通信制高校の通学コースの学費を調べていて、「同じ学校なのにコースで金額がまるで違う」と戸惑っている。そんな方に向けて、通学コースの学費がどういう仕組みで決まるのかを整理します。
先に結論です。通学コースの学費は2階建てになっています。1階が高校卒業に必要な単位修得の費用、2階が通学するためのコース費用です。そして就学支援金は授業料に充てるための支援金なので、軽くなるのは基本的に1階の部分です。[1]
つまり登校日数を増やして増える部分は、多くの場合そのまま家計の負担になります。ここを知らずにコースを選ぶと、入学後に「思っていた金額と違う」ことになります。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、クラスジャパンでこれまで2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
通信制高校の連携施設である明光義塾高等学院の学院長も務めています。「週何日にするか」と「いくらかかるか」はほぼ同じ相談として持ち込まれるので、その現場感を踏まえて書きます。
通学コースの学費は2階建てになっている
まず仕組みです。通学コースがある通信制高校は、学費を2つに分けて案内しています。
- 単位修得の費用 高校を卒業するために必要な授業料・施設費など。在宅中心のネットコースでもかかる部分
- コース費用 キャンパスに通うための費用。キャンパス費、施設費、指導料などの名前で案内される
N高等学校・S高等学校・R高等学校の公式サイトは、この構造をはっきり書いています。通学コースを希望する場合は「単位制・通信制課程(ネットコース)の学費」に加えて「週5・週3コースの学費」が必要だと明記されています。[2]
同じ公式ページに載っている金額がわかりやすいので、そのまま引きます。ネットコースの学費が年額73,000円から(補助金を差し引いた実質負担額)、週3のオンラインキャンパスの学費が年額483,000円から、合計で年額556,000円からです。[2]
1階が7万円台、2階が48万円台。負担のほとんどは2階だとわかります。
>>通信制高校のメリット・デメリットとは?全日制・定時制との違いと卒業までの流れ【2026年最新】
登校日数で増えるのは、就学支援金が届かない部分
ここがこの記事でいちばん伝えたいことです。
2026年度(令和8年度)から高等学校等就学支援金の所得制限がなくなりました。支給上限は公立が年11万8,800円、私立の全日制が年45万7,200円、私立の通信制が年33万7,200円です。[1]
単位制をとる学校が多いので、単位あたりの上限も押さえておくと計算できます。公立が1単位336円、私立が1単位1万3,668円で、年間30単位・通算74単位までが対象です。[1]
就学支援金は、高校の授業料に充てるための支援金です。[1] 学校の側でも、たとえばクラーク記念国際高等学校は、学費のうち単位修得のための学費の授業料が就学支援金の対象だと明記しています。[3]
N高等学校やクラーク記念国際高等学校の公式サイトでも、就学支援金を適用した後の金額として示されているのは単位修得の側で、通学コースの費用は別に上乗せされる形です。だから週1を週3に、週3を週5に変えて増えた分は、基本的に家計の負担として考えておく必要があります。
制度そのものの仕組みは、こちらの記事に詳しくまとめています。
>>通信制高校の学費は実際いくら?2026年度の所得制限撤廃でどこまで下がるのか
同じ学校でも、選ぶコースで年額がここまで開く
学校を変えなくても、コースの選び方だけで金額は大きく動きます。公式サイトで確認できる例を挙げます。
クラーク記念国際高等学校の公式サイト(2027年度新入生向け)では、就学支援金の適用後の年額が、25単位履修の単位修得コースで3万円、スマートスタディⅠコースで16万2,800円、スマートスタディⅡコースで37万8,300円と案内されています。[3]
同じ学校で、3万円と37万8,300円。差は約35万円です。学校選びで悩む前に、コース選びで金額が決まっていると言っていいくらいです。
| 何を選ぶか | 年額の動き方 | 就学支援金 |
|---|---|---|
| 単位修得だけ(在宅中心) | もっとも安い | 授業料に充てられる |
| 通学コースを足す | コース費用が上に乗る | 支援金の適用後も別枠で残る |
| 登校日数を増やす | コース費用がさらに上がる | 増えた分は家計の負担 |
金額は年度と学校で変わります。出願前に、志望校の公式サイトで必ず最新の学費表を確認してください。
学費表に載っていない、毎月出ていくお金
もうひとつ見落としやすいのが、学費表の外側です。通う日数が増えれば、当然これも増えます。
- 交通費 週1と週5では単純に5倍になる。定期券にできるかどうかも確認しておきたい
- 昼食代 食堂や購買がない校舎も多く、毎回の実費になる
- 行事・部活の実費 参加するかは選べるが、参加する前提で見積もっておくほうが安全
学費表の金額だけで判断すると、ここが後から効いてきます。年間の交通費と昼食代を12で割って、月いくらになるかまで出しておくと、家計の実感に近づきます。
高い頻度を選んで続かないのが、いちばん高くつく
もったいないのは、意気込んで週5を選び、通えなくなってコース費用だけが残ってしまうことです。
コース費用は年額で案内されていることが多く、途中でコースや日数を変えられるか、変えた場合に費用がどう精算されるかは学校によって違います。「まず週5で始めて、つらければ減らせばいい」が、金額の面では通らない場合もあります。
僕自身、約10年間学校に行けませんでした。行けなかった側の実感として言えるのは、行ける日数を増やすのは、通い始めてからのほうがずっと簡単だということです。最初に高く設定して落ちるのは、お金も気持ちも痛みます。
頻度そのものの決め方は、こちらの記事で整理しています。
>>通信制高校の通学コースは週何日を選べばいい?無理なく続く頻度の決め方
通学コースの学費を抑えながら、通う場所を確保する考え方
整理すると、負担を決めているのは2階のコース費用です。だから抑える方向は3つしかありません。
- 登校日数を必要な分だけにする 生活リズムのために週1で足りるなら、週5のコース費用は要らない
- 通学の距離を短くする 交通費と移動の疲れは、続くかどうかに直結する
- 通う場所と学ぶ場所を分けて考える 高校卒業の単位は在宅中心で取り、通う場所は別に確保する
3つめは意外に知られていない考え方です。通学型の学び方の全体像は、こちらの記事にまとめています。
>>通信制高校の「通学型」とは?オンラインだけじゃない学び方と、全国の教室で学べる選択肢
明光義塾高等学院という選択肢
「通う場所」と「学ぶ場所」を分けて考えたい方に向けて、僕が学院長を務める明光義塾高等学院を紹介します。通信制高校の連携施設なので、高校卒業を目指しながら、通い方を自分で組み立てられます。
全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
学費の相談も、コースを決める前の段階で歓迎です。いまの学校のコース費用が負担になっているというご相談も、実際に多く受けています。資料請求のときに「通い方と学費の相談」と書いていただければ、話が早く進みます。
今日できる一歩
志望校の公式サイトの学費ページを開いて、2階建てのどちらの金額なのかに印を付けてみてください。
「年間〇〇万円」と書かれている数字が、単位修得だけの金額なのか、コース費用を含んだ金額なのか。ここを分けずに比較してしまうことはよくあります。学校に問い合わせるときも、「コース費用は別ですか」と聞くだけで話が早くなります。
まとめ
通信制高校の通学コースの学費は2階建てです。1階の単位修得の費用は2026年度の就学支援金でかなり軽くなりましたが、2階のコース費用は、公式の金額表でも就学支援金の適用後に別枠で上乗せされる形で、登校日数を増やした分は基本的に家計の負担になります。
公式サイトで確認できる例では、同じ学校でも支援適用後の年額が3万円から37万8,300円まで開いていました。学校を比べる前に、コースを比べてください。
そして、最初から高い頻度を選んで続かないのがいちばん高くつきます。行ける日数は通い始めてからのほうが増やしやすいので、低めに設定して始めるほうが結果的に安く済みます。
完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。
よくある質問
通信制高校の通学コースの学費に就学支援金は使えますか?
高校卒業に必要な単位修得の授業料には充てられますが、通学のためのコース費用は、多くの学校で就学支援金とは別枠の費用として案内されています。
文部科学省の新制度では、2026年度から所得制限がなくなり、支給上限は私立の通信制で年33万7,200円、単位制の場合は私立1単位1万3,668円です。就学支援金は授業料に充てるための支援金で、クラーク記念国際高等学校も、単位修得のための学費のうち授業料が対象だと明記しています。
N高等学校やクラーク記念国際高等学校の公式サイトでも、支援金の適用後の金額として示されているのは単位修得の側で、通学コースの費用は別に上乗せされる形です。登校日数を増やして増えた金額は、基本的に家計の負担と考えておいてください。
通学コースの学費は、在宅中心のコースとどのくらい違いますか?
学校とコースによりますが、公式サイトで確認できる例では数十万円の差が出ています。
N高等学校・S高等学校・R高等学校の公式サイトでは、ネットコースの学費が年額73,000円から(補助金を差し引いた実質負担額)、週3のオンラインキャンパスの学費が年額483,000円から、合計で年額556,000円からと案内されています。
クラーク記念国際高等学校の公式サイトでも、就学支援金の適用後の年額が単位修得コースで3万円、スマートスタディⅡコースで37万8,300円と、同じ学校のなかで約35万円の差があります。金額は年度で変わるので、出願前に各校の最新の学費表を確認してください。
入学してから通学の日数を減らせば、学費も下がりますか?
学校によって違います。コース費用は年額で案内されていることが多く、途中でコースや日数を変えられるか、変えた場合に費用がどう精算されるかは学校ごとに異なります。
そのため「まず週5で始めて、つらければ減らせばいい」という進め方は、金額の面では成り立たない場合があります。出願前に、コースの途中変更ができるか、できる場合は費用がどう精算されるかを、学校に直接確認しておいてください。
通える日数は通い始めてから増やすほうが簡単です。最初は低めに設定して、余裕が出てから増やす順番のほうが、お金も気持ちも無理がありません。
出典
- 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(令和8年度) PDF 本文へ戻る
- N高等学校・S高等学校・R高等学校「通学コース」 ページ 本文へ戻る
- クラーク記念国際高等学校「学費について」 ページ 本文へ戻る
