フリースクールに通わせることを考えたとき、多くの保護者の方が最後に引っかかるのが「卒業後の進路はどうなるのか」だと思います。学校に行かずにフリースクールで過ごして、高校に進学できるのか。その先の人生は狭まらないのか。
先に結論をお伝えします。フリースクールに通った子の進路は、閉じません。文部科学省の追跡調査では、中学3年生のときに不登校だった人の85.1%が高校に進学しています。そして小中学生の場合、卒業証書を出すのはフリースクールではなく在籍している学校なので、「フリースクールに通ったから卒業できない・受験できない」ということ自体が起こらない仕組みになっています。
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は不登校の元当事者です。約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。現在は不登校の専門家として、本の執筆や講演をしながら、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしています。この記事では、フリースクール卒業後の進路の実際を、制度・データ・僕自身のその後の3つの面から整理します。
「フリースクール卒業後」の正確な意味。学籍は在籍校にある
まず、意外と知られていない大前提から整理します。フリースクールは学校教育法上の「学校」ではないので、フリースクール自体が卒業資格を出すことはありません。
小中学生がフリースクールに通う場合、学籍は地元の小中学校(在籍校)に残ったままです。つまり、フリースクールで過ごした子も、卒業するのは在籍校です。卒業証書は在籍校から出ますし、高校受験も在籍校の生徒として出願します。「フリースクールを卒業したら中卒の資格がなくなるのでは」という心配は、制度上あり得ません。
さらに、フリースクールでの活動は、一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度があります(文部科学省の通知に基づく制度です)。
文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について」
在籍校との関係や出席扱いを含めた中学生のフリースクール活用については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>>中学生のフリースクールという選択。勉強・出席扱い・高校受験はどうなる?
データで見る不登校経験者のその後
文部科学省は、中学3年生のときに不登校だった人がその後どうなったかを追跡した「不登校に関する実態調査」を公表しています。この調査によると、5年後の時点で85.1%が高校に進学し、22.8%が大学・短大・高専に進んでいます。
不登校に関する実態調査の公式ページ
この数字が示しているのは、「中学で不登校だった=進学の道が閉ざされる」は事実ではない、ということです。むしろ通信制高校や定時制高校など、学びの選択肢が当時より大幅に増えたいま、この割合はさらに上がっていると考えるのが自然です。
そしてフリースクールに通っていた子は、「家で誰とも関わらずに過ごしていた子」に比べて、生活のリズムや人と関わる感覚を保てていることが多い。進路を考え始める時期に、日中に通う場所と相談できる大人がいることは、それだけで進路選択のスタートラインが違います。
中学卒業後の主な進路と、選ばれ方の実際
フリースクールで過ごした子の中学卒業後の進路は、大きく次の4つです。
- 通信制高校 登校日数を自分で調整でき、不登校経験者の受け入れに慣れている学校が多い、現在いちばん選ばれている進路です
- 全日制高校 内申点や出席日数を重視しない入試枠を持つ学校や、当日の学力検査を中心に評価する私立高校があります
- 定時制高校 午前・午後・夜間など時間帯を選べ、少人数でゆっくり学べます
- 高等専修学校など 調理、美容、デザインといった専門分野を中学卒業後すぐに学べる学校です
受験の面接では、休んでいた期間の説明よりも「これからどうしたいか」を見る学校が増えています。フリースクールで過ごした時間は「何もしていなかった期間」ではなく、「自分のペースを取り戻し、好きなことを見つけた期間」として話せます。実際、面接でフリースクールでの活動や作品について話して合格していく子はたくさんいます。
中3の受験期からの動き方については、こちらの記事も参考にしてください。
>>3月になっても進学先の高校が決まらない。中学卒業後からでも間に合う出願先
10年不登校だった僕のその後
データだけでなく、一人の「その後」として僕自身の話もしておきます。
僕は約10年間学校に行かず、フリースクールで学びました。その後、18歳で起業し、いまは不登校の専門家として本を書きながら、対面やオンラインのフリースクールを運営しています。不登校だった10年間に好きでやっていたこと、たとえばゲームやイベントの企画が、そのまま仕事の原点になりました。
もし当時の自分にひとこと伝えられるなら、こう言います。「その10年は無駄にならない。今やっていることが全部あとで仕事になるよ」。
フリースクールで過ごす時間は、学校を休んでいる時間ではなく、その子の「これから」が育っている時間です。進路とは、学校名を選ぶことだけではなく、こういう積み重ねの延長にあるものだと僕は思っています。
明光フリースクールという選択肢
平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、「学校ではないけれど通う場所」として機能しています。
進路を心配する保護者の方にとっての良さは、通う場所と進路の相談相手が同じであることです。日々の様子を見ている運営者が、その子の得意や興味を踏まえて中学卒業後の道筋を一緒に考えられます。僕たちは通信制高校の連携施設である明光義塾高等学院も運営しているので、高校卒業までを見据えた相談もできます。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
今日できる一歩
フリースクールの見学や問い合わせの際に、「これまでに通った子は、その後どんな進路に進んでいますか」と聞いてみてください。具体的に答えてくれるかどうかは、そのフリースクールが子どもの「その後」まで見ているかどうかの、わかりやすい判断材料になります。
まとめ
フリースクールに通った子の卒業後の進路は、制度の面でもデータの面でも閉じていません。卒業証書は在籍校から出て、高校受験の道はそのまま残り、中3で不登校だった人の85.1%が高校に進学しています。そして通信制高校をはじめ、選択肢は年々増えています。フリースクールで過ごす時間は、進路から遠ざかる時間ではなく、自分のペースと好きなことを取り戻して、次の一歩の土台を作る時間です。
お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。LINEでの無料相談を受け付けています。
よくある質問
フリースクールに通うと、中学の卒業証書はもらえないのですか?
もらえます。フリースクールに通っている間も学籍は在籍している小中学校に残っており、卒業証書は在籍校から出ます。フリースクール自体は学校教育法上の「学校」ではないため卒業資格を出しませんが、そのぶん在籍校の卒業に影響することもありません。
フリースクールから高校受験はできますか?
できます。在籍校の生徒として出願するので、受験資格に影響はありません。通信制高校や定時制高校のほか、内申点や出席日数を重視しない入試枠を持つ全日制高校もあります。フリースクールでの活動が一定の要件を満たせば出席扱いになる制度もあり、面接では「これからどうしたいか」を見る学校が増えています。
フリースクール出身だと就職や将来に不利になりませんか?
フリースクールに通っていたこと自体が履歴書に残るわけではなく、選考で不利に扱われる仕組みはありません。文部科学省の追跡調査では中3で不登校だった人の85.1%が高校に進学しており、進学・就職の道は開かれています。大切なのは経歴の形よりも、その子が自分のペースで人と関わり、好きなことを育てられているかどうかです。
