子どもが「ゲーミングPCが欲しい」と言い出した。値段も高いし、買ったら一日中ゲームをするのではないか。学校に行っていない状態で買い与えていいのか。「ゲーミングPC 子ども」と検索した方へ、先に答えを書きます。
買っていいです。ただし「買うかどうか」より「どんな約束で、何に使うか」を先に決めてから買ってください。 ゲーミングPCは高性能なパソコンで、ゲーム専用機ではありません。使い方しだいで、動画編集やプログラミング、配信、大会の運営まで、子どもの世界を広げる道具になります。
この記事では、買う前に親子で決める約束の作り方、ゲーム時間との付き合い方、そしてゲームを学びにつなげる具体的な方法を書きます。ゲーム時間のルールや課金のルールは別の記事に任せ、ここでは購入の判断と環境づくりに絞ります。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
ゲーミングPCを子どもに買っていい理由
まず「ゲーミングPC」が何かを整理します。高性能なグラフィック処理の部品を積んだパソコンで、ゲームが快適に動くのが特徴です。それは同時に、動画編集や3Dの制作、プログラミング、配信といった重い作業も快適に動くということです。
だから僕の答えは「買っていい」です。ゲーム機と違って、ゲームしかできない道具ではないからです。道具の性能が「できること」の幅を決めます。
こども家庭庁の令和6年度の調査では、青少年がインターネットを使う機器はゲーム機が66.5%、自宅用のパソコンやタブレットが44.9%でした。[1] ゲーム機は持っていても、自分で自由に使えるパソコンは持っていない子のほうが多い、という状況です。
ただし、買い方を間違えると「高いゲーム機」で終わります。次の章の約束を、買う前に一緒に決めてください。
買う前に親子で決める3つの約束。紙に書いて貼る
同じ調査で、インターネットの家庭のルールを「決めている」と答えた中学生は73.0%、その保護者は82.1%でした。[1] 親は決めたつもりでも、子どもはそう思っていない。この約9ポイントの差が、買ったあとのケンカの正体です。
だから約束は口頭ではなく、紙に書いて、パソコンの近くに貼ってください。決めるのは次の3つで十分です。
- 使う場所 個室ではなく、家族の目が届く場所に置く。夜の使用時間の上限も、この時点で本人と決める
- お金の入り口 クレジットカードをパソコンやゲームに登録しない。課金はプリペイドカードで、本人のおこづかいの範囲にする
- ゲーム以外に使う時間 週に1回でいいので、ゲーム以外の使い方をする時間を決める。動画編集でも、タイピングでも、プログラミングでもかまわない
3つ目が、この記事でいちばん伝えたい約束です。「ゲームをしない時間」ではなく「ゲーム以外に使う時間」を決めるのがポイントで、取り上げる約束ではなく、広げる約束にします。
時間の決め方の細かい進め方は、こちらの記事で解説しています。
>>子どものゲーム時間のルールはどう決める?取り上げずに約束をつくる方法
課金については、こちらの記事に約束の作り方をまとめています。
>>子どものゲーム課金のルールはどう決める?取り上げずに約束をつくる方法
>>うちの子の場合はどうすれば?不登校の専門家 小幡和輝の無料LINE相談
僕がゲームに3万時間使って、それが仕事になった話
「一日中ゲームをするようになるのでは」という心配に、僕の実体験で答えます。
僕は不登校だった約10年のあいだに、ゲームを合計3万時間くらいやりました。そして、ゲームの大会を自分で企画したことが、人を集めて何かをやる原体験になりました。それが起業の第一歩でした。
ゲームを「する」だけで終わっていたら、たぶんこうはなっていません。人を集める、ルールを決める、告知をする、当日を回す。大会を企画した経験が、ゲームの外の力になりました。
ゲームで育つ力は、上手な人に教わる、振り返る、仲間とやる、この3つの条件がそろって初めて伸びます。一人で黙々とプレイしているだけでは育ちにくい。ゲーミングPCを買うなら、この条件をどう作るかまで考えてください。
生活のリズムが崩れて食事や睡眠に影響が出ている場合は、道具の問題ではなく、生活全体の相談として小児科や自治体の相談窓口に話してみてください。
ゲームを学びにつなげる4つの使い方。買ったあとの環境づくり
ゲーミングPCが手元に来たら、ゲーム以外の使い方を親から「提案」してください。命令ではなく、選択肢として並べる感じです。
- 動画編集 自分のプレイを録画して、短く編集してみる。無料の編集ソフトで十分で、カットとテロップだけでも1本作れる
- プログラミング マインクラフトのようにゲームの中でプログラミングができるものから入る。「ゲームの続き」として始められるので抵抗が少ない
- 配信や実況の準備 いきなり公開しなくていい。台本を書く、話す練習をする、それだけで言葉の力が育つ
- 大会の運営 友達や家族を集めて小さな大会を開く。参加者を募る、組み合わせを決める、進行する。僕の原体験がこれでした
どれも、ゲーミングPCの性能があるからこそ快適にできることです。ゲーム機では、この4つのほとんどができません。
eスポーツを習い事として学ぶという選択肢もあります。始め方と選び方はこちらの記事にまとめています。
>>eスポーツは習い事になる?ゲームで学ぶ時代の始め方と選び方
プロに教わる環境。ゲムトレと学びの場にゲーミングPCを入れた理由
僕はeスポーツスクール「ゲムトレ」の創業者でもあります。全国大会や世界大会の経験者など、採用率10%以下で選ばれたプロのゲームトレーナーが、4歳から高校生までの子どもを教えていて、累計のトレーニング回数は3万回を超えました。生徒には不登校の子も多くいます。
ゲムトレでやっているのは「プレイして終わり」ではありません。プレイしたあとに振り返り、次の目標を決める。この繰り返しで、集中力や論理的な思考、チーム戦で声を出すコミュニケーションの力が育ちます。
この考え方で、僕たちが運営する明光義塾高等学院にゲーミングPCとゲムトレのプログラムを導入しました。パソコンを置いて自由に遊ばせるのではなく、プロの講師派遣を入れたプログラムとして運営しています。
半年間ひとことも話さなかった子が、eスポーツの大会の日に初めて声を出したことがあります。保護者の方が泣いていました。ゲームは、その子が外とつながる最初の入り口になることがあります。
家庭でゲーミングPCを買うときも、同じ設計にしてください。道具だけを渡すのではなく、教わる相手と、振り返る時間と、一緒にやる仲間をどう作るかまで考える。それが「高いゲーム機」と「学びの道具」の分かれ目です。
>>高校生の不登校は約43人に1人|高1・高2・高3で違う原因と、単位・留年・転校の考え方【2026年最新】
クラスジャパン小中学園という選択肢
家にパソコンがあるなら、それを学びの入り口にする場所として、僕たちはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」を運営しています。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。先ほど紹介したゲムトレもクラスジャパンの中のプログラムとして入っています。
学習面ではネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。ゲームが好きな子には、その好きを否定せず、そこから広げる関わり方をします。ゲーミングPCも導入していて、ゲームを通した企画やイベントの時間もあります。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度があり、その運用はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきました。
オンラインで学ぶために必要なパソコンや通信環境の目安は、こちらの記事にまとめています。
>>オンラインフリースクールに必要なものは?パソコン・通信環境の準備リスト
>>ゲームが好きな子の学び方を見る。クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
今日できる一歩
今日できる一歩として、お子さんに「ゲーミングPCを買ったら、ゲーム以外に何をしてみたい?」と一度だけ聞いてみてください。答えが「特にない」でも大丈夫です。その場で、この記事の4つの使い方を「こういうのもあるらしいよ」と伝えるだけにしてください。
買うかどうかの返事は、今日出さなくてかまいません。約束を紙に書く日を、あとで一緒に決めればいいです。
まとめ
子どもにゲーミングPCを買っていいか。答えは「買っていい」ですが、買う前に、使う場所、お金の入り口、ゲーム以外に使う時間の3つを紙に書いて約束してください。親と子のルールの認識には約9ポイントの差があり、口頭の約束は消えます。
買ったあとは、動画編集、プログラミング、配信の準備、大会の運営のどれかを提案して、ゲームの外に広げてください。上手な人に教わる、振り返る、仲間とやる、この3つがそろったとき、ゲームは学びの道具になります。僕の3万時間が仕事になったのも、大会を企画したからでした。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
不登校の子どもにゲーミングPCを買い与えても大丈夫ですか?
大丈夫です。ゲーミングPCはゲーム専用機ではなく、動画編集やプログラミング、配信などの重い作業も快適に動く高性能なパソコンです。家で過ごす時間が長い子ほど、道具の性能ができることの幅を決めます。ただし買う前に、使う場所、お金の入り口、ゲーム以外に使う時間の3つを親子で紙に書いて約束してください。
ゲーミングPCを買ったら一日中ゲームをするのではないかと心配です。
心配は自然ですが、対策は取り上げることではなく約束と環境づくりです。ゲームで育つ力は、上手な人に教わる、振り返る、仲間とやる、の3つがそろって初めて伸びます。
個室ではなく家族の目が届く場所に置き、週に1回はゲーム以外に使う時間を決めてください。
生活のリズムが崩れて食事や睡眠に影響が出ている場合は、小児科や自治体の相談窓口に相談してください。
ゲームを学びにつなげるには、具体的に何をすればいいですか?
動画編集、プログラミング、配信や実況の準備、小さな大会の運営の4つを、命令ではなく選択肢として提案してください。
マインクラフトのようにゲームの中でプログラミングができるものは、ゲームの続きとして始められるので抵抗が少ないです。
プロのゲームトレーナーに教わるeスポーツの習い事や、ゲーミングPCを導入したオンラインフリースクールで学ぶ方法もあります。
出典
