「通信制の中学ってないのかな」。お子さんが学校に行けなくなって、通信制高校のように家から学べる中学校を探し始めた方は多いと思います。先に結論をお伝えします。
いま中学生のお子さんが転校できる、一般向けの「通信制の中学校」は制度上ほぼ存在しません。ただ、がっかりする必要はありません。学籍は今の中学校に置いたまま、家から学び、条件を満たせば出席扱いにもできる方法がきちんとあります。
この記事では、通信制中学が「ない」ことの正確な中身と、中学生が家から学べる現実的な選択肢を整理します。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
「通信制の中学校」は制度上ほぼ存在しない
高校には全日制・定時制・通信制という課程の区分があり、通信制高校は誰でも選べる進路になっています。ところが中学校(義務教育段階)には、この意味での通信制課程がありません。
正確に言うと、公立中学校の「通信教育課程」という仕組み自体は戦後から存在します。ただし対象がまったく違います。
たとえば東京都内で唯一の千代田区立神田一橋中学校の通信教育課程は、戦前の旧制度で義務教育を終えた方(尋常小学校卒業・国民学校初等科修了の方)を対象にした課程です[1]。つまり、いま中学生の子どもが入れる学校ではありません。
もうひとつの例外が夜間中学(中学校夜間学級)です。全国に69校ありますが、こちらも主な対象は学齢を過ぎてから学び直したい方や、外国籍で義務教育を終えていない方などです[2]。
検索して出てくる「〇〇中等部」「中学生コース」は、通信制高校やサポート校が運営する民間のフリースクールで、学校としての中学校ではありません。転校するのではなく、今の中学校に在籍したまま利用する場所です。ここを混同すると学校選びを間違えるので、まず押さえてください。
通信制中学がなくても、卒業できなくなる心配はいらない
「転校先がないなら、うちの子はどうなるの」と不安になるかもしれません。ここは安心してほしいところです。日本の義務教育は年齢で進む仕組みなので、学校に行けない期間があっても、在籍したまま進級し、卒業する事例が一般的です。
文部科学省の令和6年度調査では、不登校の中学生は216,266人にのぼります(出典: 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」[3] )。おおよそ15人に1人の割合で、決して珍しい状況ではありません。義務教育と法律の関係はこちらの記事で解説しています。
>>義務教育なのに学校に行かせないのは違法?「親が罰せられる」という誤解を解く
だから本当に考えるべきは「卒業できるか」ではなく、「家にいる日中を、どんな学びと居場所で埋めるか」です。
僕自身、不登校だった頃に平日の昼間に外を歩いたら、近所の人に「学校は?」と聞かれたことがあります。夕方のチャイムが鳴ると同級生が帰ってくるので、その時間は外に出られませんでした。
家にいる子どもは、何もしていないようでいて、こういう肩身の狭さをずっと感じています。
家から参加できる学びの場は、勉強のためだけでなく、この息苦しさを軽くするためにも意味があります。
中学生が家から学べる現実的な選択肢は4つ
- 教育支援センター 適応指導教室とも呼ばれる、自治体が運営する公的な支援の場。無料で、在籍校とも連携しやすいのが強み。通室が基本だが、オンライン対応を始めた自治体もある
- ICT教材・タブレット学習 市販の教材で家庭学習を積み上げる方法。費用を抑えられる一方、続けるには伴走者が必要。出席扱いの対象になり得る(詳しくはこちら
>>ICT教材やタブレット学習を出席扱いにする方法。フリースクールとの違いもわかりやすく解説 ) - 通信制高校などが運営する中等部 民間のフリースクールとして通う場所。高校の情報が入りやすい反面、通学型が中心で費用は月数万円かかることが多い
- オンラインフリースクール 自宅からネットで参加する対面やオンラインのフリースクールのうち、完全在宅型のもの。担任がつくタイプなら、学習と生活リズムの両方を一緒に立て直せる
どれを選んでも学籍は今の中学校のままです。だからこそ、在籍校との関係を切らさない選択肢を選ぶことが、次の高校進学までを考えると重要になります。
家での学びを「出席扱い」にする制度がある
文部科学省は、不登校の子どもが自宅でICT等を活用して学習した場合、一定の要件を満たせば校長の判断で指導要録上の出席扱いにできるという通知を出しています[4]。
要点は、保護者と学校が連携していること、訪問等による対面指導が適切に行われること、計画的な学習プログラムであること、校長が学習の状況を把握していることです。
出席扱いは欠席日数の帳消しというだけの話ではありません。高校受験の調査書にも関わりますし、何より「家で学んでいることが正式に認められる」という事実が、子どもの自己肯定感を支えます。
中学生の出席扱いと高校受験の関係は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>オンラインフリースクールで中学生は高校受験に間に合う?出席扱い・内申・学習の実際
クラスジャパン小中学園という選択肢
「通信制の中学があればいいのに」という願いに、実質的にいちばん近い形で応えられるのがオンラインフリースクールです。
僕たちが運営するクラスジャパン小中学園は、ネットの先生(担任)が一人ひとりに伴走するオンラインフリースクールで、2018年の開校から2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
自宅から自分のペースで学べて、朝の挨拶から学習計画まで担任が一緒に進めるので、家庭だけで抱え込まずに済みます。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
そして出席扱い制度は、クラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきたもので、一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる実績が多数あります。また、明光義塾高等学院との連携で高校卒業までサポートしているので、慣れた環境で高校生になっても学び続けることが可能です。
今日できる一歩
在籍している中学校に電話して、「家庭での学習を出席扱いにできるか、学校として何が要件になるか教えてください」とだけ聞いてみてください。担任でも教頭先生でも構いません。この一本の電話で、学校側に「この家庭は学びを続ける意思がある」と伝わり、その後の相談が格段に進めやすくなります。
>>中学生の不登校は約15人に1人|中1・中2・中3で違う原因と、内申・高校受験への影響【2026年最新】
まとめ
一般の中学生が入れる通信制の中学校は、制度上ほぼ存在しません。でも、今の中学校に在籍したまま家から学び、出席扱いを取り、高校進学につなげる道はきちんと整っています。転校先を探すのではなく、家からの学びをどう組み立てるかに切り替えることが、いちばんの近道です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。LINEでの無料相談も受け付けています。
よくある質問
通信制の中学校は本当にないのですか?
公立中学校の通信教育課程は東京都内では千代田区立神田一橋中学校の1校だけで、対象は戦前の旧制度で義務教育を終えた方です。いま中学生の子どもが転校できる一般向けの通信制中学は制度上ほぼ存在しません。夜間中学も主な対象は学齢を過ぎた方です。
学校に行けないまま中学を卒業できますか?
日本の義務教育は年齢で進む仕組みのため、不登校の期間があっても在籍したまま進級・卒業する事例が一般的です。卒業の心配よりも、家にいる期間の学びと居場所をどう確保するかを考えることが大切です。
家での学習は出席扱いになりますか?
文部科学省の通知により、保護者と学校の連携、計画的な学習プログラムなどの要件を満たせば、校長の判断で出席扱いにできます。オンラインフリースクールのクラスジャパン小中学園では、在籍校の出席扱いになった実績が多数あります。
出典
- 公立中学校の通信教育課程|都内公立小・中学校等|東京都教育委員会 ページ 本文へ戻る
- 夜間中学の設置促進・充実について:文部科学省 ページ 本文へ戻る
- 令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知):文部科学省 ページ 本文へ戻る
- 「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省 ページ 本文へ戻る
