審査」すると明記されています。[1]
様式はA4判1枚で、記入欄は2つだけです。[5]
- 出願者記入欄(欠席の理由等) 本人が自署で書きます。欠席していた期間に何をしていたか、高校で何をしたいかを自分の言葉で書く場所です
- 保護者記入欄(高等学校に理解してほしいことがらなど) 保護者が自署で書きます。体調面や配慮してほしいことを伝えられます
提出の仕方は中学校経由ではなく、本人と保護者が記入した自己申告書を、封筒に「自己申告書在中」または「親展」と朱書きして、簡易書留などで出願先の高校長に直接送ります。令和9年度の第一次選抜は2027年2月18日の消印まで有効です。第二次選抜でも提出でき、こちらは3月16日までです。
知っておいてほしい点が3つあります。1つ目は、欠席日数の基準が決められていないことです。新潟県のように「30日以上」といった線引きはなく、「欠席日数の多い者等」であれば出せます。
2つ目は、この申告書が加点や特別枠ではないことです。「調査書の記録に含めて総合的に審査する」資料であり、欠席の事情を高校に伝えるためのものです。3つ目は、全日制と定時制の第一次・第二次選抜で使え、通信制では使わないことです。通信制は後で説明するとおり、調査書の評定そのものを記入しません。
自己申告書を出すかどうかは任意です。書くなら「なぜ行けなかったか」より「その間に何をしていたか」「高校で何をしたいか」に文字数を使うのが伝わりやすい書き方です。面接での答え方の例は次の記事にまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
通う時間帯を選べる三部制・単位制の2校。華陽フロンティアと東濃フロンティア
岐阜県には、午前・午後・夜間の3つの時間帯(Ⅰ部・Ⅱ部・Ⅲ部)から通う部を選べる「三部制」の定時制高校が2校あります。県の受験生向け資料も「三部制をとっている学校では、午前の時間帯からの学習も可能」と紹介しています。[6]
定時制の第一次選抜は、全校で面接と「高校が指定する学力に関する検査」を行い、学校によって小論文などを加えます。三部制の2校は、令和9年度の実施概要一覧では第一次・第二次とも面接、国語・数学・英語の3教科、小論文の組み合わせで、同じ学校の別の部を第2志望・第3志望にできます。[2]
- 華陽フロンティア高校 岐阜市西鶉。定時制は単位制で、朝から夜のどこかの時間帯(Ⅰ部・Ⅱ部・Ⅲ部)で授業を受け、3年間での卒業もできます。令和8年度の実施概要では、第一次選抜は個人面接(10分程度)、国語・数学・英語の学力検査、600字以内の小論文でした
- 東濃フロンティア高校 土岐市泉町河合。Ⅰ部は8時40分から15時5分、Ⅱ部は10時30分から16時55分、Ⅲ部は15時15分から21時5分で、授業は20人程度の少人数です。令和8年度の実施概要では、第一次選抜は集団面接(15分程度)、国語・数学・英語の学力検査、500〜600字程度の小論文でした
各校の令和9年度の検査内容と日程は、2026年10月末までに各校のホームページで公表される決まりです。上に書いた検査内容は令和8年度のもので、志望するときは必ず最新の実施概要を確認してください。
このほかの定時制は、岐阜商業・岐阜工業(岐阜市)、大垣商業・大垣工業(大垣市)、加茂(美濃加茂市)、中津(中津川市)、飛騨高山(高山市)、市立の関商工(関市)、中津川市立の阿木(中津川市)です。阿木高校は昼間に通う定時制で、生産科学科と総合生活科があります。
集団の中で検査を受けること自体に強い不安がある場合は、「受検上の配慮申請書」の仕組みもあります。中学校長を通じて、2027年1月末までに志願先の高校長に出す決まりなので、早めに担任の先生に相談してください。
調査書の評定を使わない道。公立通信制の2校と第二次選抜
調査書の評定を使わずに公立高校に入る道もあります。
まず通信制の課程です。県内の公立通信制は華陽フロンティア高校(岐阜市)と飛騨高山高校(高山市)の2校です。要項には「調査書の作成に際し、各教科の学習の記録の欄は記入しない」と書かれていて、検査は面接と自己表現だけです。学力検査はありません。[1]
華陽フロンティアの令和8年度の実施概要では、自己表現は「志望動機、本校通信制課程の特色、入学後にがんばりたいこと、将来の夢や目標」をそれぞれ100字以内で書く30分の検査で、面接は個人面接6〜8分程度でした。スクーリングは基本的に日曜日か火曜日に登校し、普段は自宅で学びます。[7]
令和9年度の通信制前期選抜は、出願が2027年2月5日から10日(Web出願)、検査が3月3日または4日、発表が3月12日です。
公立高校に合格していない人が出願できる後期選抜もあり、出願が3月23日から24日、検査が3月25日、発表が3月26日です。第一次選抜から通信制前期選抜への出願変更もできます。[8]
次に、全日制・定時制の第二次選抜です。第一次選抜の合格発表と同じ3月12日に、定員に満たなかった学科・部と募集人員が県のホームページで公表されます。出願は3月13日から15日、検査は3月18日、発表は3月23日です。調査書の評定は使いますが、全員に面接があり、自己申告書もあわせて出せます。
令和9年度の第一次選抜の主な日程は、Web出願が2027年2月5日正午から10日正午、出願変更が2月12日から16日、検査が3月3日(一部の高校は4日も)、追検査が3月9日、発表が3月12日です。
なお、東京都のチャレンジスクールや神奈川県の長期欠席の申請制度のように「不登校の生徒のため」と名前を付けた選抜枠は岐阜県にはなく、いちばん近いのが上で紹介した自己申告書と三部制2校です。
文部科学省の一覧にある岐阜県の「学びの多様化学校」は、岐阜市立草潤中学校、西濃学園中学校、北方町立北学園の3校で、高校はありません。[9]
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。岐阜県には県内に本校を置く私立の通信制が5校あり、公立の2校と合わせて7校から選べます。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>岐阜県の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。岐阜県内には岐阜市や大垣市、各務原市、可児市、多治見市、高山市をはじめ各地に25の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
岐阜県は美濃と飛騨で距離感がまったく違う県で、公立の通信制は岐阜市と高山市の2校です。東濃や西濃の山あいからは「通える学校が近くにない」が進路選びの壁になりがちです。自宅の近くの教室で学べる仕組みなら、その壁を越えられます。
中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
>>明光義塾高等学院(明光義塾との連携コース)の資料請求はこちら
今日できる一歩
まず、自己申告書の2つの欄を、お子さんと一緒に家で下書きしてみてください。「欠席の理由等」の欄は、行けなかった理由を詳しく書く場所ではなく、その間にしていたことと高校でやりたいことを書く場所だと考えると、筆が進みます。
そのうえで、中学校の担任の先生に「志望校の令和9年度の実施概要を一緒に見たい」と伝えてみてください。電話や連絡帳でかまいません。調査書と学力検査の比率や、三部制の学校の検査内容が分かると、志望校の考え方が具体的になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
岐阜県の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。令和7年度から調査書に出欠の記録がなく、欠席日数が高校に伝わらないこと。欠席日数が多い人は本人と保護者が書く自己申告書を出せて、高校がそれを含めて総合的に審査すること。
調査書と学力検査の比率が3:7の学校があり、当日の得点で挑めること。華陽フロンティア・東濃フロンティアの三部制2校が通う時間帯を選べること。華陽フロンティア・飛騨高山の通信制は評定を使わず面接と自己表現だけであること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
欠席日数が多いと、岐阜県の公立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。岐阜県の公立高校入試では令和7年度の選抜から調査書に出欠の記録の欄がなくなり、欠席日数は高校に伝わりません。第一次選抜は調査書の評定と5教科の学力検査を高校ごとに決めた比率で総合的に審査し、3:7で学力検査を重く見る学校もあるので、当日の得点で挑めます。
岐阜県の高校入試の自己申告書は、誰がどう出すのですか?
欠席日数の多い人が任意で出せる別記第6号様式で、本人が「欠席の理由等」、保護者が「高等学校に理解してほしいことがら」を自署で書きます。
封筒に「自己申告書在中」または「親展」と朱書きし、簡易書留などで出願先の高校長に直接送ります。
令和9年度の第一次選抜は2027年2月18日の消印まで有効で、高校は調査書の記録に含めて総合的に審査します。
不登校の生徒が通いやすい岐阜県の公立高校はありますか?
三部制・単位制の華陽フロンティア高校(岐阜市)と東濃フロンティア高校(土岐市)は、午前・午後・夜間から通う部を選べ、面接と国語・数学・英語の学力検査、小論文で選抜します。華陽フロンティアと飛騨高山の通信制は、調査書の評定を記入せず、面接と自己表現だけで学力検査がありません。
出典
- 岐阜県教育委員会「令和9年度岐阜県立高等学校入学者選抜要項」(Ⅰ 全日制の課程 第4 第一次選抜・第9 第二次選抜、Ⅱ 定時制の課程、Ⅲ 通信制の課程) PDF / 掲載ページ「入学者選抜」 ページ 本文へ戻る
- 岐阜県教育委員会「令和9年度岐阜県公立高等学校入学者選抜の実施概要一覧」 PDF 本文へ戻る
- 岐阜県教育委員会「別記第1号様式 調査書」(令和9年度) 様式 PDF / 作成要領 PDF / 掲載ページ「公立高等学校入学者選抜の各種様式」 ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」 PDF / 「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」 PDF 本文へ戻る
- 岐阜県教育委員会「別記第6号様式 自己申告書」(令和9年度) PDF 本文へ戻る
- 岐阜県教育委員会「令和9年度 公立高校をめざす皆さんへ」 PDF 本文へ戻る
- 岐阜県立華陽フロンティア高等学校「令和8年度 入学者選抜実施概要」 定時制課程 PDF / 通信制課程 PDF / 岐阜県立東濃フロンティア高等学校「令和8年度 入学者選抜実施概要」 PDF 本文へ戻る
- 岐阜県教育委員会「令和9年度岐阜県立高等学校入学者選抜について」(日程・概要、令和8年3月19日発表) PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」 ページ 本文へ戻る
