子どもが「プロゲーマーになりたい」と言い出した。応援したい気持ちと、「現実を見てほしい」という気持ちの間で、返事に詰まってしまった保護者の方へ。
先に結論を書くと、否定も全面賛成もしなくて大丈夫です。親がやることは、なりたい気持ちの中身を一緒に確かめることと、本気で学べる環境を一緒に選ぶことの2つです。プロになれるかどうかは誰にもわかりません。でも、目指し方が良ければ、その過程で育つ力はプロになれなくても残ります。
この記事は、プロゲーマーになりたい子どもへの親の関わり方と、環境の選び方に絞って整理します。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。eスポーツスクール「ゲムトレ」の創業者でもあります。
最初の返事で決まる。否定も全面賛成もしない
「プロゲーマーになりたい」と口にするのは、子どもにとって勇気のいることです。笑われるかもしれない、怒られるかもしれないと思いながら言っています。
ここで『そんなの無理に決まってる』と返すと、子どもが学ぶのは現実の厳しさではなく、「この人には本音を言わないほうがいい」ということです。逆に『いいね、好きなだけやりなさい』と全部を任せてしまうのも、関わりを手放すことになります。
最初の一言は、質問がおすすめです。『どのゲームで?』『どんな選手みたいになりたいの?』。野球少年に『どこのポジションをやりたいの?』と聞くのと同じ調子で聞いてみてください。詳しく話し始めたら、それだけで十分な一歩です。
学校を休んでいるお子さんがこの言葉を口にすると、「学校から逃げたいだけでは」と感じる保護者の方もいます。ただ、逃げかどうかを最初に判定する必要はありません。家で過ごす時間のなかで、自分が一番熱中できるものを将来と結びつけて考え始めた。まずはそう受け取ってください。
僕自身、不登校中のゲーム時間は合計で3万時間くらいあります。そのなかでゲームの大会を自分で企画したことが、人を集めて何かをやる原体験になりました。それが起業の第一歩でした。プロの選手にはなっていませんが、ゲームに本気だった時間は、いまの仕事に直接つながっています。
「なりたい」の本気度を一緒に確かめる3つの質問
気持ちを受け止めたら、次は中身です。問い詰めるのではなく、作戦会議のつもりで聞いてみてください。
- どのタイトルで、どの大会を目指すのか プロと呼ばれる選手は、特定のゲームタイトルの大会で結果を出しています。目指す大会の名前が出てくるかどうかで、憧れの段階か、調べ始めている段階かがわかります
- いまの自分はどのあたりにいるのか 多くの対戦ゲームには、ランクや順位が数字で見える仕組みがあります。いまの位置と、目標までの距離を本人の口から聞きます
- 負けた試合を見返しているか ゲムトレの現場で、伸びる子に共通しているのがここです。プレイ時間の長さではなく、負けた理由を言葉にして次の目標を決めているかどうかです
3つとも答えられなくても、がっかりする必要はありません。多くの子は、まだ憧れの段階です。『じゃあ一緒に調べてみようか』と言えれば、憧れが目標に変わり始めます。
反対に、答えがすらすら出てくる子は、すでに自分なりの練習をしています。その場合は、次に書く約束と環境の話に進んでください。
>>高校卒業を目指しながらeスポーツを本気で学べる場所を見る
親子の約束は「期限」より「振り返り」で決める
『高校卒業までに結果が出なければ諦める』という期限の約束は、わかりやすい反面、期限が近づくほど親子の空気が重くなります。僕がおすすめしたいのは、振り返りを約束にする形です。
たとえば3か月に1回、親子で15分だけ話す時間をつくります。この3か月で何が上達したか。次の3か月は何を目標にするか。続けるかどうかも、その場で本人と一緒に考えます。ゲムトレのトレーニングも、プレイ、振り返り、次の目標設定のサイクルで進めています。家庭でも同じ形が使えます。
あわせて、生活の土台だけは先に決めておきます。寝る時間と食事の時間です。トップの選手ほど体調管理を練習の一部として扱っています。『プロを目指すなら、睡眠も練習のうちだよ』という伝え方なら、子どもにも届きやすくなります。
時間のルールの決め方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>子どものゲーム時間のルールはどう決める?取り上げずに約束をつくる方法
なお、昼夜が逆転して食事がとれない、ゲームをやめると強い不調が出るなど、生活や体調が大きく崩れて心配なときは、家庭だけで抱えずに、小児科や自治体の相談窓口に相談してください。
本気で学べる環境の選び方。親が見る3つのポイント
一人で長時間プレイしているだけでは、上達はどこかで止まります。スポーツや音楽と同じで、教わる環境があるかどうかで伸び方が変わります。スクールやコースを親の目で見るときのポイントは3つです。
- 教える人の顔が見えるか 講師がどんな経歴の人で、どう選ばれているかを確認します。ゲムトレの場合は、全国大会や世界大会の経験者などから選んだプロのゲームトレーナーが教えていて、採用率は10%以下です。講師の情報が出てこない場所は慎重に見てください
- プレイの後に振り返りの時間があるか 体験会や見学で一番見てほしいのがここです。プレイして終わりなら、家でやるのと変わりません。振り返って次の目標を決める時間があるかを確かめます
- 選手以外の出口が見えるか 大会の企画運営、配信、実況、コーチ、チームの運営。ゲームの周りには選手以外の仕事がたくさんあります。プレイ以外の経験も積める環境なら、選手になれなかったときにも道が残ります
高校生年代なら、高校卒業資格と両立できるかも大事な条件です。選手として活動できる期間のあとにも人生は続きます。進学や就職の選択肢を残しておくことは、夢を疑うことではなく、安心して挑戦するための準備です。
eスポーツを進路にする道の全体像と、通信制高校のコースの見比べ方は、それぞれこちらの記事にまとめています。
>>eスポーツを部活や進路にできる?高校・専門学校のいまと中学生のうちにできること
>>eスポーツができる通信制高校の選び方。設備ではなく「誰が教えるか」で決める4つのポイント
eスポーツを本気で学べる場所で高校を卒業するという選択肢
「本気でやらせてあげたい。でも高校卒業資格だけは取ってほしい」。プロゲーマーになりたい子どもを持つ保護者の方から、一番よく聞く言葉です。この2つを同時にかなえる場所を、僕たちは用意しています。
僕が学院長を務める明光義塾高等学院には、eスポーツコースがあります。僕自身がeスポーツスクール「ゲムトレ」の創業者で、このコースではゲーミングPCを備え、ゲムトレのプロのゲームトレーナーの派遣による本格的なトレーニングを行います。
プレイして終わりではありません。振り返りから次の目標設定へつなぐサイクルを回し、集中力、思考力、コミュニケーション力を育てていきます。
ゲームをプレイするだけでもありません。校内のポケモンカード大会のように、ゲームを使った企画運営も授業に組み込んでいます。参加者を集め、ルールを説明し、進行して表彰する。大会を運営する側にも回ることで、選手以外の道も体で知ることができます。
経験や実力は問いません。「ゲームが好き」という気持ちがあれば大丈夫です。ただし、ゲームをしていれば単位が取れる場所ではなく、振り返りと仲間との協力の姿勢を求めています。
学習面は、明光義塾が大切にしている個別指導の考え方で、一人ひとりに寄り添って学習も進路も見ていきます。中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入・編入も受け入れています。
気になった方は資料請求から始めてください。備考欄に「eスポーツコース希望」と書いていただけると話が早いです。
今日できる一歩
今夜、お子さんがゲームをしている横に10分だけ座ってみてください。口は出さず、試合が終わったところで『いまの、何がうまくいったの?』と1つだけ聞きます。説明してくれたら、『へえ、そうなんだ』で十分です。親が自分の好きなものに関心を持ってくれた。その10分が、これからの作戦会議の土台になります。
まとめ
子どもがプロゲーマーになりたいと言ったら、否定も全面賛成もせず、まず質問で受け止めてください。目指すタイトルと大会、いまの位置、負けた試合の振り返り。この3つを一緒に確かめると、憧れが目標に変わっていきます。
約束は期限ではなく、3か月ごとの振り返りと生活の土台で決めます。環境は、教える人の顔、振り返りの時間、選手以外の出口の3つで選んでください。プロになれるかどうかにかかわらず、本気で取り組んだ時間は子どもの力として残ります。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
子どもがプロゲーマーになりたいと言ったら、反対したほうがいいですか?
反対も全面賛成もしなくて大丈夫です。まず『どのゲームで?どんな選手みたいになりたいの?』と質問で受け止めてください。頭ごなしに否定すると、子どもは本音を話さなくなります。目指す大会やいまの実力を一緒に確かめていくと、本人のなかで憧れと目標の違いが見えてきます。
不登校の子がプロゲーマーを目指すのは、現実から逃げているだけではありませんか?
逃げかどうかを最初に判定する必要はありません。自分が一番熱中できるものを将来と結びつけて考え始めた、と受け取ってください。大事なのは目指し方です。上手な人に教わり、振り返り、仲間と取り組む環境があれば、集中力や思考力、コミュニケーション力が育ち、その力は選手にならなくても残ります。
プロゲーマーを目指すなら高校には行かなくてもいいですか?
高校卒業資格と両立できる形をおすすめします。選手として活動できる期間のあとにも人生は続くため、進学や就職の選択肢を残しておくことが安心して挑戦する準備になります。明光義塾高等学院のeスポーツコースのように、高校卒業を目指しながら本格的なトレーニングを受けられる場所もあります。
