いじめが理由で高校を転校したい。手続きの順番と通信制高校へ移るという選択肢

「もうあの教室には戻れない」。高校でいじめに遭っているお子さんからそう聞かされたとき、親としてまず頭に浮かぶのは「転校させてあげたい、でも高校の転校ってどうやるのか」ということだと思います。

結論から書きます。いじめが理由で高校を転校するのは逃げではなく、安全を確保するための正当な手段です。 そして、手続きには順番があります。まず安全を優先して休ませる、学校に正式に申し出る、転校先を決める、在籍したまま手続きを進める、退学届は最後。この順番さえ守れば、失うものはほとんどありません。

この記事は「いじめ」を起点に、安全の確保、学校への申し出、高校の転校の2つのルート、手続きの順番、そして転校先で同じことを繰り返さないための環境選びまでをまとめます。転入・編入の制度一般や、いじめ以外の理由で高校が合わないときの考え方は別の記事で解説しているので、必要な方はそちらも合わせて読んでください。

僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。通信制高校の連携施設の学院長も務めているので、いじめをきっかけに転入してくる高校生の相談は日常的に受けています。

目次

まず優先するのは安全。休ませることから始めていい

転校の手続きより先に、今日のお子さんの安全です。いじめの渦中にいる子を「転校が決まるまでは通いなさい」と登校させ続けるのは、心身への負担が大きすぎます。休ませていいです。 欠席が続くことで単位の心配が出てきますが、それは後から対処できる問題で、いま壊れかけている心は後から取り戻すほうが難しい。

そのうえで、学校への申し出は必ず正式に行ってください。いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)は、いじめを「当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」と定義し、学校にいじめの防止と対処の義務を定めています。相当の期間欠席を余儀なくされている疑いがあるときは「重大事態」として学校や教育委員会が調査を行う仕組みもあります。「子どもが大げさに言っているだけでは」と学校側に扱われないためにも、口頭ではなく、日時・内容・相手・お子さんの状態を書面にして渡してください。スマホのメッセージはスクリーンショットで残します。

学校に話しても動いてもらえないと感じたときは、学校の外に相談先があります。文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)は、いじめに悩む子ども本人だけでなく保護者も使えて、かけた場所の都道府県・指定都市教育委員会の相談機関につながります。

いじめ防止対策推進法(e-Gov法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/425AC1000000071

いじめ問題を含む子供のSOSに対する文部科学省の取組(24時間子供SOSダイヤルの案内を含む)
https://www.mext.go.jp/ijime/

転校の相談と並行して、学校に正式な記録を残しておくことには実務的な意味もあります。後で説明しますが、全日制の高校へ転校する場合、いじめが理由であることが受け入れ側の判断材料になるからです。

高校の転校には2つのルートがある

高校の転校は、中学までの転校とは仕組みが違います。公立の小中学校なら学区の変更や区域外就学で済みますが、高校は選抜があるので、行きたい学校に自動的に移れるわけではありません。大きく2つのルートがあります。

  1. 全日制の高校へ転校する 受け入れ先に欠員があること、転居やいじめ・不登校などの事情があること、転入試験に合格することが条件になるのが一般的です。いじめは転校理由として認められることが多いのですが、募集そのものが欠員次第で、時期も限られます。教育委員会や在籍校の進路指導の先生に「いまの時期に転入できる全日制はあるか」を聞いてみてください
  2. 通信制高校へ転入する 多くの通信制高校が随時受け入れていて、試験は面接や作文が中心です。登校日数を自分で選べる学校が多く、「毎日同じ教室に行く」という環境そのものを変えられるのが、いじめからの転校先として選ばれやすい理由です

どちらが正解ということはありません。ただ、「全日制で空きを待っているあいだに、欠席が積み上がって単位を落とし、結果として通信制に移るしかなくなった」というご家庭を何組も見てきました。全日制を第一希望にするなら、並行して通信制高校の資料も取り寄せておくことをおすすめします。

高校が合わないと感じたときの全日制から通信制への移り方は、こちらの記事で詳しく解説しています。

高1で学校が合わない、転校したい。全日制から通信制高校へ移るという選択
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/kou1-awanai-tenko/

手続きの順番。退学届は最後です

いじめの転校でいちばん多い失敗は、「もう行けない」という気持ちのまま先に退学してしまうことです。退学した瞬間から、選択肢は転入ではなく編入になります。編入は受け入れ時期が限られ、中退から入学までの空白期間は在籍期間に数えられないので、卒業が遅れやすくなります。籍は残したまま、次を決めてから抜く。 登校していなくても、在籍しているだけで在籍期間は積み上がります。

実際の流れは次の通りです。

  1. 転校先の候補を決めて問い合わせる 「いまの学年のこの時期に転入したら卒業はいつになるか」を必ず聞きます
  2. 在籍校に転学の意思を伝える 担任または進路指導の先生に「転学を考えている」と伝え、必要書類の発行をお願いします。いじめの申し出を正式にしていれば、この話もスムーズに進みます
  3. 書類をそろえる 在学証明書、成績証明書、単位修得証明書、転学照会書などが一般的です。転校先が指定する書類を確認してください
  4. 転入試験・面接を受ける 通信制高校の場合は面接と作文が中心です。いじめのことを詳しく話す必要はなく、「環境を変えて学び直したい」で十分伝わります
  5. 合格後に転学届を出す 転校先の入学手続きを済ませてから、在籍校に転学届を出して籍を抜く日を確定させます

もうひとつ知っておいてほしいのは、全日制の単位は年度末にまとめて認定されることです。年度の途中で移ると、その年度に受けていた授業の単位は原則として持っていけません。だからといって年度末まで我慢するのが正解とは限らず、早く移るほど転校先でその年度に取れる単位を増やしやすくなります。このあたりの仕組みと学年別の考え方は、次の記事にまとめています。

通信制高校に転入・編入するタイミング。学年途中でも間に合う?単位の引き継ぎまで解説
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/tsushinsei-tennyu-hennyu/

転校先で同じことを繰り返さないために。環境を選ぶ3つの軸

転校は環境を変える手段ですが、「学校が変わればすべて解決」というものでもありません。転校先を選ぶときに、僕が相談を受けていて必ず確認してもらう軸が3つあります。

  1. 人との距離を自分で調整できるか 週1日から週5日まで通学頻度を選べる、まずは少ない日数から始めて慣れたら増やせる、といった柔軟さがあるか。いじめの後は「人が怖い」時期が続くことがあり、距離を自分で決められることが回復の土台になります
  2. 相談できる大人が固定でいるか 担任や担当の先生が決まっていて、毎週顔を合わせる人がいるか。いじめを経験した子は「また誰にも気づいてもらえないのでは」という不安を抱えています。気づいてくれる人が固定でいる環境を選んでください
  3. 学び直しの仕組みがあるか 休んでいた期間の学習の穴を、つまずいた単元まで戻って埋められる仕組みがあるか。勉強がわからないままだと、せっかく環境を変えても「ここでもついていけない」と二重にしんどくなります

僕がフリースクールに初めて行った日のことを、いまでも覚えています。行く前日はドキドキしていました。着いてみたら、誰も「なんで学校行ってないの」と聞かなかった。それが衝撃でした。ゲームが好きな子がいて、すぐに仲良くなりました。いじめの後に必要なのは、立派な設備でも手厚いカリキュラムでもなく、「ここでは過去を聞かれない」「自分のペースでいていい」と体でわかる場所です。見学や説明会では、その空気があるかを見てきてください。

明光義塾高等学院という選択肢

明光義塾高等学院

いじめをきっかけに転校を考えるご家庭が、転校先に求めるのは「もう一度、人を怖がらずに学べる場所」と「休んでいた分の勉強を取り戻せる場所」の2つだと思います。僕が学院長を務める明光義塾高等学院は、その両方を前提に作っています。

全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。「まず中2の数学からやり直したい」という相談も当たり前のこととしてサポートしています。集団授業ではなく個別指導の考え方がベースなので、「教室に入るのがまだ怖い」という段階の子でも、自分のペースで人との距離を調整しながら学習を進められます。いじめのことを最初から全部話す必要はありません。「環境を変えたい」という一言から始めていただければ大丈夫です。

いまの高校からの転入も積極的に受け入れています。資料請求の際に、いまの学年と「転入を検討している」と備考欄に書いていただければ、転入の時期と卒業の見通しを具体的にお伝えします。

【明光義塾高等学院】資料請求はこちら
https://gakuin.meikogijuku.jp/

まとめ。安全を先に、退学届は最後に

いじめが理由で高校を転校するのは、逃げではなく安全を確保するための正当な選択です。順番は、まず休ませて安全を確保する、学校に書面で正式に申し出る、全日制と通信制の2つのルートを並行して調べる、籍を残したまま転校先を決める、退学届は最後。そして転校先は、人との距離を自分で調整できて、相談できる大人が固定でいて、学び直しができる場所を選ぶ。この流れで進めれば、失うものを最小限にして環境を変えられます。

今日できる一歩をひとつ挙げるなら、お子さんに「明日は休んでいいよ」と伝えたうえで、いじめの内容と日時を、覚えている範囲で1行ずつメモに書き出してみてください。そのメモが、学校への申し出にも、転校先への説明にも、そのまま使える材料になります。

「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。無料のLINE相談はこちらからどうぞ。

小幡和輝の無料LINE相談はこちら
https://www.obatakazuki.com/lp

よくある質問

いじめが理由で高校を転校することはできますか?

できます。全日制の高校へ転校する場合は受け入れ先の欠員、いじめなどの事情、転入試験の合格が条件になるのが一般的で、いじめは転校理由として認められることが多いです。通信制高校への転入は多くの学校が随時受け入れていて、面接や作文が中心です。在籍したまま転校先を決め、退学届は最後に出してください。

転校が決まるまで学校は休ませていいですか?

休ませて大丈夫です。安全の確保が最優先で、単位や出席の問題は後から対処できます。休ませている間に、いじめの日時・内容・お子さんの状態を書面にして学校に正式に申し出てください。学校が動かないときは文部科学省の24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)から教育委員会の相談機関に相談できます。

転校すると今までの単位はどうなりますか?

前の高校で修得した単位と在籍期間は転校先に引き継げます。ただし全日制の単位は年度末にまとめて認定されるため、年度途中で移るとその年度の授業の単位は原則として持っていけません。移る時期で卒業の時期が変わるので、候補の学校に「この時期に転入したら卒業はいつか」を確認してください。

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この記事を書いた人

1994 年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し不登校の専門家として活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい/英治出版』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方/小学館』など計6冊。講演、メディア出演も多数。

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