「学校には行けるけれど、教室には入れない」。担任の先生から「校内フリースクールを使ってみませんか」と勧められて、どんな場所なのか調べている方へ。
先に結論です。校内フリースクールとは、学校の中にある「教室以外の居場所」で、正式には校内教育支援センターと呼ばれる仕組みです。 法律上の名前ではなく、スペシャルサポートルーム、校内サポートルームなど学校や自治体ごとに呼び方が違います。
そしてもう1つ。校内フリースクールは万能ではありません。「学校の中にあること」自体がつらい子には合わないことがあり、そのときは校外の選択肢に切り替えていい、という話も後半で書きます。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。
この記事は、校内フリースクールという制度の正面解説に絞ります。保健室登校や別室登校との違いは途中で触れますが、詳しくは別の記事にまとめてあります。
校内フリースクールとは。文部科学省が進めている「校内教育支援センター」
校内フリースクールの正体は、文部科学省が設置を進めている校内教育支援センターです。文部科学省は、不登校から学校に戻る段階にある子や、不登校の兆候が見られる子が「学校内において自分に合ったペースで学習・生活できる環境」として、この場所の設置を各教育委員会に求めています。[1]
2023年3月に文部科学省がまとめた不登校対策のCOCOLOプランでも、校内教育支援センターの設置促進は柱の1つです。[2] COCOLOプランの全体像はこちらの記事で解説しています。
>>COCOLOプランとは?文科省の不登校対策を保護者向けにわかりやすく解説
具体的には、空き教室や図書室の一角などを使い、担任とは別の支援員や教員がついて、自習や少人数での活動をします。時間割どおりに授業を受ける場所ではなく、「学校の中で、教室以外の過ごし方ができる場所」と考えるとわかりやすいです。
保健室登校・別室登校と何が違うのか
「教室以外で過ごす」という点では、保健室登校や別室登校と似ています。違いは、専用の部屋と担当の大人が最初から用意されているかどうかです。
保健室登校は養護教諭の本来の仕事の合間に居場所を借りる形で、別室登校は空いている先生が交代で見ることが多く、学校ごとのばらつきが大きいのが実情です。校内教育支援センターは、文部科学省が支援員の配置に予算をつけて、場所と人をセットで整えようとしている点が違います。[3]
ただし現場の呼び方は混ざっています。学校が「別室」と呼んでいる部屋が、教育委員会の資料では校内教育支援センターになっていることもあります。名前よりも「専任の大人がいるか」「毎日開いているか」を確認してください。保健室登校と別室登校の出席の扱いは、こちらの記事にまとめています。
うちの学校にもある?設置率と、先生への聞き方
文部科学省の集計では、公立の小・中学校における校内教育支援センターの設置率は、2024年7月時点で全国平均46.1%でした。[4] つまり、まだ半分ほどの学校にはありません。設置率は自治体によって大きく違い、市全体で整備が進んでいる地域と、ほとんど無い地域があります。
無い学校でも、部屋と人を工夫して「別室」を用意してくれることはあります。担任の先生に聞くときは、次の3つを順番に確認すると話が早いです。
- 校内に教室以外で過ごせる部屋があるか 校内教育支援センター、サポートルーム、別室など名前は何でもかまいません
- 誰がいて、何曜日の何時に開いているか 専任の支援員がいるのか、先生が空き時間に見るのかで、通いやすさが変わります
- その部屋にいた時間が出席としてどう記録されるか 校内の施設なので出席として扱われるのが一般的ですが、学校ごとに確認が必要です
聞きにくければ、連絡帳に「教室以外で過ごせる場所があれば教えてください」と一文書くだけでも、先生側は動きやすくなります。
校内フリースクールの1日と、使うときのコツ
過ごし方は学校ごとに違いますが、多いのは「登校時間は自由。自分のペースで自習や読書、支援員との会話。得意な教科や行事だけ教室に参加する」という形です。給食を別室で食べる、帰りの会だけ教室に戻る、といった組み合わせもできます。
使うときのコツは、最初から毎日を目指さないことです。「火曜の2時間目から給食まで」のように、短い区切りから始めて、本人が「もう少しいられる」と言うまで広げないほうが続きます。
もう1つは、教室に戻ることをゴールにしないことです。文部科学省も、登校という結果だけを目標にしない支援を求めています。校内の居場所で落ち着いて過ごせているなら、それ自体が十分な成果です。
>>学校の外に平日の居場所をつくる。明光フリースクールを見てみる
校内フリースクールが合わない子もいる。校外の選択肢を持っておく
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。文部科学省が示している対象は「学校に戻る段階にある子」と「不登校の兆候がある子」です。[1] 裏を返せば、学校という場所そのものにエネルギーを使い切ってしまう子には、校内の部屋であっても負担が大きいことがあります。
同級生の声が聞こえる、廊下で先生とすれ違う、チャイムが鳴る。校内である以上、これらは避けられません。「行けるはずなのに行けない」が続くなら、それは本人の努力不足ではなく、場所が合っていないサインです。
僕自身の経験を1つ書きます。フリースクールに初めて行く前日は、ドキドキして眠れませんでした。着いてみると、誰も「なんで学校に行ってないの」と聞きませんでした。それが衝撃でした。ゲームが好きな子がいて、すぐに仲良くなりました。学校の外だからこそ、その空気がつくれたのだと思います。
校外の選択肢は大きく2つあります。自治体が運営する教育支援センターと、民間の対面やオンラインのフリースクールです。教育支援センターの通い方や費用は、こちらの記事で解説しています。
>>教育支援センター(適応指導教室)とは?通い方・費用・出席扱いをわかりやすく解説
校内と校外は、どちらか一方に決める必要はありません。「週2日は校内の部屋、週1日は校外のフリースクール」のように組み合わせているご家庭もあります。
明光フリースクールという選択肢
平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、「学校ではないけれど通う場所」として機能しています。
校内フリースクールを検討しているご家庭にとっての良さは、「学校の中」という条件を外した居場所を、もう1つ持てることです。校内の部屋がつらい日はこちらへ、調子がいい日は校内へ、という使い分けができます。学校の外にいる時間があるからこそ、校内に向かう力が戻ってくる子もいます。
学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。出席扱いにするかどうかは在籍校の校長先生の判断ですが、認められれば校内の部屋と同じように、通ったことが学校の記録に残ります。新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
今日できる一歩
今日できる一歩として、連絡帳かメールで担任の先生に「校内に、教室以外で過ごせる部屋はありますか。あれば誰がいて、何曜日に開いているか教えてください」と一文だけ送ってください。
見学の申し込みでも、通う約束でもありません。あるかないかを知るだけです。返事が「ありません」でも、そこから校外の選択肢を探せばよく、動き出しが1日早くなります。
まとめ
校内フリースクールとは、文部科学省が設置を進めている校内教育支援センターのことで、学校の中にある教室以外の居場所です。設置率は公立小中学校の46.1%で、まだ無い学校も多くあります。担任の先生に「部屋・人・曜日・出席の扱い」を確認するところから始めてください。
校内の部屋がつらい子もいます。そのときは、教育支援センターや対面やオンラインのフリースクールなど、校外の選択肢に切り替えたり、組み合わせたりしてかまいません。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
校内フリースクールと校内教育支援センターは同じものですか?
同じものを指していることがほとんどです。文部科学省の正式な呼び方は校内教育支援センターで、スペシャルサポートルームや校内サポートルームなど、学校や自治体ごとに呼び方が違います。校内フリースクールは通称です。
校内フリースクールで過ごした日は出席になりますか?
学校内の施設で過ごすため、出席として扱われるのが一般的です。ただし記録の付け方は学校ごとに違うので、利用を始める前に「この部屋にいた時間は出席としてどう記録されますか」と担任の先生に確認してください。
校内フリースクールが合わないときはどうすればいいですか?
無理に続ける必要はありません。学校という場所そのものに負担を感じる子には、自治体の教育支援センターや、対面やオンラインのフリースクールなど校外の選択肢があります。校内と校外を曜日で組み合わせることもできます。
出典
- 文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」 ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「不登校対策(COCOLOプラン等)について」 ページ 本文へ戻る
- 文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」 PDF 本文へ戻る
- 文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果及びこれを踏まえた対応の充実について(通知)」 ページ 本文へ戻る
