「欠席がこんなに多くて、兵庫の公立高校は受けられるのだろうか」。兵庫県で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
兵庫県の公立高校入試では、中学校の出欠の記録は「調査書情報とはしない」と県の要綱に明記されています。中3の出席日数が40日未満の生徒には、副申書と自己申告書を添えて、学力検査の結果を重視して判定する仕組みがあります。
学力検査を行わずに面接と作文で選抜する「多部制2月選抜」を行う県立高校も4校あります。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「兵庫県 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、兵庫県教育委員会が2026年9月に公表した令和9年度(2027年4月入学)の入学者選抜要綱をもとに、調査書(内申)の扱い、欠席への配慮の仕組み、学力検査によらない選抜、私立・通信制の選択肢を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、兵庫県の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
兵庫県の公立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
兵庫県の公立高校の一般的な入試(3月の学力検査による選抜)は、調査書情報の学習評定と5教科の学力検査を、同じ比重で組み合わせて合否を判定します。全日制の普通科と総合学科は第2志望まで出願できる「複数志願選抜」、専門学科などは「単独選抜」です。[1]
判定に使う資料は3つに分かれています。
- 判定資料A 中学3年の評定。国語・社会・数学・理科・英語の5教科の評定の和を4倍し、音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科の評定の和を7.5倍して足した値です。総配点は250点
- 判定資料C 学力検査5教科の得点(各100点、計500点)を0.5倍した値。総配点は250点
- 判定資料B 学習の記録以外の諸記録(特別活動の記録など)を総合した資料。合否判定では参考として用います
AとCを同等に扱って合否を判定するので、内申と当日の学力検査は250点ずつ、ちょうど半分ずつです。
ここで知っておいてほしいのが、判定資料Aに使うのが「第3学年」の評定だけだということです。中1・中2の評定も調査書情報として登録されますが、点数化される評定は中3の9教科です。中1や中2に休んでいた期間があっても、中3の学びから点数を作れる仕組みです。
なお令和9年度からは、部活動などの顕著な記録を各高校が特別に評価する「特別取扱い」が廃止されました。調査書側の加点要素が減り、評定と学力検査の同等の比重がより明確になっています。[3]
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
欠席日数は「調査書情報とはしない」と要綱に明記されている
兵庫県の要綱には、調査書情報に登録する項目が一覧で定められています。課程・学科、志願者名、学歴、各教科の学習の記録、参考事項、特別活動の記録等の6項目で、この中に出欠の記録はありません。
中学校は第3学年の出欠の記録(1月15日まで)を作成してシステムに登録しますが、要綱は「出欠の記録は、調査書情報とはしない」と明記しています。つまり、欠席日数の数字そのものが合否判定の資料になることはありません。[1]
「休んでいた日数を高校に見られて落とされる」という不安は、兵庫県の制度上は当てはまりません。影響が出るとすれば、休んでいた期間に評定がつきにくかった、という間接的な形です。その評定についても、次に説明する仕組みが用意されています。
中3の出席日数が40日未満なら。副申書と自己申告書を添えて「学力検査を重視」して判定
兵庫県の要綱には、登校する意志があるにもかかわらず、やむを得ない事由により中学3年の出席日数が40日未満だった生徒についての定めがあります。この場合も通常どおり5段階の評定を行うことが原則ですが、資料が整わず評定が難しいときは、別の方法で評定します。[1]
- 評定の方法 各教科への関心・意欲や知識・理解の程度などを勘案して、評価の高い順に「a・b・c・d・e」の記号で5段階の評定を行います
- 添付する書類 中学校長からの副申書(様式2)と、志願者本人が書く自己申告書(様式3)をシステムに添付します
- 合否判定の扱い 学力検査の結果(判定資料C)を重視して合否を判定します。評定(A)・諸記録(B)・自己申告書は参考として用い、副申書を勘案して総合判定します
この「学力検査を重視」の判定は、3月の学力検査による選抜(複数志願選抜・単独選抜)と、後で説明する多部制3月選抜Aに定められています。志望校の種類を問わず、中3の出席が40日未満なら同じ扱いを受けられます。
注意点も知っておいてください。推薦入学・特色選抜・連携型選抜・外国人生徒特別枠選抜では、この「a〜e評定」を行うことはできません。これらの選抜を考える場合は、中3の評定がどう作られるかを中学校の先生に早めに確認しておく必要があります。
また、この仕組みは加点でも特別枠でもありません。「休んでいた期間の評定で不利にならない形で、当日の学力検査を軸に他の受検生と同じ土俵に立つ」ための仕組みです。対象になるかどうかの判断や副申書の作成は中学校が行うので、必ず中学校の先生に相談してください。
自己申告書(様式3)に何を書くか
自己申告書は、志願者本人が「志願の動機・理由、自分の長所や努力したことがら、高校生活への抱負など」を書く様式です。中学校長が記載内容を確認したうえでシステムに添付します。[2]
これは欠席の弁明書ではありません。フリースクールや教育支援センターに通った経験、家で続けてきた学習、学校に行けない期間に考えたことは、そのまま「努力したことがら」や「高校生活への抱負」として書ける内容です。
面接を実施する高校で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
学力検査を行わない「多部制2月選抜」の4校
兵庫県には、午前・午後・夜間の3つの部から自分の時間帯を選んで通う「多部制」の単位制高校が4校あります。令和9年度に入学者選抜を実施する多部制の県立高校は次のとおりです。[1]
- 西宮香風高校 西宮市。普通科
- 阪神昆陽高校 伊丹市。普通科
- 西脇北高校 西脇市。普通科
- 飾磨工業高校 姫路市。基礎工学科
多部制の入学者選抜は年に複数回に分かれていて、募集定員の60〜70%を占める2月選抜は、学力検査を行いません。調査書情報と志願理由書(様式4)を提出し、面接と作文で選抜します。面接と作文は、志願する動機・理由や将来の進路などについて、各校のスクール・ポリシーに即して行われます。
令和9年度の多部制2月選抜は、面接・作文が2027年2月16日(志願者数により17日も実施)、合格発表が2月22日です。2月選抜で合格にならなかった場合は、3月11日の多部制3月選抜Aに進めます。3月選抜Aは学力検査と面接で、学力検査は必ず受ける2教科と1教科選択の計3教科です。
つまり多部制は、学力検査なしの2月選抜と、3教科の3月選抜Aの2回の機会があります。3月選抜Aでは、中3の出席が40日未満だった生徒への「学力検査を重視」の判定も適用されます。
このほか、各高校の特色に応じて面接や小論文などで選抜する「特色選抜」(定員の20%以内)も2月16日に行われます。ただし前の項目で触れたとおり、特色選抜では「a〜e評定」を使えないので、評定の作られ方を先に確認してから検討してください。
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
公立の通信制は面接のみ。青雲高校と網干高校
公立の通信制は県立青雲高校(神戸市)と県立網干高校(姫路市)の2校で、入学者選抜は調査書情報と面接の結果を資料に行います。5教科の学力検査はありません。[1]
令和9年度の1次募集は面接が2027年3月7日・8日、合格発表が3月10日です。面接は本校のほか協力校でも受けられ、青雲高校の志願者は柏原高校・洲本実業高校、網干高校の志願者は阪神昆陽高校・西脇北高校・豊岡高校が会場になります。但馬や淡路、丹波にお住まいでも、近くで受検できる仕組みです。
定員に満たない場合は再募集があり、令和9年度は面接が3月25日、合格発表が3月29日です。3月の学力検査の結果を見てから、通信制の再募集に動くことも日程上は可能です。
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして私立の通信制高校です。書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。兵庫県には相生・淡路・養父に本校を置く私立通信制と、神戸・西宮・姫路にキャンパスを置く広域通信制があります。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>兵庫県の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。兵庫県内には神戸市や姫路市、尼崎市、明石市、西宮市をはじめ各地に58の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
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今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「うちの子は、中3の出席日数が40日未満になりそうですか。その場合、副申書と自己申告書を添える評定になりますか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。当てはまるかどうかで、3月の学力検査に向けた準備の重心が決まります。
あわせて、お子さんと一緒に「学校に行かなかった期間に続けていたこと」を1つだけ話してみてください。それが自己申告書の最初の1行になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
兵庫県の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。出欠の記録は調査書情報にならないこと。点数化される評定は中3の9教科だけで、内申と学力検査が250点ずつ同じ比重であること。中3の出席が40日未満なら、副申書と自己申告書を添えて学力検査を重視した判定を受けられること。
学力検査を行わない多部制2月選抜の4校と、3教科の3月選抜Aがあること。面接のみの公立通信制が2校あること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
欠席日数が多いと、兵庫県の公立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。兵庫県の令和9年度入学者選抜要綱では「出欠の記録は、調査書情報とはしない」と明記されていて、欠席日数の数字は合否判定の資料になりません。
点数化される評定も中3の9教科だけです。中3の出席日数が40日未満の場合は、副申書と自己申告書を添えて、学力検査の結果を重視した判定を受けられます。
中3の出席日数が40日未満のときの判定は、不利になりませんか?
学力検査の結果を重視し、評定と自己申告書を参考にして、中学校長の副申書を勘案した総合判定になります。
加点や特別枠ではありませんが、休んでいた期間の評定だけで不利に扱うための仕組みでもありません。
推薦入学や特色選抜ではこの「a〜e評定」を使えないので、対象になるかどうかを含めて中学校の先生に相談してから進めてください。
学力検査なしで受験できる兵庫県の公立高校はありますか?
あります。多部制の西宮香風・阪神昆陽・西脇北・飾磨工業の4校は、2月選抜を面接と作文で行い、学力検査を実施しません。合格にならなくても3教科の学力検査と面接による3月選抜Aに進めます。公立通信制の青雲高校・網干高校も調査書情報と面接で選抜し、学力検査はありません。
出典
- 兵庫県教育委員会「令和9年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱」(2026年9月3日公表。第3006項・第3007項・別表1・第5多部制2月選抜・第6学力検査・第7多部制3月選抜A・第9通信制課程1次募集・第10通信制課程再募集) PDF / 掲載ページ ページ 本文へ戻る
- 兵庫県教育委員会「令和9年度兵庫県公立高等学校入学者選抜要綱様式集」(様式2副申書・様式3自己申告書・様式4志願理由書) PDF 本文へ戻る
- 兵庫県教育委員会「令和9年度兵庫県公立高等学校入学者選抜に関する基本方針について」(2026年7月2日記者発表。新旧対照表・入学者選抜の日程) PDF 本文へ戻る
