子どもが学校に行けなくなったとき、多くの保護者の方が気になるのが「このまま欠席が積み重なって、進路に影響しないだろうか」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、学校に登校しなくても、フリースクールや自宅での学習を在籍校の「出席」として認めてもらえる制度があります。 そして大阪市には、すでにその承認事例があります。
大阪市はほかの自治体と少し事情が違います。市の教育委員会が、フリースクールなど民間施設での学びを出席扱いにするときの手順を、独自のガイドラインとして文書で示しているからです。
学校が「どう判断すればいいか分からない」という状態になりにくい街です。この記事では、そのガイドラインの中身と、大阪市で出席扱いを進める手順、フリースクールの費用に使える塾代助成まで、まとめてお伝えします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。
現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
不登校の専門家として言えるのは、出席扱いの制度を知っているかどうかで、不登校になった後の選択肢は大きく変わるということです。
大阪市で実際に出席扱いが認められた事例
まず知っていただきたい事実からお伝えします。
大阪市内の学校で、フリースクールに入会したあとすぐに活動レポートを学校へ提出することで、出席扱いが認められた事例があります。
「うちの子の学校でも認めてもらえるのだろうか」と不安な方は多いと思います。ただ、大阪市にはすでに前例があります。前例があるということは、学校側にとっても判断しやすいということです。
大阪市は不登校の人数そのものが多い自治体でもあります。大阪市教育委員会の独自調査によると、令和6年度の市立学校の不登校児童生徒数は小学校が2,294人、中学校が4,893人です。
中学校の在籍比率は9.55%で、全国の6.79%を大きく上回っています。[1] 中学生の10人に1人近くが学校に行っていない計算なので、大阪市の学校にとって「学校の外での学びをどう扱うか」は日常的な課題です。フリースクールの出席扱いも、特別な話ではありません。
そもそも「出席扱い」とは
出席扱いとは、学校に登校していなくても、自宅やフリースクールでの学習を在籍校の出席として認めてもらえる制度です。文部科学省が要件を示しており、最終的には在籍校の校長先生が判断します。[2]
ポイントは大きく3つあります。
- 保護者と学校の連携 担任の先生と定期的にやりとりできている状態が前提になります。
- 計画的な学習プログラム ICT教材やフリースクールでの活動がこれにあたります。
- 学習状況の把握 活動レポートや学習記録を提出し、学校が状況をつかめるようにします。
つまり「なんとなく家で勉強している」ではなく、記録を残して学校と共有する仕組みさえあれば、出席扱いは十分に目指せます。
出席扱いの要件をもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で3つの要件を掘り下げています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
大阪市には出席扱いの「ガイドライン」がある
ここが大阪市の大きな特徴です。大阪市教育委員会は令和4年4月に「不登校児童生徒が民間施設及び学校外で相談・指導を受けている場合の指導要録上の『出席扱い』に関するガイドライン」をつくり、市立の全小中学校に活用するよう指導しています。[3]
このガイドラインには、保護者が知っておくと役立つことが3つ書かれています。
- 学校が施設を訪問して確認する 学校はフリースクールを訪問・見学し、「民間施設 訪問票」に運営の様子や費用、学校との連携体制を記録します。その記録をもとに校内で協議し、校長先生が出席扱いを認定します。つまり、保護者が「このフリースクールに通っています」と伝えたあと、学校側にも動く手順が決まっているということです。
- 通所先と日数が指導要録に記録される 出席扱いと認めた日数と施設名は、指導要録の備考欄に書かれます。ガイドラインの記載例には「教育支援センター花園(12日)・民間のスクール(8日)」のように、公的な教室と民間フリースクールを組み合わせた形も載っています。両方を併用しても出席扱いにできる、ということです。
- 相談先は教育支援センター 出席扱いに関する学校からの相談窓口は、市の教育支援センターと決められています。校長先生が迷ったときに相談できる先があるので、「前例がないから」という理由で止まりにくい仕組みです。
もうひとつ、正確にお伝えしておきたい点があります。大阪市のガイドラインでは、自宅でオンライン教材などを使って学ぶ場合の出席扱いは、教職員などによる定期的な対面指導があることが前提とされています。
基本的には、通える公的な教室や民間施設がない場合の方法という位置づけです。オンラインの学びを出席扱いにしたい場合は、担任の先生の家庭訪問や面談を組み合わせる形で相談するのが、大阪市では現実的です。
なぜ出席扱いが重要なのか
第一に挙げられるのは、進学や受験への影響です。欠席日数が内申に響くのではないかという不安は、多くの保護者の方が抱えるものだと思います。
ただ、この影響は昔に比べると小さくなってきています。受験の合否判定で出席日数を考慮しない自治体が増えてきているためです。
だからこそ僕は、もうひとつの視点をお伝えしたいです。
僕自身、不登校の当時はフリースクールに通っていた当事者です。当時は、学校に行っていない自分への否定的な気持ちや「このままでいいのかな」という不安がずっと心のどこかにありました。
でも、フリースクールでの学びが出席扱いになったことで、自分がやっていることを学校や自治体が認めてくれた。 「これでいいんだ」と思えるようになったんです。その結果、少しずつ自己肯定感が高まっていきました。
出席扱いは、単に欠席日数を減らすための制度ではありません。学校の外での学びも認められているという安心感を子どもに届けられる制度です。だからこそ僕は、出席扱いを大事にしてほしいと思っています。
出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールについては、こちらで学び方を紹介しています。
大阪市での進め方。実例ベースの4ステップ
実際に承認された事例と、市のガイドラインの流れをもとに整理します。
- フリースクールや教材を決める 出席扱いの実績があるところを選ぶと話が早く進みます。学校への説明資料や連携の型をすでに持っているためです。大阪府教育庁は「府内の公立小中学校が現在連携し、出席扱いしているフリースクール等」の一覧を公開していて、大阪市内の施設だけで28か所が所在地・費用・活動日時つきで載っています。学校との連携実績がある施設のリストなので、探すときの起点になります。[4]
- 担任の先生に相談する 「出席扱いにしてほしい」といきなり交渉するのではなく、文部科学省の通知と大阪市のガイドラインに沿ってフリースクールでの活動を出席扱いにできないか相談したい、と伝えるのがスムーズです。判断するのは校長先生なので、担任の先生経由で話を上げてもらいます。大阪市の学校は、ここから施設の訪問・見学という手順に入ります。
- 活動レポートを提出する 大阪市の事例では、入会後すぐにレポートの提出を始めたことが承認の決め手になりました。ガイドラインでも、民間施設から本人の学習状況を学校へ報告することが流れに組み込まれています。学習内容や時間、お子さんの様子が伝わることで、先生も安心して判断できます。
- 出席扱いが承認される 認定の結果は本人・保護者・施設に共有されます。その後も定期的にレポートを共有し、学校との連携を続けていきます。
もし学校の反応が鈍かったときの動かし方は、こちらの記事にまとめています。
>>出席扱いを学校に断られたときはどうする?校長判断を動かす3つの材料
大阪市の補助金。フリースクール専用ではないが「塾代助成」が使える
お金の話も正確にお伝えします。2026年9月時点で、大阪府にも大阪市にも、フリースクールの利用料だけを対象にした保護者向けの補助金はありません。
そのかわり大阪市には「大阪市習い事・塾代助成事業」があります。市内在住のすべての小学5年生から中学3年生が対象で、学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室など学校外の教育にかかる費用に、補助金として最大で月1万円まで使えます。
令和6年10月に所得制限がなくなり、令和8年4月からはカードではなくデジタルクーポン方式に変わりました。[5]
フリースクールも、その施設がこの事業の参画事業者として登録していれば助成の対象になります。
市教育委員会のガイドラインにある学校の訪問票にも「大阪市塾代助成事業への参画の有無」「塾代助成の活用の有無」という欄があるくらいで、市としてフリースクールの費用に使われることを前提にしている制度です。府の一覧にも、塾代助成が使える市内の施設が複数載っています。
注意点は2つです。1つは、すべてのフリースクールが対象ではなく、施設側の登録が必要なこと。検討している施設が登録済みかどうかは、施設に直接聞くか、事業の教室検索で確認できます。もう1つは、対象が小学5年生以上なので、小学1年生から4年生のお子さんは使えないことです。
申請の様式・受付期間・必要書類は年度で変わります。制度の詳しい条件と申請先は、記事末の出典に挙げた大阪市のページと、運営事務局(06-6452-5273、12時から20時)で確認できます。
大阪市内の民間フリースクールの料金や場所は、こちらの記事で区ごとに紹介しています。
>>大阪市のフリースクールと補助金一覧。通える場所を地域で探せます【2026年最新】
大阪市で利用できる2つの選択肢
選択肢1:自宅で学べる「オンラインフリースクール」
「まだ外に出るエネルギーがない」というお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」という選択肢があります。
自宅にいながら、ネットの先生(担任)が伴走し、学習や生活リズムをサポートします。2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちを支えてきた実績があり、一定の要件を満たし校長先生が認めれば在籍校の出席扱いとなる仕組みも整っています。
出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきた取り組みなので、学校との連携もスムーズです。
大阪市のように自宅学習に対面指導を組み合わせる方針の地域でも、学習記録を学校へ共有する型があるため、先生と相談しやすい材料になります。
学習面では最先端のAIサポートを取り入れているのも特徴です。生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIが、わからない場面で答えをすぐに教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定があるので、安心して使えます。
選択肢2:通える距離の「明光フリースクール」
外に出て仲間と過ごしたいお子さんには、明光義塾がつくる明光フリースクールがあります。大阪府内に校舎はまだありません。
関西で校舎があるのは滋賀県湖南市の甲西校で、住所は湖南市岩根中央3丁目55番地、JR草津線の三雲駅から自転車で11分ほどの場所です。
大阪市から毎日通う距離ではないので、大阪市のお子さんにはまずオンラインのクラスジャパン小中学園をおすすめしています。
明光フリースクールでは、学び直しのサポートに加えて、プログラミングやeスポーツなど、子どもが「楽しい」と思えるコンテンツを用意しています。学校ではないけれど、仲間と過ごしながら通う場所として機能します。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になった実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
大阪市の公的な相談窓口も知っておこう
フリースクールとあわせて、大阪市の公的な支援も知っておくと安心です。
大阪市の教育支援センター(適応指導教室)は市内に3か所あり、希望するセンターを選んで通えます。
- 西成区「教育支援センター花園」: 花園北2-16-26(Osaka Metro四つ橋線 花園町駅3A出口すぐ)
- 東淀川区「教育支援センター新大阪」: 東中島3-7-28(JR新大阪駅から徒歩8分)
- 生野区「教育支援センター桃谷」: 勝山北4-9-22(JR桃谷駅から徒歩12分)
対象は大阪市立の小中学校・義務教育学校に在籍する子どもです。[6]
活動は課業日の月曜から金曜の10時から15時の間で、通う時間と帰る時間は本人が決められます。
教員経験のある不登校支援アドバイザーやスタッフ、教員をめざす学生ボランティアが自学自習を支え、ICT端末を使った学習、キャリア教育、在籍校と連携した進路指導もあります。
通所した日は校長先生の判断で出席扱いにできます。申し込みは在籍校からで、学校が見学・面談を申し込み、面談後に校長先生が通所登録願を出す流れです。
もうひとつの入口が、中央こども相談センターの教育相談グループです。不登校やいじめ、学習の遅れ、就学・進学の相談を受けていて、保護者専用の電話相談(06-4301-3141)は月曜から金曜の9時から19時、面談の予約は06-4301-3181で受け付けています。
相談員との面談を経て、中央区森ノ宮の中央通所ルームと市内11区のサテライトにある「不登校児童通所事業 通所ルーム」に通う道もあります。緊急のときは24時間子どもSOSダイヤル(0120-0-78310)が24時間365日つながります。[7]
教育支援センターの通い方や費用の考え方はこちらの記事で、大阪府内の相談窓口はこちらの記事で詳しく紹介しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
>>大阪府の不登校相談窓口一覧。無料で頼れる公的・民間の相談先【2026年最新】
公的な教室とフリースクールは、どちらかを選ばなければいけないものではありません。大阪市のガイドラインが両方の併用を想定しているとおり、お子さんの状態や相性に合わせて、複数の選択肢を並行して検討してみてください。
まとめ。大阪市は「前例」と「ガイドライン」があるから動きやすい
出席扱いは校長先生の判断で決まるため、前例があるかどうかが大きく影響します。大阪市にはすでに承認事例があり、さらに市教育委員会のガイドラインが学校側の手順を決めています。フリースクール専用の補助金はありませんが、小学5年生以上なら塾代助成で費用を抑える道もあります。
今日できる一歩として、連絡帳や学校への連絡メールに「大阪市のガイドラインに沿って、学校の外での学びを出席扱いにできないか一度相談したい」と一文書いてみてください。ガイドラインという言葉が入るだけで、担任の先生から校長先生へ話が上がる入口ができます。
学校に行かない期間があっても、学びと出席、そしてお金の心配を減らす方法はあります。お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。僕の公式LINEでは不登校に関する情報発信や無料相談を行っています。
よくある質問
大阪市で不登校の出席扱いは認められますか?
大阪市内の学校で、フリースクール入会後すぐに活動レポートを学校へ提出することで出席扱いが認められた事例があります。
文部科学省の通知に沿って、最終的な判断は在籍校の校長先生が行います。大阪市教育委員会は令和4年4月に独自のガイドラインを定めており、学校が施設を訪問・見学して確認し、校内で協議したうえで認定する流れが決まっています。
大阪市にフリースクールの補助金はありますか?
2026年9月時点で、フリースクール専用の保護者向け補助金は大阪府にも大阪市にもありません。
そのかわり大阪市習い事・塾代助成事業があり、市内在住の小学5年生から中学3年生を対象に、学校外教育の費用に補助金として最大で月1万円まで使えます(所得制限なし)。
フリースクールは参画事業者として登録している施設に限って対象になるため、施設に登録の有無を確認してください。
大阪市の教育支援センター(適応指導教室)はどこにありますか?
西成区の教育支援センター花園、東淀川区の教育支援センター新大阪、生野区の教育支援センター桃谷の3か所で、希望する場所を選んで通えます。
月曜から金曜の10時から15時の間で活動し、通所した日は校長先生の判断で出席扱いにできます。申し込みは在籍校を通じて行います。
相談は中央こども相談センター教育相談グループ(保護者専用電話 06-4301-3141)でも受け付けています。
出典
- 大阪市教育委員会「令和6年度 大阪市立学校における暴力行為・いじめ認知・不登校数」(令和7年10月29日) ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日) ページ 本文へ戻る
- 大阪市教育委員会「不登校児童生徒が民間施設及び学校外で相談・指導を受けている場合の指導要録上の『出席扱い』に関するガイドライン」(令和4年4月) ページ 本文へ戻る
- 大阪府教育庁「不登校児童生徒への支援」別添資料(令和8年2月版。府内公立小中学校が連携し出席扱いしているフリースクール等の一覧) ページ 本文へ戻る
- 大阪市「大阪市習い事・塾代助成事業」 ページ 本文へ戻る
- 大阪市教育委員会「不登校児童生徒支援のための大阪市教育支援センターについて」 ページ 本文へ戻る
- 大阪市「教育に関する相談(中央こども相談センター教育相談グループ)」 ページ 本文へ戻る
