夏休みが終わっても、お子さんが学校に行けないまま9月が過ぎていく。高校生が夏休み明けに行けなくなると、小中学校のときとは違う焦りが出てきます。進級や卒業に単位が関わるからです。先に結論をお伝えします。
休むこと自体は問題ありません。ただし高校生の場合は、休みながら「単位と出席日数がいまどうなっているか」を親が数字で把握しておくことが重要です。
数字さえ押さえておけば、慌てて登校を迫る必要も、気づいたら手遅れという事態もなくなります。
なお、小中学生のお子さんの夏休み明けについてはこちらの記事で解説しています。
>>夏休み明けに学校へ行きたくないと言い出したら。2学期を無理に始めない選択肢
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。
この記事では、高校生が夏休み明けに学校へ行けなくなったとき、単位と出席日数から逆算して立て直す手順を整理します。
夏休み明けに行けなくなる高校生は珍しくない
文部科学省の令和6年度調査では、高等学校の不登校生徒は67,782人にのぼります(出典: 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」[1] )。
長期休みのあとは、1学期に抱えていた負担を体が思い出すタイミングです。生活リズムの変化、課題テスト、人間関係の再開への緊張が一気に重なるため、それまで頑張って通えていた子ほど、夏休み明けに動けなくなることがあります。
朝起きられない、頭痛や腹痛が続くといった症状が出ているなら、気持ちの弱さの問題ではありません。起立性調節障害のように、思春期に多い体の不調が隠れている場合があります。登校を約束させる前に、小児科や心療内科、スクールカウンセラーへの相談を優先してください。
高校は「単位」で決まる。まず仕組みを知る
小中学校では、欠席が多くても進級・卒業できるのが実際の運用です。一方、全日制高校の多くは学年制で、学年ごとに決められた科目の単位を修得しないと進級できません。
そして単位の認定には、テストの成績だけでなく授業への出席が関わります。多くの学校は、科目ごとの授業時数のうち一定の割合を超えて欠課すると単位を認定しない、という基準を校内の規程で決めています。3分の1程度を目安にしている学校が多いものの、正確な数字は学校ごとに違います。
裏を返せば、基準を知れば「あと何回までは休めるか」がわかるということです。ここを曖昧なまま「早く行かないと留年するよ」と急かすのがいちばん良くないパターンで、子どもは追い詰められ、親は焦り、それでも数字は何も見えていません。まず材料を集めましょう。
学校に電話1本。確認するのは3つだけ
本人が動けなくても、保護者からの電話で確認できます。担任か教務の先生に、次の3つを聞いてください。
- 科目ごとの現在の欠課時数 学校全体の欠席日数ではなく、科目単位の欠課で数えます。体育や芸術など週の時数が少ない科目ほど早く基準に達するため、科目ごとの数字が必要です
- 単位認定の基準 欠課が授業時数の何分の1までなら単位が認定されるのか、学校の規程を確認します
- 救済措置の有無 補講、課題レポート、別室やオンラインでの出席が欠課の扱いを軽くできるか。学校によって運用に幅がある部分です
この3つがそろうと、「どの科目が、あと何時間で危ないのか」が具体的にわかります。逆算の材料はこれだけです。電話のついでに、毎朝の欠席連絡を週単位の連絡に変えられないかも相談すると、親子ともに毎朝の消耗が減ります。
9月からの逆算カレンダー。いつまでに何を決めるか
集めた数字をもとに、時間軸で考えます。
まず9月から10月は、休ませながら様子を見てよい時期です。欠課時数に余裕がある科目が多いなら、無理に登校させず、エネルギーがたまるのを待つことを優先できます。基準が近い科目だけ「この授業だけ出る」という部分登校ができないか、学校に相談する手もあります。
11月から12月は、判断の材料がそろってくる時期です。複数の科目で単位認定が難しそうだとわかったら、いまの学校で留年して続けるのか、環境を変えるのかを親子で考え始めます。
ここで知っておいてほしいのは、通信制高校への転入なら、在籍したまま学校を移り、修得済みの単位と在籍期間を引き継いで、同級生と同じ時期の卒業を目指せるということです。転入は多くの通信制高校が年度の途中でも随時受け入れています。
留年しそうな段階でできることはこちらの記事で詳しく解説しています。
>>高2で留年しそうと言われたら。留年せずに卒業を目指す道の選び方
年が明けてからでも遅すぎることはありませんが、単位の引き継ぎは移る時期によって扱いが変わります。転入・編入のタイミングと単位の関係はこちらの記事にまとめています。
>>通信制高校に転入・編入するタイミング。学年途中でも間に合う?単位の引き継ぎまで解説
大切なのは、逆算した結果「まだ動かなくていい」とわかることにも価値がある、という点です。数字を知ることは、退学や転校へ話を進めるためではなく、安心して休ませるための材料集めです。
「いつまで休むの」と言いそうになったら
僕自身が不登校のとき、親に言われていちばんきつかった言葉は「いつまで休むの」でした。逆に「あなたが元気ならそれでいい」と言われた日から、家が安全な場所になりました。
高校生は、単位や卒業の仕組みを本人もある程度わかっています。わかっているからこそ、「休んだら終わりかもしれない」と一人で抱え込みやすい年代です。
親が数字を押さえたうえで「〇〇の科目はまだ余裕があるから、今週は休んで大丈夫」と具体的に言えると、子どもは期限のない焦りから解放されます。逆算は、子どもを追い込む道具ではなく、安心して休むための根拠になります。
明光義塾高等学院という選択肢
いまの学校で単位を守り切るのが難しそうなとき、環境を変えて卒業を目指す先のひとつとして、僕が学院長を務める明光義塾高等学院があります。通信制高校の連携施設として、高校卒業資格の取得を目指しながら、毎日通う前提ではない自分のペースの学びに切り替えられる場所です。
全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。
「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
夏休み明けから学校に行けていない期間があると、授業の遅れが次の不安になりますが、個別指導がベースなので、止まっていた場所から再開できます。
中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入の相談も受け付けています。修得済みの単位を引き継いで、同級生と同じ時期の卒業を目指す設計から一緒に考えられるので、「うちの子の場合、いつまでに動けばいいか」という段階での相談でも大丈夫です。
今日できる一歩
学校に電話をかけて、担任か教務の先生に「科目ごとの欠課時数の現状と、単位認定の基準を教えてください」とだけ聞いてみてください。
10分で終わる電話ですが、これで「いつまでに何を決めればいいか」が霧の中から数字に変わります。本人に登校を促す前に、まず親が材料を持つこと。それが夏休み明けの立て直しの最初の一歩です。
>>高校生の不登校は約43人に1人|高1・高2・高3で違う原因と、単位・留年・転校の考え方【2026年最新】
まとめ
高校生が夏休み明けに学校へ行けなくなったら、登校の説得より先に、単位と出席日数の確認です。
科目ごとの欠課時数、単位認定の基準、救済措置の3つを学校に聞けば、あとどれくらい休めるかが数字でわかります。
そのうえで、いまの学校で立て直すのか、転入して同じ時期の卒業を目指すのかを、期限から逆算して落ち着いて選んでください。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。LINEで無料相談を受け付けています。
よくある質問
夏休み明けから休み始めたら、すぐ留年になりますか?
すぐにはなりません。全日制高校の多くは科目ごとの欠課時数が一定の割合を超えたときに単位を認定しない基準を設けており、9月の時点では多くの科目にまだ余裕があります。学校に科目ごとの欠課時数と基準を確認すれば、あとどれくらい休めるかが数字でわかります。
欠課時数や単位認定の基準はどうやって確認すればいいですか?
保護者から学校への電話で確認できます。担任か教務の先生に、科目ごとの現在の欠課時数、単位認定の基準、補講やレポートなどの救済措置の有無の3つを聞いてください。本人が動けない状態でも問題ありません。
通信制高校に転入すると卒業は遅れますか?
転入の場合、在籍したまま学校を移り、修得済みの単位と在籍期間を引き継げるため、同級生と同じ時期の卒業を目指せます。ただし単位の引き継ぎは移る時期によって扱いが変わるので、検討を始めたら早めに転入先へ確認することをおすすめします。
出典
