中学生の子どもが「学校に行きたくない」と言った。まだ休みは続いていないけれど、朝の表情が重い。親としては、休ませたい気持ちと、部活はどうなる、内申は、高校受験はと、先の不安が同時に押し寄せてくると思います。
先に結論をお伝えします。中学生の「学校に行きたくない」は、部活・内申・高校受験の3つの不安を親が先に整理しておくと、落ち着いて受け止められます。
どれも「休んだら終わり」ではなく、休みながら守る方法があるからです。この記事は、行きたくないと言い始めた段階、つまりまだ不登校とは呼べない時期の親御さん向けに書いています。すでに休みが続いている場合の原因と対応は、こちらの記事に分けています。
>>【2026年最新】中学生の不登校の原因と対策!解決に向けて親が取るべき対応とは
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。
現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。
この記事では、中学生が行きたくないと言う背景を統計から整理し、親の最初の対応、部活・内申・受験の不安への具体的な答え、そして学びを止めない選択肢まで書きます。
中学生の「学校に行きたくない」は珍しくない。数字で見る
文部科学省の令和6年度の調査では、中学校の不登校生徒数は216,266人で、学年別では中1が58,736人、中2が77,066人、中3が80,464人です。[1] 小6の38,080人から中1で約2万人増えていて、中学入学が大きな節目になっていることがわかります。
同じ調査で、学校が把握した不登校の要因のうち中学校でもっとも多いのは「学校生活に対してやる気が出ない等」で30.1%、次いで「不安・抑うつ」が24.4%です。
「学業の不振」は15.7%、「いじめを除く友人関係」は14.1%でした。つまり、はっきりした事件があって行けなくなる子より、「なんとなく気力がわかない」「不安が強い」という形で始まる子のほうが多いのです。
ここで一つ知っておいてほしいことがあります。「行きたくない」と言えた時点で、その子はかなり我慢した後だということです。中学生は小学生より、親に弱音を吐くことに抵抗があります。言葉にできたのは、限界の手前でSOSを出せたということで、それ自体が良い兆候です。
親が最初にやること。理由を聞き出す前に
「なんで行きたくないの?」と聞きたくなりますが、本人も答えられないことが多いです。数字が示すとおり、要因の最多は「やる気が出ない等」で、これは本人にも説明しにくい状態です。最初の対応は、次の順番をおすすめします。
- 「言ってくれてありがとう」を先に言う 理由より先に、話してくれたことを受け止めます。ここで責められると、次からは言わずに体調不良の形で出てくるようになります
- その日は休ませるかどうかを本人と決める 「今日は休む?行く?」と選ばせてください。決めるのは親ではなく本人です。休んだからといって、そのまま不登校になるわけではありません
- 体の状態を確認する 朝起きられない、頭痛、腹痛、だるさが続くなら、気持ちの問題と決めつけずに小児科を受診してください。思春期は起立性調節障害が発症しやすい年代で、立ちくらみや動悸を伴う体の疾患として治療の対象になることがあります。僕は医師ではないので、体の症状については必ず専門家の診察を受けてください
- 学校に「様子見の期間」を伝える 担任に「本人が行きたくないと言っている。しばらく様子を見たい。無理に来させる働きかけは控えてほしい」と伝えておくと、電話や訪問で本人が追い詰められるのを防げます
僕自身、親から言われていちばんきつかったのは「いつまで休むの」でした。逆に「あなたが元気ならそれでいい」と言われた日から、家が安全な場所になりました。中学生は、親の一言をよく覚えています。最初の1週間の言葉が、その後の親子の関係を決めると言っても大げさではありません。
理由を言わない、わからないときの親の動き方は、こちらの記事で詳しく書いています。
>>学校に行きたくない理由を言わない・わからないとき。聞き出さずに親ができること
最初の対応に迷っている段階でも、LINEで相談を受け付けています。
部活・内申・高校受験。3つの不安に先に答えておく
中学生の親御さんの不安は、この3つに集約されます。一つずつ、実際のところを書きます。
部活はどうなるか
部活が行きたくない理由になっている子は少なくありません。先輩との関係、レギュラー争い、休めない雰囲気。文部科学省の調査でも「クラブ活動・部活動」が要因として挙がっています。
知っておいてほしいのは、部活は学校の教育課程の外にある活動で、やめても卒業や進級には影響しないということです。「部活だけ休む」「部活だけやめて授業には出る」という選択肢は、本人が思っているより現実的です。
逆に、部活が唯一の楽しみで授業がつらいなら、部活だけ参加する形を学校に相談してもいいです。
内申はどうなるか
休みが続くと、通知表の評価がつかない教科が出ることがあります。ただし内申は高校受験の一部であって全部ではありません。
休んでいる間の定期テストは別室で受けられることが多く、提出物で評価をもらえる場合もあります。また、出席扱いの制度を使えば、フリースクールや自宅でのICT学習が在籍校の出席として扱われます。定期テストと内申については、それぞれこちらの記事で詳しく解説しています。
>>不登校で定期テストはどうする?別室受験・受けない選択と成績の考え方
>>不登校で内申点がないと高校受験はどうなる?内申に頼らない受験の進め方
高校受験はどうなるか
「行けない高校はない」とまでは言いませんが、選べる高校は思っているより多いです。公立の全日制でも、都道府県によっては不登校の生徒向けに欠席日数を重く見ない選考枠があります。
私立の全日制、定時制、通信制高校は、出席日数より面接や作文を重視するところが多いです。中1や中2の段階なら、受験までの時間はまだ十分にあります。「今休むと高校に行けない」は、事実ではありません。
休みながら学びを守る。出席扱いという制度
行きたくない気持ちを受け止めたうえで、親が用意しておくと安心なのが「学びと出席を守る仕組み」です。
文部科学省の通知では、不登校の児童生徒が学校外の施設や自宅のICT教材で学習した場合、一定の要件を満たし校長が認めれば、在籍校の出席として扱うことができます。[2]
要件の柱は、保護者と学校の連携、学習の計画と記録、学校による評価への反映です。
僕がこの制度を大事だと思うのは、欠席日数の話ではなく、本人の自己肯定感の話だからです。
フリースクールでの活動が通知簿に反映されているのを見て、僕は初めて、自分のやっていることが「サボり」ではないと思えました。
中学生は「休んでいる自分」を自分でいちばん責めています。学んでいることが学校にも認められている、という事実は、その責めをゆるめます。
制度の3要件と進め方は、こちらの記事で解説しています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
クラスジャパン小中学園という選択肢
行きたくないと言い始めた中学生に必要なのは、「休んでも学びが切れない」「一人にならない」「学校とのやりとりを親だけで抱えない」環境です。僕たちが運営するオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」は、これを自宅からそろえるための場所です。
ネットの先生(担任)が一人ひとりにつき、学習の進み具合だけでなく、日々の様子や気持ちを見ながら伴走します。中学生は「頑張れ」と言われるより、「見てくれている人がいる」ほうが動けます。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIがあり、中学の内容でつまずいた単元から順にたどれます。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、「わからない」で止まらずに自分の力で答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きです。
2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。在籍校の出席扱いになった事例も多く、学校への伝え方や学習記録の出し方も一緒に進めます。中学生が高校受験に間に合うかどうかは、こちらの記事で内申と学習の実際を書いています。
>>オンラインフリースクールで中学生は高校受験に間に合う?出席扱い・内申・学習の実際
今日できる一歩
今日できる一歩として、お子さんに「言ってくれてありがとう」とだけ伝えてみてください。理由も、明日どうするかも、聞かなくて大丈夫です。
そして親御さん自身は、この記事の部活・内申・受験の3つの答えを頭に入れておいてください。親の側に「休んでも道はある」という見通しがあると、子どもへの言葉から焦りが消えます。中学生は、その焦りをいちばん敏感に感じ取っています。
まとめ
中学生の「学校に行きたくない」は、令和6年度の統計で中学生の不登校が216,266人にのぼることからも、珍しいことではありません。要因の最多は「やる気が出ない等」で、本人も理由を説明できないことが多いです。
親の最初の対応は、理由を聞き出す前に「言ってくれてありがとう」と受け止め、休むかどうかを本人に選ばせ、体の不調は受診で確認し、学校には様子見の期間を伝えること。
部活はやめても進級に影響せず、内申は受験の一部にすぎず、高校の選択肢は思っているより多い。そして出席扱いの制度を使えば、休みながらでも学びと出席を守れます。
行きたくないと言えたのは、限界の手前でSOSを出せたということです。そこから一緒に、道を選び直せます。
完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。
よくある質問
中学生が学校に行きたくないと言ったら、休ませていいですか?
休むかどうかは本人に選ばせてください。1日休んだからといって、そのまま不登校になるわけではありません。むしろ「行きたくない」と言えた段階で受け止めてもらえた経験が、その後の親子の関係を支えます。朝起きられない、頭痛や腹痛が続くときは、気持ちの問題と決めつけずに小児科を受診してください。
学校を休むと高校受験は不利になりますか?
内申に影響が出ることはありますが、内申は受験の一部であって全部ではありません。定期テストの別室受験や提出物での評価、出席扱いの制度を使えば、休んでいる間の学びも評価に反映されます。公立の一部の選考枠、私立、定時制、通信制高校など、出席日数を重く見ない進路も多くあります。
部活をやめると内申や進級に影響しますか?
部活は教育課程の外の活動なので、やめても卒業や進級には影響しません。部活が行きたくない原因になっているなら、部活だけ休む、やめて授業には出る、という選択肢は現実的です。逆に部活だけ参加する形を学校に相談することもできます。
出典
