子どもが学校に行けなくなったとき、多くの保護者の方が気になるのが「このまま欠席が積み重なって、進路に影響しないだろうか」という不安ではないでしょうか。
結論から言えば、学校に登校しなくても、フリースクールや自宅での学習を在籍校の「出席」として認めてもらえる制度があります。 そして札幌市には、すでにその承認事例があります。
札幌市は、市が運営する教育支援センターが市内6か所にあり、区ごとのサテライトやメタバースを使ったオンラインコースまで用意している、公的な支援がかなり手厚い街です。
一方で、保護者がフリースクールの利用料を補助してもらえる制度は、2026年9月時点で市にも北海道にもありません。
この記事では、札幌市で出席扱いを進める手順と、公的な教室とフリースクールをどう組み合わせるか、お金の考え方まで、まとめてお伝えします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。
現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
不登校の専門家として言えるのは、出席扱いの制度と地域の支援を知っているかどうかで、不登校になった後の選択肢は大きく変わるということです。
札幌市で実際に出席扱いが認められた事例
まず知っていただきたい事実からお伝えします。
札幌市内の学校で、フリースクールに入会したあとすぐに活動レポートを学校へ提出することで、出席扱いが認められた事例があります。
「うちの子の学校でも認めてもらえるのだろうか」と不安な方は多いと思います。ただ、札幌市にはすでに前例があります。前例があるということは、学校側にとっても判断しやすいということです。
札幌市の学校にとって、学校の外で学ぶ子どもは珍しい存在ではありません。市が運営する教育支援センターは、通所した日を欠席・遅刻・早退にしない扱いをはっきりと公表していますし、市は民間のフリースクールを把握するためのアンケートを毎年行って、掲載に同意した施設の一覧を公開しています。
学校の外の学びを学校がどう受け止めるか、という土台がすでにある街です。だからこそ、民間のフリースクールの出席扱いについても、担任の先生に相談しやすい環境だと言えます。
そもそも「出席扱い」とは
出席扱いとは、学校に登校していなくても、自宅やフリースクールでの学習を在籍校の出席として認めてもらえる制度です。文部科学省が要件を示しており、最終的には在籍校の校長先生が判断します。[1]
ポイントは大きく4つあります。
- 保護者と学校の連携 担任の先生と定期的にやりとりできている状態が前提になります。
- 計画的な学習プログラム ICT教材やフリースクールでの活動がこれにあたります。
- 訪問等による対面指導 自宅で学ぶ場合は、先生の家庭訪問や面談など、対面のやりとりが定期的にあることが求められます。
- 学習状況の把握 活動レポートや学習記録を提出し、学校が状況をつかめるようにします。
つまり「なんとなく家で勉強している」ではなく、記録を残して学校と共有し、先生とも顔を合わせる仕組みさえあれば、出席扱いは十分に目指せます。
札幌市の場合、市の教育支援センターも「入口は学校」
ここが札幌市の特徴です。市が運営する教育支援センター(いわゆる適応指導教室)は、利用の申し込みを在籍校を通して行う仕組みになっています。
保護者が直接センターに申し込むのではなく、学校の校内学びの支援委員会などで検討したうえで、学校が書類を教育センター教育相談室へ提出し、見学の日程が決まる流れです。[2]
これは保護者にとって、覚えておくと役に立つ事実です。公的な教室に通うにしても、民間のフリースクールの出席扱いを相談するにしても、最初に話す相手は同じ担任の先生だからです。
「学校に行けなくなったので、学校の外で学ぶ場所を考えたい。市の教育支援センターと民間のフリースクール、どちらも視野に入れて相談したい」と伝えれば、学校側も出席の扱いをまとめて検討しやすくなります。
フリースクールと公的な教室は対立するものではなく、学校から見ればどちらも「学校の外での学びの場」として同じ机の上に載る話です。
なぜ出席扱いが重要なのか
第一に挙げられるのは、進学や受験への影響です。欠席日数が内申に響くのではないかという不安は、多くの保護者の方が抱えるものだと思います。
ただ、この影響は昔に比べると小さくなってきています。受験の合否判定で出席日数を考慮しない自治体が増えてきているためです。
だからこそ僕は、もうひとつの視点をお伝えしたいです。
僕自身、不登校の当時はフリースクールに通っていた当事者です。当時は、学校に行っていない自分への否定的な気持ちや「このままでいいのかな」という不安がずっと心のどこかにありました。
でも、フリースクールでの学びが出席扱いになったことで、自分がやっていることを学校が認めてくれた。 「これでいいんだ」と思えるようになったんです。その結果、少しずつ自己肯定感が高まっていきました。
出席扱いは、単に欠席日数を減らすための制度ではありません。学校の外での学びも認められているという安心感を子どもに届けられる制度です。だからこそ僕は、出席扱いを大事にしてほしいと思っています。
出席扱いの仕組みを持つオンラインフリースクールについては、こちらで学び方を紹介しています。
札幌市での進め方。実例ベースの4ステップ
実際に承認された事例をもとに、流れを整理します。
- フリースクールや教材を決める 出席扱いの実績があるところを選ぶと話が早く進みます。学校への説明資料や連携の型をすでに持っているためです。札幌市の場合は、市が公開しているフリースクール等民間施設一覧に載っている施設かどうかも、学校に説明するときの材料になります。一覧は市内の全施設を網羅したものではないので、載っていない施設でも出席扱いの相談はできます。[3]
- 担任の先生に相談する 「出席扱いにしてほしい」といきなり交渉するのではなく、「文科省の通知に沿って、フリースクールでの活動を出席扱いにできないか相談したい」と伝えるのがスムーズです。判断するのは校長先生なので、担任の先生経由で話を上げてもらいます。札幌市では市の教育支援センターも学校経由で申し込む仕組みなので、先生の側にも「学校の外の学びを学校が把握する」流れの経験があります。
- 活動レポートを提出する 札幌市の事例では、入会後すぐにレポートの提出を始めたことが承認の決め手になりました。学習内容や時間、お子さんの様子が伝わることで、先生も安心して判断できます。市の教育支援センターのオンラインコースも、月末に参加状況を学校へ情報提供する形をとっています。民間のフリースクールでも同じように、月に1回は学校へ記録が届く形にしておくと、先生にとってなじみのあるやり方になります。
- 出席扱いが承認される その後も定期的にレポートを共有し、学校との連携を続けていきます。
もし学校の反応が鈍かったときの動かし方は、こちらの記事にまとめています。
>>出席扱いを学校に断られたときはどうする?校長判断を動かす3つの材料
札幌市の補助金。保護者向けの利用料助成はまだない
お金の話も正確にお伝えします。2026年9月時点で、札幌市にも北海道にも、フリースクールの利用料を保護者に直接支給する助成制度はありません。
札幌市には「フリースクール等民間施設への補助」という制度がありますが、これは施設を運営する法人向けです。
非営利法人が運営し、2年以上の活動実績があり、学校と連携している施設などが対象で、受け入れている児童生徒の人数に応じて年間160万円から320万円を上限に、施設の運営費が補助されます。令和8年度は光熱費の高騰に対する特別支援金も施設向けに出ています。
いずれも保護者が受け取るお金ではないので、「札幌市にはフリースクールの補助金がある」という情報を見かけても、利用料が戻ってくる制度ではないことに注意してください。[4]
ただ、この制度には保護者にとっての間接的なメリットがあります。補助の要件に「利用料が比較的低額であること」が含まれているため、市の補助を受けている施設は、月々の利用料が抑えられていることが多いのです。
施設を選ぶときに、市の補助を受けているかどうかを直接たずねてみるのは、費用の目安をつかむひとつの方法です。
そのほかに費用面で知っておきたい点を整理します。
- 市の教育支援センターは無料 通所そのものに費用はかかりません。交通費と施設外学習の費用だけ自己負担です。
- 通学定期券が使える場合がある 札幌市は、フリースクールへの通学に通学定期券が利用できる場合があると案内しています。対象や手続きは札幌市交通局の案内で確認が必要ですが、地下鉄やバスで通う場合は月々の交通費が変わります。
- オンラインは費用が低めのことが多い 対面型のフリースクールは月3万円から5万円程度かかることが多い一方、オンラインのフリースクールは通所の費用がかからないぶん、月々の負担を抑えやすい傾向があります。
制度の詳しい条件は、記事末の出典に挙げた札幌市のページで確認できます。市の補助制度は年度ごとに見直されるので、保護者向けの助成が新設されていないかは、お住まいの区ではなく札幌市子ども未来局子ども育成部(011-211-2947)に確認するのが確実です。
北海道内の民間フリースクールの料金や場所は、こちらの記事で市町村ごとに紹介しています。
>>北海道のフリースクールと補助金一覧。市区町村別に紹介します【2026年最新】
札幌市で利用できる2つの選択肢
選択肢1:自宅で学べる「オンラインフリースクール」
「まだ外に出るエネルギーがない」というお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」という選択肢があります。
自宅にいながら、ネットの先生(担任)が伴走し、学習や生活リズムをサポートします。
2018年の開校からこれまでに2000人以上の不登校の子どもたちを支えてきた実績があり、一定の要件を満たし校長先生が認めれば在籍校の出席扱いとなる仕組みも整っています。
出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきた取り組みなので、学校との連携もスムーズです。
札幌市のように市そのものがメタバースを使ったオンラインコースを支援の選択肢に入れている地域では、「自宅からオンラインで学ぶ」ことを先生にも説明しやすい環境です。冬の間は通所そのものが負担になりやすい札幌で、天候に左右されずに毎日つながれるのもオンラインの強みです。
学習面では最先端のAIサポートを取り入れているのも特徴です。生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIが、わからない場面で答えをすぐに教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定があるので、安心して使えます。
選択肢2:通える距離の「明光フリースクール」
外に出て仲間と過ごしたいお子さんには、明光義塾がつくる明光フリースクールがあります。2026年9月時点で北海道内に校舎はありませんが、不登校の小中学生を対象にした対面型のフリースクールとして、東京・福岡・岡山などで校舎を運営しています。
明光フリースクールでは、学び直しのサポートに加えて、プログラミングやeスポーツなど、子どもが「楽しい」と思えるコンテンツを用意しています。学校ではないけれど、仲間と過ごしながら通う場所として機能します。学校の出席扱いの対象になった実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
札幌市の公的な相談窓口も知っておこう
フリースクールとあわせて、札幌市の公的な支援も知っておくと安心です。
札幌市の教育支援センター(適応指導教室)は市内6か所にあります。豊平区の月寒(月寒中学校敷地内)、白石区の白石(リフレサッポロ2階)、西区の宮の沢(ちえりあ3階)、南区の真駒内(まこまる3階)、北区の新琴似(新琴似小学校内)、そして中央区の大通西です。
大通西は令和8年4月に伏見から移転して、旧・中央区民センターの施設内で活動しています。対象は市立小中学校に在籍する不登校の児童生徒で、通所した日は欠席・遅刻・早退になりません。通所は無料です。[5]
活動は平日の9時30分から14時30分で、午前だけ、午後だけの通所もできます。カードゲームやボードゲーム、卓球やバドミントンなどの軽運動、図工や裁縫、栽培活動といった体験活動と、自分で目標を決めて取り組む学習活動を組み合わせた内容です。
学校のタブレット端末を持ち込んで学習することもできます。個別指導の場ではなく小集団での活動が中心なので、「人と関わることへの不安をやわらげたい」という段階のお子さんに向いています。小学生は安全面から保護者の送迎が必要です。
利用の流れは、まず在籍校に相談し、学校が書類を教育センター教育相談室へ提出したうえで、保護者とお子さんが30分程度の見学に行きます。そのあと4回を基本とする体験通所を経て、正式に通う場合は施設から渡される「通所願い」を学校へ提出します。
センターまで通うのが遠いお子さんのために、厚別区・東区・清田区・手稲区の4区には、支援員が区内の会場に出向く「サテライト」もあります。
さらに、家から出るのがまだ難しいお子さん向けに、メタバース上の居場所で活動する「オンラインコース」があります。
アバターで参加するので初対面の人と話すのが苦手でも入りやすく、学習アプリを使って自分のペースで学び、わからないことは支援員に質問できます。全部の活動に参加する必要はなく、休みの連絡も不要で、参加状況は月末にセンターから学校へ伝えられます。
教育相談の窓口は、教育センター教育相談室(西区宮の沢1条1丁目、ちえりあ内、011-671-3210)です。月曜から金曜の9時から17時まで、市内の小学生から高校生とその保護者の相談を無料で受けています。教育支援センターの申し込みに関する問い合わせも同じ番号です。
教育支援センターの通い方や費用の考え方はこちらの記事で、北海道内の相談窓口はこちらの記事で詳しく紹介しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
>>北海道の不登校相談窓口一覧。無料で頼れる公的・民間の相談先【2026年最新】
公的な教室とフリースクールは、どちらかを選ばなければいけないものではありません。
教育支援センターは小集団の活動が中心なので、個別に学習を進めたい場合や、まだ外に出られない段階では、民間のオンラインフリースクールを組み合わせる形もあります。お子さんの状態や相性に合わせて、複数の選択肢を並行して検討してみてください。
まとめ。札幌市は「前例」と「公的な受け皿」があるから動きやすい
出席扱いは校長先生の判断で決まるため、前例があるかどうかが大きく影響します。札幌市にはすでに承認事例があり、市の教育支援センターも学校経由で利用する仕組みなので、学校の外の学びを学校が把握する流れが日常的にあります。
保護者向けの利用料助成はまだありませんが、無料の公的な教室や通学定期券、費用を抑えやすいオンラインなど、お金の負担を減らす組み立て方はあります。
今日できる一歩として、連絡帳や学校への連絡メールに「学校の外で学べる場所を考えている。市の教育支援センターとフリースクールの出席扱いについて、一度相談したい」と一文書いてみてください。公的な教室も民間の出席扱いも、この一文から同じ先生を通して動き出します。
学校に行かない期間があっても、学びと出席、そしてお金の心配を減らす方法はあります。「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。僕の公式LINEでは不登校に関する情報発信や無料相談を行っています。
よくある質問
札幌市で不登校の出席扱いは認められますか?
札幌市内の学校で、フリースクール入会後すぐに活動レポートを学校へ提出することで出席扱いが認められた事例があります。
文部科学省の通知に沿って、最終的な判断は在籍校の校長先生が行います。札幌市では市の教育支援センターも在籍校を通して申し込む仕組みなので、まず担任の先生に相談し、校長先生に話を上げてもらう流れが基本です。
札幌市にフリースクールの補助金はありますか?
2026年9月時点で、札幌市にも北海道にも、保護者に利用料を直接支給する助成制度はありません。札幌市の「フリースクール等民間施設への補助」は施設を運営する非営利法人向けの制度で、年間160万円から320万円を上限に運営費が補助されます。
保護者が受け取るお金ではありませんが、補助の要件に利用料が比較的低額であることが含まれているため、補助を受けている施設は費用が抑えられていることが多いです。
市の教育支援センターは無料で、フリースクールへの通学に通学定期券が使える場合もあります。
札幌市の教育支援センター(適応指導教室)はどこにありますか?
豊平区の月寒、白石区の白石、西区の宮の沢、南区の真駒内、北区の新琴似、中央区の大通西の6か所です。市立小中学校に在籍する不登校の児童生徒が対象で、通所した日は欠席・遅刻・早退になりません。
通所は無料で、平日の9時30分から14時30分に小集団での体験活動と学習活動を行います。厚別区・東区・清田区・手稲区には支援員が出向くサテライト、家から出るのが難しいお子さん向けにメタバース上のオンラインコースもあります。
利用の申し込みは在籍校を通して行い、問い合わせは教育センター教育相談室(011-671-3210)です。
出典
- 文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」(令和元年10月25日) ページ 本文へ戻る
- 札幌市教育委員会 リーフレット「教育支援センターのご案内」 PDF 本文へ戻る
- 札幌市「フリースクール等民間施設一覧」 ページ 本文へ戻る
- 札幌市「フリースクール支援」 ページ 本文へ戻る
- 札幌市「教育支援センター」 ページ、「教育相談のご案内」 ページ 本文へ戻る
