「欠席がこんなに多くて、都立高校は受けられるのだろうか」。東京都で不登校のお子さんの高校受験を考え始めたご家庭から、いちばん多く聞く不安です。先に結論をお伝えします。欠席日数が多いこと=不合格ではありません。
都立高校入試の調査書には、そもそも出欠を書く欄がありません。学力検査や調査書を使わずに面接と作文で選考するチャレンジスクールが7校(八王子拓真高校のチャレンジ枠を含めると8校)あり、学力検査を行わないエンカレッジスクールも6校あります。私立や通信制まで含めれば、道は一つではなく複数あります。
この記事では「東京都 不登校 高校受験」で調べている方に向けて、東京都教育委員会が2026年9月に公表した令和9年度(2027年4月入学)の入学者選抜実施要綱をもとに、調査書(内申)の扱い、欠席への配慮、受け入れの間口が広い都立高校、私立・通信制の選択肢を整理します。
内申点の一般論はこの記事では扱わず、東京都の制度に絞ってお話しします。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。
都立高校入試で内申(調査書)はどう使われるか
都立高校の一般的な入試(学力検査に基づく選抜・第一次募集)は、学力検査の得点と調査書点の合計1000点で選考します。比率は全日制で原則「学力検査7:調査書3」。調査書点は9教科の評定をもとに計算し、学力検査を行わない4教科(音楽・美術・保体・技術家庭)は評定を2倍します。[1]
ここで知っておいてほしいのが、調査書の中身です。令和9年度の実施要綱で定められた調査書の記載事項は、学籍の記録、各教科の学習の記録、総合的な学習の時間の内容と評価、諸活動の記録などで、出欠の記録を書く欄はありません。欠席日数そのものが志望校に伝わる仕組みではないのです。
もう一つ、令和9年度から広がった仕組みがあります。北園高校・武蔵野北高校・深沢高校の第一次募集では、受検者ごとに「7:3」と「10:0」の両方で合計点を出し、高いほうをその人の得点として使います。
10:0とは調査書点を使わない計算です。評定が厳しい状態でも、当日の学力検査だけで勝負できる道が制度の中に入っています。[2]
僕自身、不登校だった当時、フリースクールでの活動が学校の通知簿に反映されているのを見て、初めて自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。調査書は点数の話に見えて、子どもの自己肯定感にも関わるものです。数字だけを見て親子で追い詰められる前に、制度の全体像を知っておいてほしいと思います。
内申点の仕組みや、内申に頼らない受験の考え方の全般はこちらで解説しています。
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
自己PRカードは点数化されない。面接で「今」を伝える資料
都立高校の入試で提出する自己PRカードは、点数化されません。面接を実施する学校で、面接の資料として使われるものです。[1]
つまり自己PRカードは、欠席の理由を弁明する紙ではなく、「中学校で何をしてきたか」「高校で何をしたいか」を自分の言葉で伝える資料です。フリースクールや教育支援センターに通った経験、家で続けてきた学習も、そのまま書ける内容です。面接で欠席をどう説明するかは、次の記事に答え方の例をまとめています。
>>高校受験の面接で不登校・欠席日数をどう説明する?そのまま使える答え方の例
調査書も学力検査も使わない都立高校。チャレンジスクールという選択肢
東京都には、小・中学校での不登校の経験や高校の中途退学の経験から、これまで能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒のための都立高校「チャレンジスクール」があります。昼夜間定時制・総合学科・単位制で、午前・午後・夜間の3部から自分に合う時間帯を選べます。[3]
令和9年度の実施要綱でチャレンジスクールとされているのは、六本木高校・大江戸高校・世田谷泉高校・稔ヶ丘高校・桐ヶ丘高校・小台橋高校・立川緑高校の7校です。[4] 立川緑高校は2025年4月に開校した多摩地区初のチャレンジスクールで、多摩地域にも選択肢ができました。[8]
これに加えて、普通科の八王子拓真高校にも同じ方式で選考する「チャレンジ枠」があります。
入試の中身は、はっきりしています。調査書の提出は必要なく、自己PRカードの代わりに学校所定の志願申告書を出します。検査は面接と作文で、志願申告書・面接・作文を総合した審査結果で選考します。
令和9年度の第一次募集は、作文が2027年2月21日、面接はその日以降に各校が定める日です。中学時代の評定や欠席日数を競う方式ではないため、不登校の期間があった生徒に最初から門戸を開いた入試です。
学力検査を行わない全日制。エンカレッジスクール6校
全日制で学び直しをしたい場合は、エンカレッジスクールがあります。小・中学校で十分に力を発揮できなかった生徒のやる気を励まし応援する全日制の都立高校で、2人担任制や1年次の30分授業、少人数・習熟度別の授業が特徴です。
エンカレッジスクールに指定された都立高校では、学力検査を実施しません。選考は調査書・面接・小論文または作文(学校によっては実技検査)の結果を総合して行い、調査書点は評定ではなく各教科の観点別学習状況の評価を使って算出します。[1]
令和9年度の別表で確認できる指定校は、普通科の蒲田高校・足立東高校・東村山高校・秋留台高校と、工業系学科の中野工科高校・練馬工科高校の6校です。[5]
なお、定時制の単位制高校(一橋・浅草・荻窪・砂川の各高校と八王子拓真高校の一般枠)も学力検査を行わず、志願者全員に個人面接と作文を実施して選考します。こちらは調査書と自己PRカードを提出します。[6]
私立・通信制という道も並行して考える
都立だけに絞る必要はありません。私立高校は選考基準が学校ごとに異なり、欠席日数の見方もさまざまです。気になる学校があれば、説明会や個別相談で「欠席が多いのですが」と率直に聞いてしまうのが確実で早い方法です。
そして通信制高校です。都立の通信制は一橋・新宿山吹・砂川の3校で、入試は国語・数学・英語を総合した60〜70分の検査です。[7] 私立の通信制は書類と面接が中心の学校が多く、中学時代の欠席日数が合否に直結しにくい仕組みです。都内に本校を置く11校の一覧と学費の考え方はこちらにまとめています。
>>東京都の通信制高校一覧と選び方。学費と通いやすさで比較【2026年最新】
お子さん自身が「高校に行きたくない」と言っている場合は、受験の方法より先に、進路の全体像から整理するほうが順番として自然です。
>>高校に行きたくないと言う中3へ。進学しない選択肢と無理なく卒業資格を取る道
明光義塾高等学院という選択肢
通信制という道を検討し始めた方に、僕が運営に関わっている高校卒業資格が取れる明光義塾高等学院も紹介させてください。全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
不登校で学習の空白がある状態からのスタートを、最初から想定している場所です。東京都内には23区から多摩地域まで170以上の明光義塾の教室があり、日々の学習サポートを自宅の近くの教室で受けられます。中学からの進学も受け入れているので、いま中3で進路を探している段階でも、そのまま選択肢に入れられます。
入試は面接のみで、学力試験はありません。高校卒業資格を目指しながら個別指導で学びたい方は、資料請求から始めてみてください。
>>明光義塾高等学院(明光義塾との連携コース)の資料請求はこちら
今日できる一歩
まず、中学校の担任の先生に「都立の調査書には出欠の欄がないと聞きましたが、うちの子の調査書はどう書かれますか」と一言聞いてみてください。電話や連絡帳でかまいませんし、三者面談を待つ必要もありません。
あわせて、チャレンジスクールとエンカレッジスクールのうち通える範囲の学校を1校ずつ書き出しておくと、志望校の考え方が具体的になります。
まとめ。欠席日数=不合格ではない
東京都の不登校からの高校受験には、少なくともこれだけの道があります。都立の調査書に出欠の欄はないこと。北園・武蔵野北・深沢の3校は調査書を使わない計算も選べること。
調査書も学力検査も使わないチャレンジスクールが7校とチャレンジ枠、学力検査のないエンカレッジスクールが6校あること。そして私立・通信制、さらに明光義塾高等学院で高校卒業資格を目指すという選択肢です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
欠席日数が多いと、都立高校には合格できないのでしょうか?
そんなことはありません。都立高校入試の調査書には出欠を記載する欄がなく、欠席日数そのものが志望校に伝わる仕組みではありません。選考は学力検査の得点と調査書点(原則7:3)で行われ、令和9年度は北園・武蔵野北・深沢の3校で調査書点を使わない10:0の計算も選べます。
調査書を出さずに受けられる都立高校はありますか?
あります。チャレンジスクール(六本木・大江戸・世田谷泉・稔ヶ丘・桐ヶ丘・小台橋・立川緑の7校)と八王子拓真高校のチャレンジ枠は、調査書の提出が不要で、志願申告書・面接・作文を総合して選考します。午前・午後・夜間の3部から時間帯を選べます。
学力検査なしで受けられる全日制の都立高校はありますか?
あります。エンカレッジスクール(蒲田・足立東・東村山・秋留台・中野工科・練馬工科の6校)は学力検査を実施せず、調査書・面接・小論文または作文(学校によっては実技検査)の結果を総合して選考します。最新の募集内容は東京都教育委員会の実施要綱で確認してください。
出典
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱」(第2-10 選考、第4-6 調査書の記載事項) PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱 別表4(普通科)」北園高校・武蔵野北高校の注記 PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「だから都立高」チャレンジスクール ページ 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校チャレンジスクール入学者選抜実施要綱」 PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱 別表4(普通科コース・エンカレッジスクール)」および同「別表4(専門学科)」深沢高校の注記・中野工科高校・練馬工科高校 PDF / PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校定時制課程単位制入学者選抜実施要綱」 PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「令和9年度東京都立高等学校通信制課程入学者選抜実施要綱」 PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「だから都立高」令和7年4月に新しいチャレンジスクールが立川市に開校します(東京都立立川緑高等学校) ページ 本文へ戻る
