子どもから「高校をやめたい」と言われたら、親として頭が真っ白になると思います。将来はどうなるのか、なぜもっと早く気づけなかったのか、いろいろな感情が一度に押し寄せてくるはずです。
先に結論をお伝えします。高校をやめること自体は、人生の失敗ではありません。ただし、退学届を出す前に確認してほしいことがいくつかあります。特に、在籍したまま別の高校へ移る「転入」という手段を知っているかどうかで、その後の選択肢の広さが大きく変わります。今日この場で結論を出す必要はありません。
なお、この記事は「やめたいと言われた親が、退学を決める前に何を確認すべきか」に絞って書いています。すでに中退したあとの進路は別の整理が必要なので、ここでは扱いません。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
「高校をやめたい」という言葉の裏にあるもの
2000人以上の子どもたちと関わってきて感じるのは、「やめたい」という言葉は同じでも、中身は一人ひとり違うということです。大きく分けると、次のようなパターンをよく見ます。
- 人間関係のしんどさ クラスや部活での孤立、先生との相性。環境が変われば解決することが多い
- 学業のつまずき 授業についていけず、教室にいる時間が苦痛になっている
- 朝起きられない・体調の問題 気持ちの問題ではなく、体がついていかない
- 目的が見えない 「なんのために通うのか」がわからなくなっている
どれに当てはまるかで、取るべき手は変わります。ただ、最初にやることは共通です。理由を問い詰めることではなく、言葉をそのまま受け止めることです。
僕自身、不登校だった頃に親から言われていちばんきつかったのは「いつまで休むの」でした。
逆に「あなたが元気ならそれでいい」と言われた日から、家が安全な場所になりました。子どもは「やめたい」と口にするまでに、長い時間ひとりで悩んでいます。その一言を否定から入ってしまうと、次からは本音を話してくれなくなります。
退学を決める前に確認したい3つのこと
気持ちを受け止めたうえで、親が実務として確認しておきたいのは次の3つです。
- 在籍したまま動けるか 退学しなくても、休みながら在籍を続けるという手段があります。在籍している限り「転入」の選択肢が残ります。学校によっては休学の制度もあるので、担任や学年主任に確認してみてください
- 単位と学年の仕組み 高校は単位を積み上げて卒業する仕組みで(全日制の多くは学年制です)、単位の認定は年度末に行われることが多いです。同じ「やめる」でも、時期によって次の学校に引き継げるものが変わります。動く前に、いま何単位まで取れているかを把握しておきましょう
- やめたあとの選択肢の全体像 通信制高校への転入・編入、高卒認定試験など、高校卒業や進学につながる道は複数あります。全体像を親が先に知っておくと、子どもと話すときに「やめる/やめない」の二択にならずに済みます
退学と転入の違い。空白期間をつくらない移り方
ここがこの記事でいちばん伝えたい部分です。「やめる」には2つのルートがあります。
退学してから別の高校に入り直すのが「編入」、在籍したまま別の高校へ移るのが「転入」です。転入なら高校生活に空白期間ができず、それまでに修得した単位を引き継げる場合は、卒業時期を遅らせずに済むこともあります。通信制高校の多くは学年の途中でも転入を受け入れています。
つまり、退学届を出してしまう前に転入先を探し始めるのが、選択肢をいちばん広く保つ順番です。転入・編入のタイミングや単位の引き継ぎについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>通信制高校に転入・編入するタイミング。学年途中でも間に合う?単位の引き継ぎまで解説
高1で「学校が合わない」と感じている場合の考え方は、こちらの記事も参考になります。
>>高1で学校が合わない、転校したい。全日制から通信制高校へ移るという選択
親ができる関わり方。調べるのは親、決めるのは子
やめたいと言われたとき、避けたいのは「とりあえず3年我慢しなさい」と入口で閉じてしまうことです。我慢だけを求められた子は、学校ではなく親に対して心を閉ざします。
かといって、親がすべてを決めて「この学校に移りなさい」と敷いてしまうのも、うまくいきにくいパターンです。
おすすめしたい役割分担は、情報を集めるのは親、最後に決めるのは子ども本人、という形です。
資料を並べて「こういう道もあるみたいだよ」と選択肢を見せて、選ぶ主導権は本人に渡す。自分で選んだ場所なら、子どもは驚くほど前向きに通い始めます。
子どもの側から「通信制高校に行きたい」と言い出したケースの向き合い方は、こちらの記事で書いています。
>>子どもが通信制高校に行きたいと言い出した。親が反対する前に知ってほしいこと
今日できる一歩を1つだけ提案します。今夜は結論を出さずに、「やめるかどうかはいったん置いておいて、いま何がいちばんしんどい?」とだけ聞いてみてください。答えが返ってこなくても大丈夫です。「やめたい」を頭ごなしに否定しなかったという事実が、次の会話の土台になります。
明光義塾高等学院という選択肢
いまの高校が合わなかった子の移り先として、僕が学院長を務める明光義塾高等学院を運営しています。高校卒業資格を目指しながら、自分のペースで学び直せる通信制高校の連携施設です。
全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。
「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
授業についていけなくなって「やめたい」に至った子でも、つまずいた場所まで戻ってやり直せるので、移った先で同じ壁にぶつかりにくいのが強みです。
中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入も積極的に受け入れています。「退学を決める前に、まず話を聞いてみたい」という段階のご相談で構いません。資料請求はこちらからどうぞ。
まとめ。「やめたい」は終わりではなく、環境を選び直す合図
子どもが高校をやめたいと言い出したら、親がまずやることは受け止めること、次にやることは退学届の前に転入という手段を確認することです。在籍を保ったまま情報を集めれば、選択肢は狭まりません。高校は3年間で1つの場所に通い切るだけが正解ではなく、途中で環境を選び直すこともできる仕組みになっています。
完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。
よくある質問
高校をやめたいと言われたら、まず何をすればいいですか?
理由を問い詰めたり否定したりせず、まず言葉をそのまま受け止めてください。そのうえで、退学届を出す前に、在籍したまま別の高校へ移る「転入」という手段があることを確認しましょう。在籍を続けている限り、選択肢は狭まりません。
退学と転入は何が違いますか?
退学してから別の高校に入り直すのが編入、在籍したまま移るのが転入です。転入なら高校生活に空白期間ができず、修得済みの単位を引き継げる場合は卒業時期を遅らせずに済むこともあります。通信制高校の多くは学年途中の転入を受け入れています。
親が転校先を決めてもいいのでしょうか?
情報を集めるのは親、最後に決めるのは子ども本人、という役割分担をおすすめします。親が資料を集めて選択肢を見せ、選ぶ主導権は本人に渡してください。自分で選んだ場所なら、子どもは前向きに通い始めやすくなります。
