「欠席がこんなに多くて、京都府の公立高校は受けられるのだろうか」。京都府で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
京都府の公立高校入試には、中学校のいずれかの学年で年間30日以上欠席した人だけが出願できる「長期欠席者特別入学者選抜」が、府立4校で用意されています。この選抜で使う報告書には、評定の欄がありません。
さらに、不登校や学びのつまずきを経験した生徒を対象に掲げる昼間定時制の京都奏和高校と清明高校があり、清明高校には学力検査を行わない選抜方式もあります。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「京都府 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、京都府教育委員会と京都市教育委員会が公表した令和9年度の選抜要項をもとに、内申(報告書)の扱い、長期欠席者向けの選抜、受け入れの間口が広い公立校、私立・通信制の道を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、京都府の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
令和9年度から京都府の公立高校入試はこう変わった
京都府の公立高校入試は、令和9年度(2027年春の入学)から仕組みが大きく変わりました。これまでの前期選抜と中期選抜が「前期選抜」に一本化され、その中に「独自枠」と「共通枠」の2つの枠が置かれています。[1]
- 独自枠 各高校が報告書・統一学力検査・個別学力検査・面接・作文・活動実績報告書・実技検査の中から検査項目と配点を決めます。志願できるのは1校1学科です
- 共通枠 全校共通で、報告書と統一学力検査(国語・数学・英語・理科・社会)で選抜します。第2志望まで志願できます
両方の枠に出願することもできます。統一学力検査は2027年2月18日、面接などの学校個別検査は原則2月19日で、合格発表は3月5日です。出願はWEB出願システムで、2月3日から5日までです。
古い制度名のまま説明している情報がまだ多いので、「中期選抜」「前期選抜の募集割合30%」といった説明を見かけたら、令和8年度までの話だと思ってください。
京都府の公立高校入試で内申(報告書)はどう使われるか
京都府では、中学校が作る調査書を「報告書」と呼びます。共通枠での使われ方は要項にはっきり書かれています。[2]
- 報告書 中1から中3までの9教科の評定を合計します。音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は2倍します(満点は195点)
- 統一学力検査 5教科で各40点、合計200点です
- 合格者の決め方 報告書と学力検査をそれぞれ高得点順に並べ、両方が募集人員の90%以内に入る人をまず選び、残りは2つの合計点の順に総合判断します
ここで知っておいてほしいのが、報告書(様式Bの1)の中身です。欄は「学歴」「学習の記録(評定と観点別学習状況)」「総合的な学習の時間」「総合所見」で、出欠の記録を書く欄がありません。欠席日数そのものは、共通枠の報告書では高校に伝わらない仕組みです。
ただし、評定は3年分すべてが使われます。不登校で評定がつきにくかった学年があると、報告書の点数は厳しくなります。そのぶん当日の学力検査の得点で挑める設計ではありますが、「評定が使われない道」も京都府には用意されています。次の項目で説明します。
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
年間30日以上の欠席があれば出願できる「長期欠席者特別入学者選抜」
京都府の公立高校入試には、長期欠席だった生徒のための選抜が公式に用意されています。名称は「長期欠席者特別入学者選抜」です。令和9年度の要項では、次のとおりです。[2]
- 出願できる人 2027年3月に中学校を卒業する見込みで、中1から中3のいずれかの学年で年間30日以上の欠席がある人です
- 実施校と募集人員 朱雀高校(京都市中京区)10人程度、乙訓高校(長岡京市)5人程度、城陽高校(城陽市)10人程度、西舞鶴高校(舞鶴市)5人程度。いずれも全日制の普通科です
- 検査 2月18日に統一学力検査の国語・数学・英語、2月19日に面接と作文です。理科と社会は受けません
この選抜で提出する報告書は、一般の様式Bの1ではなく「様式Bの2(長期欠席者特別入学者選抜用)」です。書かれるのは各学年の出欠の状況、連続して登校しなかった日数、長期欠席の理由、欠席中の状況、中3のときの登校の様子(教室に入れるか、別室登校か、遅刻や早退が多いか)などで、評定の欄はありません。
つまり、成績の数字ではなく「なぜ行けなかったか」「その間どうしていたか」「いま学校でどう過ごしているか」を中学校が書き、それと当日の3教科・面接・作文で選抜する仕組みです。教育支援センターやフリースクールに通っていた日数を書く欄もあります。
府内全域から志願できます。通学区域を越えて志願する場合は、通学区域外の就学許可申請が必要です。出願は1校に限られ、ほかの特別入学者選抜や前期選抜の独自枠との併願はできません。前期選抜の共通枠とは併願できて、その場合は様式Bの1の報告書も提出し、2月18日の午後に理科・社会も受けます。
この選抜は加点や特別枠ではなく、選抜の資料を変える仕組みです。対象になるかどうかや必要書類の確認があるため、志願を考えたら早めに中学校の先生に相談してください。
面接で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。作文の準備にもそのまま使えます。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
不登校経験者を対象に掲げる昼間定時制。京都奏和高校と清明高校
京都府には、募集要項の「求める生徒像」に不登校や学び直しを明記している昼間の定時制高校が2校あります。どちらも単位制で、独自枠だけで募集し、共通枠の募集はありません。[3]
まず京都市立京都奏和高校(京都市伏見区)です。昼間四部制で募集定員は80人、令和9年度はD方式80人の募集です。求める生徒像は「学びのつまずきや不登校など、様々な困りを経験しながらも、集団の中での学びを通して、協調性や主体性を身に付けるとともに、学び直しを希望する生徒」と書かれています。
検査は学校が作る国語・数学・英語の個別学力検査が各50点で、基礎的・基本的な内容から出題されます。面接は350点で、自己申告書の内容や学ぶ意欲について答える個人面接です。学力検査より面接の配点がはるかに大きい設計です。
出願には中学校長が作る副申書と、本人が書く自己申告書が必要で、様式は2026年12月1日以降に学校のサイトで配布されます。
面接で口頭で答えるのが難しいなど、受検上の配慮が必要な人は、中学校を通じて事前に「学力検査等受検上の特例措置申請書A」を提出できます。
次に京都府立清明高校(京都市北区)です。昼間二部制で、午前コースと午後コースを合わせた募集定員は120人です。令和9年度の独自枠は2つの方式に分かれています。
- A方式(48人) 国語・数学・英語の個別学力検査100点と個人面接50点。報告書も資料にします
- D方式(72人) 600〜800字程度の作文50点と個人面接50点。学力検査はありません
求める生徒像は「新たな一歩を踏み出すために、自分のペースで学びたい生徒」で、「まとまった時間を学び直しや得意分野の伸長に生かしたい生徒」とも書かれています。出願には自己申告書とコース選択希望届が必要で、様式は2026年12月1日以降に学校のサイトで配布されます。
2校とも独自枠を志願しながら、共通枠で全日制の高校を志願することが認められています。「まず奏和や清明を受け、共通枠で別の全日制も」という組み合わせが制度上できるということです。
府北部では、福知山市の清新高校(昼間定時制・総合学科・募集定員40人)に、面接100点と作文100点だけで学力検査を行わないD方式(15人)があります。
なお、京都府内の「学びの多様化学校」は京都市立の洛風中学校と洛友中学校の2校で、高校段階の設置はありません。[4]
前期選抜のあとにも道がある。後期選抜と公立通信制
前期選抜で合格にならなかった場合も、京都府の入試は終わりではありません。[1]
- 後期選抜 欠員のある学科で実施されます。実施校は2027年3月5日に発表され、出願は3月10日から11日、検査は3月16日に国語・数学・英語(各30点)と面接、合格発表は3月18日です
- 公立の通信制 朱雀高校と西舞鶴高校の通信制課程は学力検査を行わず、必要に応じて面接をして報告書などで選抜します。出願は3月24日から26日で、WEB出願ではなく紙の願書を学校から取り寄せます
夜間の定時制(朱雀・鳥羽・桃山・綾部東分校・東舞鶴浮島分校)は、共通枠でも面接が実施されます。
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。京都府には府内に本校を置く私立の通信制が10校あり、2026年4月にも2校が開設されました。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>京都府の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。京都府内には京都市の各区をはじめ宇治市、長岡京市、亀岡市、福知山市、宮津市など各地に29の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
京都市から丹後まで南北に長い京都府では「通える学校が近くにない」が進路選びの壁になりがちですが、自宅の近くの教室で学べる仕組みなら、その壁を越えられます。中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
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今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「長期欠席者特別入学者選抜の対象になりますか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。年間30日以上の欠席がある学年が1つでもあれば対象なので、答えはすぐ返ってきます。
あわせて、お子さんと一緒に「学校に行かなかった期間に続けていたこと」を1つだけ話してみてください。それが自己申告書と面接、作文の最初の1行になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
京都府の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。共通枠の報告書には出欠の欄がなく、欠席日数そのものは伝わらないこと。年間30日以上の欠席があれば、評定を使わない報告書で受けられる長期欠席者特別入学者選抜が府立4校にあること。
不登校経験者を対象に掲げる京都奏和高校と清明高校があり、清明高校には作文と面接だけの方式があること。後期選抜と公立通信制の道が3月にも残っていること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
欠席日数が多いと、京都府の公立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。令和9年度の前期選抜共通枠で使う報告書には出欠の記録を書く欄がなく、欠席日数そのものは選抜の資料になりません。
さらに中1から中3のいずれかの学年で年間30日以上の欠席があれば、評定の欄がない専用の報告書と国語・数学・英語・面接・作文で選抜する「長期欠席者特別入学者選抜」に出願できます。
長期欠席者特別入学者選抜はどの高校で受けられますか?
令和9年度は、朱雀高校10人程度、乙訓高校5人程度、城陽高校10人程度、西舞鶴高校5人程度の府立4校の全日制普通科で実施されます。府内全域から志願でき、前期選抜の共通枠との併願もできます。出願は1校に限られ、独自枠やほかの特別入学者選抜との併願はできません。
学力検査なしで受験できる京都府の公立高校はありますか?
あります。清明高校(昼間二部制の定時制)のD方式は作文と個人面接だけで選抜し、募集人員は72人です。京都奏和高校は基礎的な内容の国語・数学・英語(各50点)に加えて面接が350点と、面接の比重が大きい選抜です。朱雀高校と西舞鶴高校の通信制課程も学力検査を行わず、報告書などで選抜します。
出典
- 京都府教育委員会「令和9年度京都府公立高等学校入学者選抜について」(令和8年8月28日 広報資料) PDF / 掲載ページ「令和9年度入学者選抜に関すること」 ページ 本文へ戻る
- 京都府教育委員会・京都市教育委員会「令和9年度京都府公立高等学校入学者選抜要項(本文)」(4 報告書、5 前期選抜、6(4) 長期欠席者特別入学者選抜、7 後期選抜、8 通信制、様式Bの1・Bの2、別表4) PDF 本文へ戻る
- 京都府教育委員会・京都市教育委員会「令和9年度 前期選抜独自枠等募集要項(前半)」(京都府立清明高等学校、京都市立京都奏和高等学校の各募集要項) PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧」 ページ 本文へ戻る
