不登校の子のために介護休業は使える?2025年の基準見直しと、会社への伝え方

「子どもが不登校になって、仕事をどうするか悩んでいる。介護休業が使えると聞いたけれど、本当?」この記事は、そんな働く保護者の方に向けて書きます。

先に結論です。不登校のお子さんのケアのために、介護休業・介護休暇が使える場合があります。 「介護」という名前から高齢の親のための制度と思われがちですが、法律上の対象家族には「子」が含まれます。しかも2025年4月に国の判断基準が見直され、同年11月には文部科学省と厚生労働省が「不登校の子の保護者も利用できる場合がある」と周知を始めました。まだ知られていない、新しい選択肢です。

僕は約10年間の不登校を経験しました。当時はフリースクールで学び、現在は不登校の専門家として本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしてきました。保護者の方の「仕事を辞めるしかないのか」という相談を数え切れないほど受けてきた立場から、この制度を整理します。

目次

介護休業・介護休暇とは。対象家族に「子」が含まれます

育児・介護休業法が定める、働く人の権利です。2つあります。

  1. 介護休業 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分けて取れる長めの休みです。雇用保険から介護休業給付金(賃金の67%)が受けられます
  2. 介護休暇 年5日(対象家族が2人以上なら10日)まで、1日単位や時間単位で取れる短い休みです。学校との面談や通院の付き添いに使いやすい形です

対象家族には配偶者・父母などと並んでが含まれます。ここが意外に知られていません。

制度の詳細: 厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/jigyou_ryouritsu/ryouritu.html

不登校で「使える場合」とは。2025年に基準が見直されました

使えるかどうかの分かれ目は、お子さんが法律上の「要介護状態」に当てはまるかです。要介護状態とは、負傷、疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態のことです。

大切なポイントが3つあります。

  1. 介護保険の要介護認定は必要ありません。 高齢者向けの認定とは別の話です
  2. 精神上の障害が明記されています。 不登校に伴う不安障害や適応障害、起立性調節障害など、心身の不調で日常生活に常時サポートが必要な状態は対象になり得ます
  3. 2025年4月1日に判断基準が見直されました。 従来の基準は高齢者の介護を前提につくられていましたが、障害児や医療的ケア児のケアも含む形に改められました

判断基準の一次資料: 厚生労働省・東京労働局「常時介護を必要とする状態に関する判断基準(令和7年4月1日適用)」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002140717.pdf

そして2025年11月、文部科学省と厚生労働省が連名で、不登校児童生徒の保護者が介護休業・休暇制度を利用できる場合があることを周知する資料をつくりました。国が「不登校の家庭も使ってよい」と明示した、大きな変化です。

正直な整理。使えるケースと、難しいケース

ここは正直に書きます。「不登校なら誰でも使える」わけではありません。

使える可能性が高いケース
– 医療機関にかかっていて、不安障害・適応障害・起立性調節障害などの診断や意見がある
– 食事・外出・情緒の安定などに日常的な付き添いやケアが必要で、その状態が2週間以上続いている
– 一人で留守番をさせられない状態が続いている

難しい可能性があるケース
– 学校に行っていない以外は、日常生活を一人で送れている
– ケアというより「見守り」の段階

境目はグレーで、最終的には勤務先が判断基準に沿って確認します。迷ったら、まずかかりつけの小児科や児童精神科に相談し、お子さんの状態を医師の言葉にしてもらうことが第一歩です。診断書が法律上の必須要件というわけではありませんが、会社との話し合いが格段に進めやすくなります。

会社への伝え方。2025年からは会社側にも義務があります

「不登校で介護休業なんて、会社に言いづらい」という方へ。伝え方のポイントです。

  1. 人事・労務の窓口に「育児・介護休業法の介護休業(休暇)を取りたい」と制度名で伝える 感情的な事情説明から入るより、制度の話として切り出すほうがスムーズです
  2. 「対象家族は子、要介護状態は精神上の障害による常時介護」と要件に沿って説明する 上で紹介した判断基準の資料を添えると、人事側も確認しやすくなります
  3. 会社は法律の基準より厳しい独自条件を課せません。 「不登校は対象外」と社内ルールで断ることはできない建て付けです

さらに2025年4月の法改正で、介護離職を防ぐための体制整備や制度の個別周知が会社の義務になりました。「聞いたら迷惑」ではなく、会社には答える義務がある。そう考えて大丈夫です。

仕事を辞めるかどうかの考え方は、こちらの記事で詳しく書いています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-oya-shigoto/

休みを「体制づくり」に使うと、その後が楽になります

介護休業は最長でも通算93日。ずっと休み続けるための制度ではなく、仕事を辞めずに、家庭の体制を立て直すための時間です。おすすめの使い方は次の3つです。

  1. お子さんと過ごし、心の回復を最優先にする
  2. 学校・スクールカウンセラー・医療機関との連携をこの期間に整える
  3. 復帰後、親が仕事に戻っても回る日中の体制をつくる

3つめが一番大事です。ここで力になるのが、日中にお子さんに伴走してくれる場所です。

クラスジャパン小中学園という選択肢

オンラインフリースクール クラスジャパン小中学園

僕たちが運営するオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」は、自宅からネットで参加でき、ネットの先生(担任)がお子さん一人ひとりに伴走します。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。

働く保護者の方にとって大きいのは、親が仕事をしている日中に、子どもがひとりぼっちにならないことです。担任とのやりとりと計画的な学習で1日にリズムができ、学習面では、ヒントを出しながら一緒に考えるAIサポートも付きます(学習以外に使えないフィルタリング設定つき)。一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになった実績も多数あります。

介護休業で整えた体制のゴールとして、「親は仕事へ、子どもはオンラインの居場所へ」という形を、ぜひ選択肢に入れてください。

クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
https://www.cjgakuen.com/

まとめ。辞める前に、使える制度を全部並べる

不登校のお子さんのケアに、介護休業(通算93日・給付金67%)と介護休暇(年5日・時間単位可)が使える場合があります。2025年に判断基準が見直され、国も不登校家庭への周知を始めました。誰でも使えるわけではありませんが、医師への相談と会社への正しい伝え方で、道が開けるご家庭は確実にあります。

今日できる一歩をひとつ挙げるなら、会社の就業規則か人事窓口で「介護休暇・介護休業の対象家族と手続き」を確認してみてください。使う・使わないを決めるのはその後で大丈夫です。選択肢を知っていること自体が、心の余裕になります。

お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。仕事とケアの両立の悩みも含めて、無料のLINE相談で一緒に整理しましょう。

不登校の専門家 小幡和輝の無料LINE相談
https://www.obatakazuki.com/lp

よくある質問

不登校というだけで介護休業は取れますか?

不登校という事実だけでは取れません。法律上の要介護状態、つまり負傷・疾病または身体上・精神上の障害により2週間以上常時介護を必要とする状態に当てはまることが要件です。不安障害や適応障害、起立性調節障害などで日常的なケアが必要な場合は対象になり得ます。介護保険の要介護認定は不要です。迷ったら医療機関に相談し、勤務先の人事窓口に判断基準を確認してください。

介護休業中の収入はどうなりますか?

雇用保険の被保険者であれば、介護休業給付金として休業開始時賃金の67%が支給されます(対象家族1人につき通算93日まで)。介護休暇(年5日)は法律上は無給でもよいとされており、有給かどうかは会社の規定によります。就業規則を確認してください。

会社に「不登校は介護ではない」と断られたらどうすればいいですか?

会社は法律の判断基準より厳しい独自条件を課すことはできません。厚生労働省の「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」(2025年4月見直し)と、文部科学省・厚生労働省が2025年11月に作成した不登校家庭向けの周知資料を示して、あらためて人事に確認してください。それでも解決しない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談できます。

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この記事を書いた人

1994 年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し不登校の専門家として活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい/英治出版』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方/小学館』など計6冊。講演、メディア出演も多数。

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