「欠席がこんなに多くて、静岡県の公立高校は受けられるのだろうか」。静岡県で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
静岡県の公立高校入試には、欠席の事情を自分の言葉で伝える「自己申告書」の仕組みがあり、調査書そのものを使わずに選抜する「長期欠席生徒選抜」を行う県立高校もあります。単位制の定時制や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「静岡県 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、静岡県教育委員会が2026年9月に公表した令和9年度(2027年4月入学)の入学者選抜実施要領をもとに、内申(調査書)の扱い、欠席への配慮の仕組み、受け入れの間口が広い公立の選択肢、私立・通信制の道を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、静岡県の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
静岡県の公立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
静岡県の公立高校の一般選抜は、5教科の学力検査(各50点)と面接を志願者全員が受け、調査書とあわせて選抜します。学力検査は令和9年3月3日、面接は3月4日、合格発表は3月12日です。[1]
ここで知っておいてほしいのが、選抜が「学校裁量枠」と「共通枠」の2つに分かれていることです。学校裁量枠は募集定員の50%を上限に、各高校が調査書・学力検査・面接に加えて作文や実技などの独自資料を使い、独自の基準で選抜します。学校ごとの内容は県が一覧表で公表しています。[2]
残りの共通枠は、3つの段階で合格者を決めます。
- 第1段階(共通枠定員の75%程度) 調査書の9教科の評定合計が上位の人を対象に、学力検査5教科の合計点が上位の人から合格にします
- 第2段階(10%程度) 調査書の学習の記録以外の記載事項と面接の結果で合格者を決めます
- 第3段階(15%程度) 調査書の記載事項、学力検査、面接の結果などを総合的に審査して合格者を決めます
第1段階は評定の順位で対象者を絞ってから学力検査で選ぶ方式なので、評定が厳しい状態だと入りにくいのは事実です。ただ、第2段階と第3段階は評定以外の要素が主役になる段階で、制度の中に最初から組み込まれています。
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
欠席の事情を自分の言葉で伝える「自己申告書」
静岡県の調査書には「欠席等の状況」の欄があり、学年ごとの欠席日数と主な理由が記入されます。北海道や千葉県のように「出欠の記録は選抜の資料にしない」と要領に書かれているわけではありません。その代わりに用意されているのが、志願者本人が書く「自己申告書(様式第4号)」です。[1]
- 提出できる人 欠席日数と、教育支援センターへの通所などで出席扱いになっている日数の合計が、中3でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上の人
- 書く内容 長期欠席の理由、志願の動機、高校生活への抱負など。必要に応じて裏面に保護者が補足できます
- 出し方 志願者本人が作成し、令和9年度からはWeb出願システムに登録します
自己申告書は「欠席等の状況について説明することを希望する志願者」が出せる任意の書類で、加点や特別枠を約束するものではありません。ただ、調査書の欠席欄だけを見られて終わるのではなく、なぜ休んでいたのか、いま何を考えているのかを自分の言葉で高校に届けられる仕組みです。
対象になるかどうかは出席扱いの日数の数え方で変わるので、出願前に中学校の先生と一緒に確認してください。面接で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
通信制という道を先に知っておきたい方には、僕が運営に関わる高校卒業資格が取れる学校があります。詳しくは後半で紹介します。
調査書を使わない「長期欠席生徒選抜」。県立2校が実施
静岡県には、調査書そのものを使わずに選抜する「長期欠席生徒選抜」があります。令和9年度の実施校は、県立伊豆総合高校土肥分校(普通科)と県立天竜高校春野校舎(普通科)の2校で、募集はそれぞれ若干名です。学区は県内全域なので、県内のどこに住んでいても志願できます。[3]
- 志願できる人 自己申告書と同じ基準で、欠席と出席扱いの日数の合計が中3でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上の人
- 提出する書類 本人は入学願書と自己申告書、中学校長は調査書の代わりに「副申書(様式第13号)」を提出します
- 検査と選抜 一般選抜と同じ5教科の学力検査(3月3日)と面接(3月4日)を受け、自己申告書・副申書・面接・学力検査の結果を総合的に審査して合格者を決めます
面接は自己申告書と副申書の内容に沿って行われます。副申書には中学校生活の状況や高校生活への適応の見通しが書かれるので、中学校の先生と早めに話しておくことが準備の第一歩です。
注意点もそのまま知っておいてください。長期欠席生徒選抜は一般選抜と併願できず、志願できるのは1校1学科だけです。受付は一般選抜と同じ令和9年2月16日から18日正午までで、合格発表は3月12日です。土肥分校は伊豆市、春野校舎は浜松市天竜区にあるので、自宅からの通学の現実性まで含めて検討してください。
学力検査によらない公立の道。単位制の定時制と静岡中央の通信制
「5教科の学力検査に不安がある」「毎日朝から通うのはまだ難しい」という場合、静岡県の公立には次の道があります。
- 学年制の定時制(県内15校) 志願者全員に面接を行い、5教科の学力検査と作文の中から各校が必要とする教科等を選んで実施します。学力検査5教科すべてが必須ではない選抜です
- 単位制の定時制(4校) 県立三島長陵高校・静岡中央高校・ふじのくに国際高校・浜松大平台高校です。午前・午後の時間帯を志願する20歳未満の人は5教科の学力検査と、面接または「自由表現」を受けます。夜間の時間帯は作文と面接または自由表現です
- 単位制の通信制(県立静岡中央高校) 学力検査は実施せず、調査書などの書類を総合的に審査して選抜します。願書受付は令和9年3月17日から26日で、Web出願ではなく志願先の高校に直接提出します
単位制の定時制で選べる「自由表現」は、興味や関心を持っていることや得意なことについて自分でテーマを決め、自由に自分を表現する検査です。簡単な実技や発表もできます。学校に行けなかった期間に続けていたことを、そのまま材料にできる検査です。[4]
単位制の定時制4校には、8月に受付を行う秋季選抜もあります。令和9年度は8月3日から4日正午に受付、8月17日に基礎力検査と自由表現等、8月24日に合格発表です。3月の入試に間に合わなかった場合の道が、年度の途中にもう一度あります。
静岡中央高校の通信制は、静岡市葵区の中央キャンパスのほか、三島長陵高校内の東部キャンパス、新居高校内の西部キャンパスで願書を受け付けます。東西に長い静岡県で、伊豆や県西部からも通える体制です。
私立・通信制という道も並行して考える
公立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。静岡県には県内に本校を置く私立の通信制があり、静岡・浜松・沼津にキャンパスを持つ広域通信制も複数あります。学校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>静岡県の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。静岡県内には静岡市や浜松市、沼津市、富士市をはじめ各地に33の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。
東西に長い静岡県では「通える学校が近くにない」が進路選びの壁になりがちですが、自宅の近くの教室で学べる仕組みなら、その壁を越えられます。中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
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今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「欠席と出席扱いの日数を合わせると、自己申告書の対象になりますか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。
対象かどうかが分かるだけで、自己申告書を出して一般選抜に挑むのか、長期欠席生徒選抜や単位制の定時制を軸にするのかが具体的になります。
あわせて、お子さんと一緒に「学校に行かなかった期間に続けていたこと」を1つだけ話してみてください。それが自己申告書の最初の1行になり、自由表現や面接の材料にもなります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
静岡県の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。共通枠の第2段階と第3段階は評定以外の要素で選抜されること。欠席が中3でおおむね30日以上なら、自己申告書で事情を自分の言葉で伝えられること。
調査書を使わない長期欠席生徒選抜が土肥分校と春野校舎の2校にあること。単位制の定時制4校には自由表現と秋季選抜があり、静岡中央高校の通信制は学力検査がないこと。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
欠席日数が多いと、静岡県の公立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。一般選抜の共通枠は3段階で選抜され、第2段階は調査書の学習の記録以外の記載事項と面接、第3段階は調査書・学力検査・面接の総合審査で合格者を決めます。
欠席と出席扱いの日数の合計が中3でおおむね30日以上、または3年間でおおむね90日以上なら、欠席の事情を自分の言葉で伝える自己申告書を提出できます。
静岡県に、調査書を使わずに受けられる公立高校の入試はありますか?
あります。「長期欠席生徒選抜」は調査書の代わりに中学校長が作成する副申書と、本人の自己申告書、面接、5教科の学力検査で総合的に審査します。令和9年度の実施校は県立伊豆総合高校土肥分校と県立天竜高校春野校舎の2校で、学区は県内全域です。一般選抜との併願はできません。
学力検査なしで受験できる静岡県の公立高校はありますか?
県立静岡中央高校の通信制は学力検査を実施せず、調査書などの書類を総合的に審査して選抜します。学年制の定時制は面接に加えて、5教科の学力検査と作文の中から各校が必要とする教科等を選んで実施します。単位制の定時制4校は学力検査がありますが、面接の代わりに得意なことを発表する「自由表現」を選べます。
出典
- 静岡県教育委員会「令和9年度静岡県公立高等学校入学者選抜実施要領」(2026年9月公表。Ⅰ一般選抜、Ⅱ-3長期欠席生徒選抜、単位制による定時制・通信制の課程、様式第4号自己申告書・様式第13号副申書) PDF / 「令和9年度 静岡県公立高等学校入学者選抜関係発表資料」 ページ 本文へ戻る
- 静岡県教育委員会「令和9年度 学校裁量枠一覧表」 PDF 本文へ戻る
- 静岡県教育委員会「令和9年度 公立高校をめざすあなたへⅡ」(特別選抜の実施校・志願資格・選抜方法) PDF 本文へ戻る
- 静岡県教育委員会「令和9年度 公立高校をめざすあなたへⅡ」(日程、Q&A、単位制による定時制の課程の選抜) PDF 本文へ戻る
