通信制高校の学費を比較しようとして、学校ごとに「年間〇〇万円」の数字がバラバラで困っている。そんな方に向けて、公立と私立の公式データを並べ、どこで差がつくのかと、安く通う方法を整理します。
先に結論です。2026年度から高等学校等就学支援金の所得制限がなくなり、公立の通信制はもちろん、私立の通信制でも「授業料」は全額が支援でまかなえる学校が増えました。[1]
そのため、学校ごとの学費の差は、授業料ではなく「授業料以外の費用」と「選ぶコース」で決まります。この記事では、2026年9月16日に各校の公式サイトで確認した金額をそのまま載せます。学費は年度で変わるので、出願前に必ず各校の最新情報で確認してください。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。
いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
通信制高校の連携施設である明光義塾高等学院の学院長も務めていて、学費の相談は毎週のように受けています。
就学支援金の制度そのものの解説は、こちらの記事に詳しく書いています。この記事は「学校別の比較」に絞ります。
>>通信制高校の学費は実際いくら?2026年度の所得制限撤廃でどこまで下がるのか
比較の前に。2026年度の就学支援金で授業料はどこまで下がるか
文部科学省の資料によると、2026年度(令和8年度)からの新制度では所得制限がなくなり、支給上限は公立が年11万8,800円、私立の全日制が年45万7,200円、私立の通信制が年33万7,200円です。[1]
通信制で大事なのは、多くの学校が「1単位いくら」の単位制授業料を採用していることです。単位制の場合、支給上限は公立が1単位336円、私立が1単位1万3,668円で、年間30単位、通算74単位までが対象です。[1]
この数字を覚えておくと、自分で計算できます。
- 私立で1単位1万2,000円の学校 支援の上限1万3,668円の範囲に収まるので、授業料は全額が支援でまかなえる
- 私立で1単位1万5,000円の学校 差額の1,332円×履修単位数が自己負担になる
- 公立で1単位336円の学校 支援の上限とちょうど同じなので、授業料は実質ゼロ
支援の対象は授業料だけです。入学金、施設費、教材費、コース費用、サポート校の費用は対象外です。ここからの比較は、その「対象外の費用」を見ていきます。
公立と私立の学費を公式データで比較する
2026年9月16日に各校の公式サイトで確認した金額です。すべて税込表記のものをそのまま載せています。年度の表記が学校によって違うので、それも併記します。
公立の例。東京都立高校の通信制課程
東京都教育委員会の公表(令和7年4月1日現在)では、都立高校の通信制課程の授業料は1単位336円、入学料は500円です。就学支援金の受給が認定されると授業料は無料になります。[2]
25単位を履修しても授業料は8,400円、それが支援でゼロになります。残るのは教科書代や行事の実費、通学の交通費です。
公立は「学費がほぼかからない」と考えて差し支えありません。ただし、公立通信制は自学自習が基本で、レポートの進み具合を毎日見てくれる人はいません。学費の安さと、伴走の手厚さは、たいてい反対の方向を向いています。
私立の例1。明聖高等学校(千葉本校)の通信コース・WEBコース
明聖高等学校の公式サイト(令和8年3月現在)によると、通信コースとWEBコースは、入学金4万円、授業料が年30万円、施設費が年1万円で、年間合計35万円です。就学支援金の適用後は年5万円と案内されています。このほかに教科書・副教材が約1万3,000〜2万円、育英会費が年1万2,000円かかります。
明聖高等学校の学費(公式)私立の例2。クラーク記念国際高等学校
クラーク記念国際高等学校の公式サイト(2027年度新入生向け)では、学費は「高校卒業に必要な単位修得の費用」と「選択コースの費用」の2階建てで説明されています。
就学支援金の適用後の年額は、25単位履修の単位修得コースで3万円、スマートスタディⅠコースで16万2,800円(本校授業料等10万2,800円+コース授業料等6万円)、スマートスタディⅡコースで37万8,300円です。
教科書代(約1万円)、模試、検定料、ICT教材費、健康診断費、PC購入費は別途と明記されています。
クラーク記念国際高等学校の学費(公式)私立の例3。鹿島学園高等学校(通信制)
鹿島学園高等学校の公式サイトによると、入学金は0円、施設費が年2万4,000円、システム管理費・通信費が年4万9,000円、授業料は1単位1万2,000円です。
25単位で授業料は30万円ですが、就学支援金で相殺され、入学・進級時の納付は年7万3,252円、3年間の合計負担は21万9,756円(新入生の場合)と案内されています。
鹿島学園高等学校の学費(公式)並べてわかること
| 学校 | 授業料(支援前) | 支援後の年間負担の目安 | 差がつく費目 |
|---|---|---|---|
| 東京都立(通信制) | 1単位336円 | ほぼ0円(実費のみ) | 教科書・交通費 |
| 明聖高校(通信・WEB) | 年30万円 | 5万円+教科書等 | 入学金4万円・育英会費 |
| クラーク(単位修得コース) | 単位制 | 3万円 | コース費用の有無 |
| クラーク(スマートスタディⅠ) | 単位制 | 16万2,800円 | コース授業料6万円 |
| 鹿島学園(通信制) | 1単位1万2,000円 | 7万3,252円 | 施設費・システム管理費 |
授業料は、どの学校も支援でほぼ消えています。残った金額を作っているのは、入学金、施設費、システム管理費、そして「コース費用」です。
同じクラークでも、単位修得コースとスマートスタディⅡコースでは年35万円近い差があります。
学費を比較するときは、学校名ではなく「どのコースを選ぶか」を先に決めるほうが、比較の意味が出ます。
学費の総額だけで学校を選ぶと、入ったあとの伴走が足りずに続かないことがあります。僕が運営している明光義塾高等学院では、学費の相談と同じくらい「前の学校で何につまずいたか」を最初に聞きます。学費とサポートは両方見て決めてください。
授業料以外で差がつく5つの費目
見積もりを取り寄せたら、次の5つを表にして並べてください。ここが学校ごとの差の正体です。
- 入学金 0円から4万円台まで幅がある。転入・編入でも必要な学校が多い
- 施設費・システム管理費 年2万〜7万円台。通学しなくてもかかる学校がある
- コース費用 通学コース、進学コース、専門コースなどの上乗せ。ここが最大の差になりやすい
- 教科書・教材・ICT教材費 年1万〜2万円程度が目安。タブレットやPCの購入が別途必要な学校もある
- スクーリングの実費 交通費、宿泊が必要な場合の宿泊費。本校が遠い学校ほど大きくなる
サポート校を併用する場合、その費用は就学支援金の対象外で、学校の学費に上乗せされます。通信制高校とサポート校の費用の関係は、こちらの記事で整理しています。
>>通信制高校とサポート校の違い。学費は二重にかかる?後悔しないための選び方
安く通うための4つの方法
- 履修単位を年30単位以内に収める 就学支援金の対象は年30単位、通算74単位まで。卒業に必要な74単位を3年で割ると年25単位前後になり、上限に収まる
- 1単位あたりの授業料が1万3,668円以下の学校を選ぶ 私立の単位制での支援上限がこの金額。これを超える部分だけが自己負担になる
- コースは「いま必要な分」だけにする 通学コースや専門コースは、途中からの変更を受け付ける学校が多い。最初から最上位のコースにしない
- 授業料以外を支える制度を確認する 住民税非課税世帯などを対象にした高校生等奨学給付金や、都道府県独自の授業料軽減制度がある。お住まいの都道府県の制度は年度で変わるので、出願前に確認する[1]
通信制高校のメリットとデメリットを全体像で知りたい方は、こちらの記事が入口になります。
>>通信制高校に通う5つのメリットとデメリットを徹底解説!卒業までの流れもまとめ
明光義塾高等学院という選択肢
学費の比較をしていると、「安い学校を選んで、足りない分は塾で補う」という発想になりがちです。そこで僕が学院長を務める明光義塾高等学院を知っておいてください。通信制高校の連携施設で、高校卒業資格を目指しながら日々の学びを進める場所です。
全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。『まず中2の数学からやり直したい』という相談も当たり前のこととしてサポートしています。
通信制高校で勉強が続かない理由の多くは、レポートを一人で進める孤独と、わからないところを聞ける相手がいないことです。
近所の明光義塾教室に週に何度か通い、講師がレポートの進み具合まで見る形なら、その2つが同時に解消します。
学費については、通信制高校の授業料に就学支援金が使えることに加え、学習面の伴走を別の塾で買い足す必要がないので、総額で考えると見通しが立てやすい形です。具体的な金額と内訳は、資料請求でお伝えしています。中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入・編入も受け入れています。
>>【明光義塾高等学院】明光義塾との連携コースの資料請求はこちら
今日できる一歩
候補の学校の公式サイトから学費ページを1つ開いて、「入学金」「施設費」「コース費用」「1単位あたりの授業料」の4つをメモしてください。
1単位あたりの授業料が1万3,668円以下なら、授業料は支援でほぼ消えます。残りの3つの合計が、その学校の実質の年間負担です。
この4つが載っていない学校は、資料請求のときに「この4つを教えてください」とだけ聞けば十分です。
まとめ
通信制高校の学費を比較するときは、授業料ではなく「授業料以外の費目」と「コース」を見てください。
2026年度からの就学支援金は所得制限がなく、私立の単位制でも1単位1万3,668円まで支援されるので、公立でも私立でも授業料は支援でほぼ消えます。
今回並べた公立1校と私立3校の公式データでも、差を作っていたのは入学金、施設費、システム管理費、コース費用でした。学費は年度で変わるので、出願前に各校の最新情報で必ず確認してください。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
通信制高校の学費は公立と私立でどのくらい違いますか?
授業料は、2026年度からの就学支援金で公立も私立もほぼ全額が支援されます。差が出るのは授業料以外です。
今回確認した公式データでは、東京都立の通信制は入学料500円で授業料は実質ゼロ、私立は入学金0〜4万円、施設費やシステム管理費が年2万〜7万円台、コース費用を加えると年3万〜38万円程度まで幅がありました。
私立の通信制高校は就学支援金で本当に授業料が無料になりますか?
単位制の私立通信制では、1単位あたり1万3,668円、年間30単位までが支援の上限です。1単位あたりの授業料がこの金額以下の学校なら、授業料は全額が支援でまかなえます。上限を超える部分は自己負担になります。入学金や施設費、コース費用は支援の対象外です。
学費が安い通信制高校を選ぶときの注意点はありますか?
学費が安い学校は自学自習が基本で、レポートの進み具合を日々見てくれる人がいないことが多いです。前の学校で勉強のつまずきが理由で行けなくなった場合は、学費と一緒に「誰がどのくらい伴走してくれるか」を確認してください。安い学校を選んで別の塾で補うと、結果的に総額が増えることがあります。
出典
- 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(令和8年度) PDF 本文へ戻る
- 東京都教育委員会「都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について」 ページ 本文へ戻る
