「気がつくと絵ばかり描いている」「宿題はやらないのにノートの端はイラストで埋まっている」「このまま絵ばかり描いていて、進路はどうなるんだろう」。お子さんが絵ばかり描くことが心配で、進路をどう考えればいいか調べている保護者の方に向けて書きます。
先に結論です。絵ばかり描く子の進路は、「絵をやめさせて勉強に向かわせる」か「絵で食べていけるようにする」かの二択ではありません。描き続けることを止めずに、本人の「好き」を進路につなぐ道はいくつもあります。そのために親がやることは、才能の見極めでも、職業の押しつけでもなく、描いている中身に関心を持つこと、そして「好き」を本気で伸ばせる環境を選ぶことです。この記事では、保護者の方の心配を整理した上で、絵が好きな子の進路の地図と、親の関わり方、高校選びの考え方までをまとめます。
約10年間の不登校を経験した小幡和輝です。当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。通信制高校の連携施設である明光義塾高等学院では学院長を務め、美術コースの生徒と保護者の方の相談も受けています。
「絵ばかり描く」は心配することではない。親が本当に不安なのは別のこと
まず、保護者の方の心配を分解させてください。「絵ばかり描いている」こと自体が問題だと思っている方は、実はあまりいません。掘り下げて聞くと、不安の中身はだいたい次のどれかです。
- 勉強をしないこと 絵を描く時間が増えるほど、宿題やテスト勉強が後回しになる。成績が下がって進路の選択肢が狭まるのではないか
- 将来の生活 絵で食べていける人はひと握り。好きなことを仕事にできなかったとき、本人が傷つくのではないか
- 周りとの違い 友だちと遊ばず一人で描いている。学校になじめていないのではないか
この3つは、どれも「絵を描いていること」の問題ではなく、「それ以外の部分をどう補うか」の問題です。ここを取り違えて「絵を減らせば解決する」と考えると、子どもは「好きなことを否定された」と受け取ります。好きなことを取り上げられた子は、勉強に向かうのではなく、親に話さなくなります。
僕自身の話をすると、不登校中のゲーム時間は合計3万時間くらいありました。親からすれば「ゲームばかり」だったはずです。でも、ゲームの大会を自分で企画したのが、人を集めて何かをやる原体験になりました。それが18歳で起業したときの第一歩です。「ばかり」やっていたことが、あとで仕事の入り口になる。これは僕だけの話ではなく、これまで関わってきた2000人以上の子どもたちの中に、同じ順番で進んだ子がたくさんいます。
絵が好きな子の進路の地図。「画家になる」以外にこれだけある
「絵で食べていけるのか」という不安の多くは、進路の地図が「画家かイラストレーターか」の2つしか見えていないことから来ます。実際には、絵を描く力が直接活きる仕事はもっと広い。代表的なものを挙げます。
- デザイン系 グラフィックデザイン、Webデザイン、パッケージ、広告。企業の中にデザイン職があり、会社員として働く道が普通にあります
- ゲーム・アニメ・映像系 キャラクターデザイン、背景美術、アニメーター、3DCG。日本の産業として大きく、求人も継続的にあります
- イラスト・漫画・絵本 フリーランスが多い分野ですが、SNSやネットを通じて仕事を得る入り口が以前より増えました
- 空間・プロダクト系 建築、インテリア、プロダクトデザイン。絵で考えを伝える力がそのまま武器になります
- 教える・支える仕事 美術教員、絵画教室の講師、美術館や博物館の学芸員。絵が好きな気持ちを次の世代に渡す仕事です
そしてもうひとつ大事なのは、絵を描くことで育つ力は、絵以外の仕事でも使われるということです。長時間集中する力、対象をよく観察する力、頭の中のイメージを形にして人に伝える力。企画書を1枚の図にまとめる人、プレゼンでホワイトボードに絵を描ける人は、どの職場でも重宝されます。「絵の仕事に就けなかったら無駄になる」という前提が、そもそも違います。
親の関わり方。「上手だね」の代わりに聞いてほしいこと
進路の話をいきなりするより先に、日常の関わり方を変えるほうが効きます。僕が保護者の方にお願いしているのは3つです。
- 評価より関心を向ける 「上手だね」ではなく「これ、何を描いたの?」と聞く。本人が何を見て、何を表現したいのかを知る会話が、そのまま進路の話の入り口になります
- 描く環境を整える 紙と鉛筆でも、タブレットでも、本人が「いつでも描ける」状態を用意する。好きなことに本気で時間を使える環境があること自体が、いちばんの応援です
- 勉強は「絵のために」と結びつけて話す 「絵ばかりじゃなくて勉強もしなさい」ではなく、「美大に行くなら国語と英語は使うよ」「デザインの仕事は人に説明する力がいるよ」と、好きなことの延長線上に学びを置く。この順番なら子どもは聞きます
ひとつ注意があります。本人が「絵の仕事がしたい」と言ったときに、「じゃあ本気でやりなさい」と急にハードルを上げるのも、「無理だからやめなさい」と止めるのも、どちらも会話を終わらせます。「そうなんだ。どんな絵を描く仕事?」と、まず聞く。進路の話は、一度で決めるものではなく、何度も話すものです。
高校選びで「好き」を止めない。美術系の進路を本気で考えるなら
中学生の保護者の方にとって、最初の大きな分岐は高校選びです。全日制の普通科に進んで放課後に描く道もあれば、美術科のある高校、そして通信制高校で美術を学ぶ道もあります。
通信制高校は、卒業に必要なレポート・スクーリング・単位認定試験を進めれば、残りの時間を自分で使えます(文部科学省「通信制高校とは?」: https://www.mext.go.jp/tsushinseikoukou/about/)。日中にまとまった制作時間を取りながら高校卒業資格を取り、美大や芸大を目指すことも、そこからできます。近年は美術コースを持つ通信制高校やサポート校も増えています。
ただし、学校選びで見るべきは「美術コースあり」の文字ではなく、誰が教えるのか、初心者から進学まで見てくれるのか、卒業のための学習をどう支えるのかの3点です。通信制高校の美術コースの選び方と見学で聞くべきことは、こちらの記事で詳しく解説しています。https://freeschool.meikogijuku.jp/media/tsushinsei-bijutsu/
お子さんが説明会に行きたがらなくても、まず保護者の方だけで見に行って大丈夫です。その進め方はこちらにまとめています。https://freeschool.meikogijuku.jp/media/tsushinsei-setsumeikai-oyadake/
美術を本気で学べる場所で高校を卒業するという選択肢
「絵ばかり描いている」を心配の種ではなく、進路の軸にする。そのための場所をひとつ紹介させてください。
僕(小幡和輝)が学院長を務める明光義塾高等学院に、美術コースがあります。高校卒業資格の取得を目指しながら、本格的な美術表現や作品制作に取り組めるコースです。基礎的なデッサンから作品制作、美術系進学対策まで幅広く対応していて、初心者からスタートできます。「ノートの端に描いている」段階の子でも、入り口はそこからで構いません。
講師は2人です。多摩美術大学大学院の修士課程(油画専攻)を修了した現役アーティストのみどり先生。「美術は、自分を知り、自分を表現するための学び」という考え方で指導しています。そして絵画教室やアトリエを運営してきた指導歴29年のえぐち先生。「想像力」を大切にした作品づくりを見てくれます。家で一人で描いてきた子が、「いま描いている人」と「長く教えてきた人」に作品を見てもらえる。それだけで描くものが変わります。
求めているのは、「絵が好き」という気持ちだけです。経験や技術は問いません。ベースにあるのは、明光義塾が大切にしている個別指導の考え方です。制作も、卒業や進路のための学習も、一人ひとりに寄り添って見ていきます。中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入・編入も受け入れています。
まずは資料請求をしてください。備考欄に「美術コース希望」と書いていただければ、コースの詳細をご案内します。
【明光義塾高等学院】資料請求はこちら
https://gakuin.meikogijuku.jp/
美術コースの詳細はこちら
https://note.com/meikomirai/n/n3866cd346b3b
まとめ。絵ばかり描く子の進路は、止めずにつなぐ
絵ばかり描くことは、心配することではありません。保護者の方の不安の正体は「勉強」「将来の生活」「周りとの違い」で、どれも絵を減らしても解決しないものです。絵が直接活きる仕事はデザイン、ゲーム・アニメ、イラスト、空間、教える仕事と幅広く、絵で育つ力は絵以外の仕事でも使われます。親がやることは、評価ではなく関心を向けること、描ける環境を整えること、勉強を「好きの延長」に置くこと。そして高校選びで、好きを止めない場所を選ぶことです。
今日できる一歩をひとつ挙げるなら、お子さんが最近描いたものを1枚見せてもらって、「これ、どうやって描いたの?」と聞いてみてください。描き方を説明しているときの顔を見れば、「ばかり」の中身が見えてきます。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。無料のLINE相談はこちらから。
不登校の専門家 小幡和輝の無料LINE相談
https://www.obatakazuki.com/lp
よくある質問
絵ばかり描いて勉強しません。絵を制限したほうがいいですか?
制限しても勉強には向かいません。好きなことを取り上げられた子は、親に話さなくなるだけです。勉強は「絵ばかりじゃなくて」ではなく、「美大に行くなら国語と英語は使う」「デザインの仕事は人に説明する力がいる」と、好きなことの延長線上に置いて話してください。その順番なら子どもは聞きます。
絵で食べていけるのはひと握りでは?
画家やイラストレーターだけを見ればそうですが、絵を描く力が直接活きる仕事はデザイン、ゲーム・アニメ・映像、空間・プロダクト、美術教員や学芸員など幅広くあります。企業の中のデザイン職のように会社員として働く道も普通にあります。また、集中力・観察力・イメージを形にして伝える力は絵以外の仕事でも使われるので、「絵の仕事に就けなかったら無駄」という前提が違います。
絵が好きな子は、高校はどう選べばいいですか?
全日制の普通科で放課後に描く道、美術科のある高校、通信制高校で美術を学ぶ道があります。通信制高校は卒業に必要な学習を進めれば残りの時間を制作に使え、美大や芸大もそこから目指せます。選ぶときは「美術コースあり」の文字ではなく、誰が教えるのか、初心者から進学まで見てくれるのか、卒業のための学習をどう支えるのかの3点を見てください。
