放課後等デイサービスとフリースクールの違い。不登校の子はどちらを使う?併用はできる?

「放課後等デイサービスとフリースクールの違いがよくわからない。うちの子は不登校だけど、どちらを使えばいいの?」検索してみても、施設の紹介ページばかりで制度の整理が見つからない、という声をよく聞きます。

先に結論を書きます。放課後等デイサービスは児童福祉法にもとづく障害児向けの福祉サービスで、市町村が発行する受給者証が必要です。不登校であることだけを理由に使うことはできません。フリースクールは学校でも福祉サービスでもない民間の学びと居場所の場で、受給者証も診断も要りません。発達の特性があって受給者証を持っているお子さんなら、平日の日中はフリースクール、放課後は放課後等デイサービスという併用もできます。

学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。小幡和輝と申します。この記事では、放課後等デイサービスとフリースクールの違いを制度の一次情報で整理し、不登校のお子さんがどちらを使うか、併用するならどう組むかまで書きます。

目次

放課後等デイサービスとフリースクールの違いを5つの軸で比べる

似た場所に見えますが、根っこがまったく別です。違いは次の5つで押さえると迷いません。

  1. 根拠となる制度 放課後等デイサービスは児童福祉法に定められた障害児通所支援の一つで、2012年4月に始まった福祉サービスです。フリースクールは法律上の位置づけを持たない民間の施設で、運営はNPO法人や株式会社、個人などさまざまです
  2. 対象になる子ども 放課後等デイサービスは、障害のある就学中の子ども(原則6歳から18歳)です。フリースクールは不登校や学校に行きづらい子どもが中心で、診断や特性の有無は問いません
  3. 使うための手続き 放課後等デイサービスは市町村に申請して「通所受給者証」を取得し、事業所と契約して、個別支援計画にそって利用します。フリースクールは施設に直接問い合わせて見学し、入会すれば始められます
  4. 費用の仕組み 放課後等デイサービスは利用料の1割が自己負担で、世帯の所得に応じた月額の上限があります。フリースクールは施設ごとの料金で、月額固定や回数制など形はさまざまです
  5. 時間帯と活動の中身 放課後等デイサービスは名前のとおり放課後や学校休業日の利用が基本で、中身は療育(発達支援)です。フリースクールは平日の日中に開いていて、中身は学習と居場所、体験活動です

費用の上限は、こども家庭庁が公表している「利用者負担の仕組み」で確認できます。障害児の通所支援の場合、生活保護世帯と市町村民税非課税世帯は0円、市町村民税課税世帯(所得割28万円未満。収入がおおむね890万円以下の目安)は月4,600円、それ以上の世帯は月37,200円が上限です。

こども家庭庁「利用者負担の仕組み」
https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/futan

フリースクールには全国一律の補助はありませんが、自治体によっては利用料の助成があり、在籍校の出席扱いになる仕組みもあります。出席扱いの3つの要件はこちらの記事で解説しています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/shusseki-atukai/

学校の中の選択肢である「学びの多様化学校(不登校特例校)」との違いは、こちらで整理しています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/manabi-tayoka-gakko/

不登校の子が放課後等デイサービスを使えるケース、使えないケース

ここがいちばん誤解の多いところです。「不登校なら放デイに通える」という情報を見かけますが、正確ではありません。

放課後等デイサービスを使うには、市町村から障害児通所給付の決定(受給者証)を受ける必要があります。こども家庭庁が2024年4月22日に出した事務連絡「個別サポート加算(Ⅲ)の創設と取扱いについて」には、この加算は「不登校の状態のみをもって障害児通所給付費の対象とする趣旨のものではない」とはっきり書かれています。つまり、不登校であること自体は受給者証の理由にならない、ということです。

こども家庭庁 事務連絡「個別サポート加算(Ⅲ)の創設と取扱いについて」(令和6年4月22日)
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/253aba4f-3ce0-4aa1-a777-3d42440f1ca2/55cba3ae/20240430_policies_shougaijishien_shisaku_hoshukaitei_89.pdf

一方で、発達の特性があり、受給者証の対象になるお子さんであれば、不登校であっても放課後等デイサービスは使えます。むしろ2024年度の報酬改定で、不登校の状態にある障害のある子への支援が制度として位置づけられました。上の事務連絡のポイントを3つに絞ります。

  1. 授業時間帯の利用が認められた 学校と家庭と事業所が緊密に連携し、個別支援計画に位置づければ、本来は授業の時間である平日の日中にも放課後等デイサービスで支援を受けられるようになりました。逆に、学校や家庭との連携がない状態で日中に利用することは想定されていません
  2. 学校との情報共有が月1回以上 事業所は学校と月1回以上の情報共有を行い、家庭への相談援助も月1回以上行うことが要件です。保護者の同意が前提なので、知らないうちに学校と話が進むことはありません
  3. もともと通っていた子を想定している この仕組みは、放課後に通っていた事業所に、不登校になってからも信頼関係のもとで通い続ける子を想定したものです。不登校の子を新しく集めて支援することは想定していない、と明記されています

受給者証が取れるかどうかは市町村の判断で、診断書ではなく医師の意見書で認められる自治体もあります。お子さんの特性が気になっていて、まだ相談したことがなければ、まずは市町村の障害福祉の窓口か、かかりつけの小児科、発達の専門機関に相談してみてください。この記事で症状や特性の有無を判断することはできません。

フリースクールが向いているのはどんなとき

放課後等デイサービスが「療育が必要な子への福祉」だとすると、フリースクールは「学校以外に平日の日中を過ごす場所」です。次のような場合はフリースクールのほうが合います。

  1. 発達の特性に関係なく居場所がほしい 受給者証の対象にならない子でも使えます。不登校の子の多くはここに当てはまります
  2. 平日の日中の行き先がほしい 放課後等デイサービスの基本は放課後です。朝から昼にかけての時間を埋めたいなら、もともと日中に開いているフリースクールのほうが自然です
  3. 出席扱いを視野に入れたい 在籍校との連携や通所の記録をもとに、校長判断で出席扱いになる仕組みがあります。文部科学省の通知で要件が示されています

文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm

平日の日中に行き先があることの意味を、僕は自分の体験で知っています。不登校だったころ、平日の昼間に外を歩いたら、近所の人に「学校は?」と聞かれました。夕方のチャイムが鳴ると同級生が帰ってくるので、その時間は外に出られませんでした。家しか行き場がないと、子どもは昼も夕方も身を縮めて過ごすことになります。学校ではないけれど「今日はここに行く」と言える場所が平日の日中にあるだけで、その縮こまりはほどけていきます。

併用するなら。1週間の組み方と学校への伝え方

受給者証を持っているお子さんなら、両方を組み合わせるのが現実的です。実際に、昼はフリースクール、放課後は放課後等デイサービスという形で通っている子はいます。組み方の例を1つ書きます。

  1. 月・水・金 午前から昼すぎまでフリースクール。学習と自由時間、体験活動
  2. 火・木 午後に放課後等デイサービス。療育と個別支援計画にそった活動
  3. どちらもない日や時間 家で過ごす。詰め込まない

組むときのコツは3つです。

  1. 在籍校に両方を伝える 放課後等デイサービスの個別支援計画は学校と連携して作られ、フリースクールの出席扱いも学校との連携が要件です。学校の担任かスクールカウンセラーに「フリースクールと放デイを併用したい」と最初に伝えておくと、あとの話がすべてスムーズです
  2. 出席扱いの申請はフリースクール側で進める 放課後等デイサービスは療育が目的なので、出席扱いの実績はフリースクールに比べて限られます。出席扱いを狙うなら、フリースクールの通所記録と活動内容を学校に届ける形で進めるのが確実です
  3. 週の総量を子どもに決めさせる 最初から週5日を埋めないでください。行き先が2つあると大人は安心しますが、子どもにとっては「通う場所が2つに増えた」ということです。週2回から始めて、本人が増やしたいと言ったら増やす順番にします

不登校の支援全体のどこにフリースクールと放課後等デイサービスが位置するかは、こちらの記事で全体地図にしています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-support/

今日できる一歩

お子さんに発達の特性があり受給者証をすでに持っているなら、今日、通っている事業所に「不登校の状態でも日中に利用できる仕組み(個別サポート加算Ⅲ)に対応していますか」と聞いてみてください。受給者証がなく、特性の有無もわからない段階なら、市町村の障害福祉の窓口に「不登校で、発達の相談もしたい。受給者証の対象になるか知りたい」と電話で聞くだけで、自分の子がどちらの制度に近いのかが見えてきます。

明光フリースクールという選択肢

明光フリースクール

平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、「学校ではないけれど通う場所」として機能しています。

放課後等デイサービスとの違いで言えば、受給者証も診断も要りません。発達の特性がある子もない子も、同じ場所で、同じ時間を過ごしています。受給者証を持っていて放課後等デイサービスにも通っているお子さんが、平日の日中の行き先として明光フリースクールを使い、放課後はそのまま放デイへ、という組み方ももちろんできます。

学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。

新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。

明光フリースクールの詳細はこちら
https://freeschool.meikogijuku.jp/

まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。

学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。

クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
https://www.cjgakuen.com/

まとめ

放課後等デイサービスは児童福祉法にもとづく障害児向けの福祉サービスで、受給者証が必要です。不登校だけを理由には使えませんが、受給者証があるお子さんは2024年度から平日の日中にも、学校と連携したうえで利用できるようになりました。フリースクールは診断も受給者証も要らない、平日の日中の学びと居場所の場です。両方の対象になるお子さんなら、昼はフリースクール、放課後は放デイという併用が現実的です。

完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。

不登校の無料LINE相談はこちら
https://www.obatakazuki.com/lp

よくある質問

不登校というだけで放課後等デイサービスは使えますか?

使えません。放課後等デイサービスは児童福祉法にもとづく障害児向けのサービスで、市町村の受給者証が必要です。こども家庭庁の事務連絡でも、不登校の状態のみをもって給付の対象にする趣旨ではないと明記されています。発達の特性があり受給者証の対象になるかどうかは、市町村の障害福祉の窓口に相談してください。

放課後等デイサービスとフリースクールは併用できますか?

できます。受給者証を持っているお子さんなら、平日の日中はフリースクール、放課後は放課後等デイサービスという組み方が現実的です。どちらも在籍校との連携が関わるので、担任かスクールカウンセラーに最初に併用の意向を伝えておくと進めやすくなります。

放課後等デイサービスに通えば学校の出席扱いになりますか?

出席扱いは文部科学省の通知にもとづき、在籍校の校長が学校外の施設での活動を個別に判断する仕組みです。放課後等デイサービスは療育が目的なので、出席扱いの実績はフリースクールに比べて限られます。出席扱いを視野に入れるなら、フリースクールの通所記録と活動内容を学校に届ける形で進めるのが確実です。

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この記事を書いた人

1994 年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し不登校の専門家として活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい/英治出版』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方/小学館』など計6冊。講演、メディア出演も多数。

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