「発達障害の傾向があると言われたうちの子は、フリースクールに通えるのだろうか」。診断がついている場合も、いわゆるグレーゾーンの場合も、この不安を抱える保護者の方は少なくありません。
結論からお伝えすると、発達障害やグレーゾーンの子もフリースクールに通えます。そして通級や特別支援学級(支援級)と、フリースクールは二者択一ではありません。仕組みの階層が違うので、組み合わせて使えます。
この記事では、通級・支援級・フリースクールの違いと使い分け、そして特性のある子に合うフリースクールの選び方を解説します。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
発達障害・グレーゾーンの子はフリースクールに通える?
通えます。フリースクールの多くは、入会にあたって診断の有無を条件にしていません。運営の現場では、特性による困りごとを抱えた子が通ってくることは日常的な風景です。
文部科学省の令和4年の調査では、通常の学級に在籍する小中学生のうち8.8パーセントが「学習面または行動面で著しい困難を示す」とされています。
35人学級なら1クラスに3人程度いる計算です。教員の見立てによる数字で医学的な診断の割合ではありませんが、特別な支援を必要とする子が通常学級にも大勢いることを示すデータです。
出典: 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)」
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ただし、ひとつだけ注意があります。フリースクールには法律上の明確な定義がなく、少人数で一人ひとりのペースに合わせる場所もあれば、集団活動が中心の場所もあります。「フリースクールならどこでも特性に配慮してもらえる」わけではないので、後述する見学時の確認が大切になります。
また、診断や特性そのものへの対応については、僕たちのような教育の現場ではなく医療の領域です。気になることがあれば、医療機関や自治体の発達障害者支援センター、学校のスクールカウンセラーなど専門機関に相談することをおすすめします。
通級・支援級・フリースクールの違いを整理する
この3つは「どれかを選ぶもの」と思われがちですが、実は仕組みの階層が違います。
- 通級(通級による指導) 通常の学級に在籍したまま、週に数時間だけ別室などで特性に応じた特別な指導を受ける仕組みです。在籍はあくまで通常学級で、大部分の授業はクラスの友達と一緒に受けます
- 特別支援学級(支援級) 在籍そのものが特別支援学級になる仕組みです。少人数の学級で、一人ひとりの実態に応じた教育課程が組まれます
- フリースクール 学校の外にある民間の居場所です。在籍校の学籍はそのまま残り、学校の制度とは独立して利用できます
つまり、通級と支援級は「学校の中のどこに軸足を置くか」という制度上の選択であるのに対して、フリースクールは学校制度の外側にある選択肢です。だから支援級に在籍しながらフリースクールを併用することも、通級を受けていた子が学校を休んでいる期間にフリースクールへ通うことも、制度上は何も矛盾しません。
通級や支援級の制度の詳細は、文部科学省の公式資料で確認できます。
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さらに、フリースクールでの活動は、一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度があります(文部科学省の通知に基づく制度です)。
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なお、公的な支援の場である適応指導教室(教育支援センター)とフリースクールの違いについては、こちらの記事で解説しています。
>>適応指導教室(教育支援センター)とフリースクールの違い。両方使っていいんです
使い分けの考え方。二者択一ではなく組み合わせる
では実際に、どう考えて選べばいいのでしょうか。判断の軸は「制度の名前」ではなく「いまの子どもの状態」です。
- 学校に通えていて、一部の場面だけ困っている まずは通級の利用を学校に相談するのが自然な流れです。在籍も友達関係もそのままで、苦手な部分にだけ手当てができます
- 通常学級の一斉授業そのものがしんどそう 支援級への転籍を含めて、学校や自治体の教育相談と話し合う段階です。判断には時間がかかるので、早めに相談を始めることをおすすめします
- 学校に行くこと自体が難しくなっている ここでフリースクールが選択肢に入ります。通級も支援級も「学校に来られること」が前提の仕組みなので、登校自体が難しいときには機能しにくいのです。学校の外に、安心して過ごせてエネルギーをためられる場所をつくることが先になります
大事なのは、この3つが同時に使えるということです。たとえば「週1回は在籍校の通級に行き、他の日はフリースクールで過ごす」という形も実際にあります。
どの道を選んでも在籍校とのつながりは切れないので、安心してください。学校と学校外の場を組み合わせる考え方については、こちらの記事で詳しく書いています。
>>フリースクールと学校は併用できる?週の組み方と出席扱い・在籍校との関係
特性のある子に合うフリースクールを見学で見極めるポイント
前述のとおり、フリースクールの中身は施設ごとに大きく違います。特性のある子の場合、パンフレットではなく見学と体験で確かめることがとくに重要です。運営者の立場から、見てほしいポイントを挙げます。
- 一人ひとりのペースが尊重されているか 全員が同じ活動を同じ時間にやる場所は、特性のある子には合わないことがあります。「参加しない自由」があるかを聞いてみてください
- 静かに過ごせる逃げ場があるか 音や人の多さがしんどくなったとき、一人になれるスペースがあるかどうかで、続けやすさが大きく変わります
- スタッフに子どもの特性を伝えたときの反応 見学時に困りごとを具体的に伝えてみて、「うちではこう対応しています」と具体的に返ってくるか、あいまいな返事しか来ないかを見ます
- 子ども本人の表情 最終的な判断基準はここです。親から見た設備や実績より、体験後に本人が「また行ってもいい」と言うかどうかを優先してください
僕自身、フリースクールに行く前日はドキドキしていました。でも着いてみたら、誰も「なんで学校行ってないの」と聞かなかったんです。それが衝撃でした。ゲームが好きな子がいて、すぐに仲良くなりました。理由を問われない場所かどうかは、子どもが安心できるかを左右する大きな要素だと、自分の経験からも思います。
明光フリースクールという選択肢
平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、「学校ではないけれど通う場所」として機能しています。
得意なこと、苦手なこと、その日の調子は一人ひとり違うという前提で運営しているので、「全員一律のカリキュラムに合わせなくていい」進め方ができます。一斉のペースがしんどいというお子さんの過ごし方も、相談しながら決められます。まずは見学で、お子さんの様子を見ながらご相談ください。
学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。
新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。
2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
教室の音や人の多さがしんどいというお子さんには、自宅から参加できる形が合ったという声もあります。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
まとめ。今日できる一歩から始めよう
発達障害・グレーゾーンの子はフリースクールに通えますし、通級や支援級と対立する選択肢でもありません。学校の中の支援と学校の外の居場所を、子どもの状態に合わせて組み合わせていく。それがいちばん現実的で、子どもに負担の少ない進め方です。
今日できる一歩として、気になるフリースクールに「発達障害の傾向がある子ですが、見学はできますか」とメールか電話で一言聞いてみてください。この一言への返事の温度で、その施設が特性のある子にどう向き合っているかがかなりわかります。
それでも「うちの子の場合はどこから手をつければいいのか」と迷うときは、LINEで無料相談を受け付けています。お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
診断がなくてもフリースクールに通えますか?
通えます。フリースクールの多くは入会に診断の有無を条件にしていません。グレーゾーンで診断がつかない段階でも利用できます。ただし施設ごとに運営方針が違うので、お子さんの困りごとを見学時に具体的に伝えて、対応を確認することをおすすめします。
支援級に在籍しながらフリースクールを併用できますか?
できます。通級や支援級は学校の中の仕組み、フリースクールは学校の外の民間の居場所で、階層が違うため制度上矛盾しません。支援級に籍を置いたまま、登校が難しい期間にフリースクールを利用するケースもあります。在籍校と相談しながら進めるとスムーズです。
フリースクールに通うと学校の出席扱いになりますか?
一定の要件を満たせば、在籍校の校長の判断で出席扱いになる制度があります。文部科学省の通知に基づく制度で、明光フリースクールでも出席扱いが認められた実績が多数あります。在籍校との連携が必要なので、利用したい施設と学校の両方に早めに相談してください。
出典
- 通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果(令和4年)について:文部科学省 ページ 本文へ戻る
- 「障害に応じた通級による指導の手引 解説とQ&A(改訂第3版)」(文部科学省 編著)より抜粋:文部科学省 ページ 本文へ戻る
- 「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日:文部科学省 ページ 本文へ戻る
