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通信制高校の公立と私立の違い。学費・サポート・卒業のしやすさを文科省の調査データで比べる

通信制高校を調べ始めると、公立と私立で学費が何十万円も違うことにまず驚くと思います。「安いなら公立でいいのでは」「でも公立は卒業が難しいと聞いた」。どちらの話も耳に入ってきて、決め手が見つからない方は多いです。

通信制高校の公立と私立の違いをひとことで言うと、公立は「学費がほぼかからない代わりに、自分で進める力が前提」、私立は「費用がかかる代わりに、通い方とサポートを選べる」です。

どちらが上ということはなく、お子さんが一人でレポートを進められるかどうかで答えが変わります。

この記事では、文部科学省が全国の通信制高校323校を調べた令和7年度の実態調査の数字を使って、学費・サポート・卒業のしやすさの3点を比べます。

自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。通信制高校の連携施設を運営する立場でもあります。

なお、学校ごとの学費の金額を細かく比べたい方は、先にこちらの記事をご覧ください。この記事は金額の一覧ではなく、公立と私立の「仕組みの違い」を扱います。

>>通信制高校の学費を比較。公立・私立の公式データと安く通う方法【2026年度】

目次

まず全体像。公立は81校、私立は227校

文部科学省の令和7年度の実態調査(令和7年5月1日現在)では、通信制課程を置く高校323校のうち、公立が81校、私立が227校、株式会社立が15校でした。[1]

入れる範囲も違います。公立81校のうち79校は「狭域」の学校です。狭域とは、生徒を受け入れる範囲が学校のある都道府県と、もう1つの都道府県までに限られる通信制高校のことです。

実際には、その都道府県に住んでいるか勤めていることを出願の条件にしている公立が大半なので、募集要項で確認してください。私立は227校のうち116校が、3つ以上の都道府県から生徒を受け入れる「広域」です。全国どこに住んでいても選べる学校が多いのは私立の側です。

比べる点 公立 私立
学校数 81校(ほぼ狭域) 227校(約半数が広域)
授業料の例 1単位336円(東京都立) 1単位1万2,000円(鹿島学園)
週5日通学コースがある学校 81校中1校 227校中82校
在籍生徒のうち4年以上在籍 25.6% 1.9%
スクールソーシャルワーカーに相談できる学校 91.4% 19.4%

学費の違い。差がつくのは授業料ではなくなった

公立の授業料は、東京都立の通信制で1単位336円です。25単位を履修しても年8,400円で、就学支援金の対象になれば実質ゼロになります。[2]

私立は、たとえば鹿島学園高等学校の通信制が1単位1万2,000円で、25単位なら年30万円です(同校の公式サイト、2026年9月確認)。ただし2026年度からは就学支援金の所得制限がなくなり、私立の単位制の通信制高校には1単位あたり1万3,668円を上限に支給されます。[3]

つまり、授業料そのものは私立でも多くの場合は支援でまかなえます。いま公立と私立の差を作っているのは、支援の対象にならない入学金、施設費、コース費用、そして連携施設やサポート校の費用です。

「私立は高い」のではなく、「通学やサポートを付けたぶんが高い」と理解するのが正確です。制度の詳しい中身はこちらで解説しています。

>>通信制高校の学費は実際いくら?2026年度の所得制限撤廃でどこまで下がるのか

サポートの違い。「公立は手薄」は半分だけ正しい

よく「公立はサポートが薄い」と言われます。調査の数字を見ると、これは通い方の話としては正しく、相談体制の話としては正しくありません。

通い方から見ます。週5日通えるコースを開設しているのは、公立では81校中1校だけです。私立は227校中82校(36.1%)にあります。

週3日コースも公立は2校、私立は56校。公立で開設が多いのは週1日のコース(39校)と、月に1〜2回や都合のよい日に通う形(39校)です。毎日行く場所がほしい子にとって、公立には枠がほとんどありません。

一方で相談体制は公立のほうが整っています。スクールカウンセラーに相談できる体制がある学校は公立98.8%、私立79.7%。

家庭の事情や福祉の手続きまで一緒に動いてくれるスクールソーシャルワーカーは、公立91.4%に対して私立は19.4%です。

経済的な事情や家庭の困りごとが重なっている場合、公立のこの体制は大きな支えになります。

私立の強みは、学習の伴走と専門コースです。レポートの進み具合を見てくれる担任、個別指導、大学受験対策、eスポーツや美術といったコース。こうした関わりの濃さは学校によってまったく違うので、私立は学校名ではなくコース単位で比べてください。

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卒業のしやすさの違い。在籍4年以上は公立25.6%、私立1.9%

「公立は卒業率が低い」という話は、出どころのわからない数字で語られがちです。文部科学省の同じ調査に、参考になる実数があります。

令和7年5月1日時点の在籍生徒のうち、4年以上在籍している生徒の割合は、公立が25.6%(59,192人中15,132人)、私立が1.9%(199,854人中3,832人)でした。

この数字だけで「公立は卒業しにくい」と決めつけるのは早計です。公立の通信制には、働きながら自分のペースで何年もかけて学ぶ人が昔から多く在籍していて、長くいること自体が悪いわけではありません。

ただ、「3年で卒業して同級生と同じ春に進学したい」という希望がはっきりしているなら、公立では自分で計画を立てて進める力がより強く求められる、とは言えます。

ここで僕自身の話をさせてください。不登校だった頃、僕は学校には行っていませんでしたが、学ぶこと自体は好きでした。「信長の野望」というゲームがきっかけで日本史にハマり、大学生向けの分厚い本まで読んでいました。

一人で進められたのは、それが好きなことだったからです。高校のレポートは、好きな教科だけでは済みません。苦手な数学や英語のレポートを、誰にも声をかけられずに3年間出し続けられるか。公立か私立かを決めるときは、ここを親子で正直に話してみてください。

もうひとつ、どちらを選んでも安心してほしい数字があります。令和7年度の入学者のうち中学3年生のときに不登校だった生徒は、公立で53.5%、私立で56.6%でした。どちらも半数以上です。不登校の経験は、公立でも私立でも特別なことではありません。

通信制高校そのものの良い点と注意点は、こちらの記事にまとめています。

>>通信制高校に通う5つのメリットとデメリットを徹底解説!卒業までの流れもまとめ

どちらが合うか。3つの質問で決める

迷ったときは、次の3つを順番に考えてみてください。

  1. 苦手な教科のレポートを一人で出し続けられるか できるなら公立で十分。難しそうなら、私立の伴走か、公立と塾などの外の支えを組み合わせる
  2. 週に何日、家の外に通う場所がほしいか 月数回でよければ公立も候補。週3〜5日なら私立の通学コースや連携施設
  3. 3年で卒業したい理由があるか 大学進学の時期を同級生とそろえたいなら、進み具合を見てくれる人がいる環境を優先する

公立か私立かの二択で考えなくても構いません。公立に在籍して、レポートの伴走だけ外で受けるという組み合わせも現実的な選択です。

明光義塾高等学院という選択肢

明光義塾高等学院

3つの質問で「一人でレポートを進めるのは難しそう」「通う場所がほしい」と感じた方に、僕が学院長を務める明光義塾高等学院を紹介させてください。通信制高校の連携施設で、高校卒業資格を目指しながら日々の学びを進める場所です。

全国の明光義塾教室との連携で、中学範囲の戻り学習から大学受験対策まで一続きで見られるのが特徴です。『まず中2の数学からやり直したい』という相談も当たり前のこととしてサポートしています。

この記事で見たとおり、通信制で止まりやすいのは、苦手な教科のレポートを一人で抱えたときです。個別指導なら、レポートが進まない原因が中学のどの単元にあるのかまで戻って確かめられます。

通う場所は近くの明光義塾の教室なので、決まった曜日に決まった講師のところへ行く、という形で生活のリズムも作れます。中学からの進学だけでなく、いまの高校からの転入・編入も受け入れています。公立と迷っている段階の相談でも歓迎です。

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今日できる一歩

お住まいの都道府県名と「公立 通信制高校」で、県内に何校あるか、自宅から何分かかるかだけ調べてみてください。多くの県では1〜数校です。通える距離に公立があるかどうかがわかると、「公立も候補に入る」のか「実質は私立から選ぶ」のかが今日のうちに決まります。

まとめ

通信制高校の公立と私立の違いは、学費よりも「通い方の枠」と「進み具合を見てくれる人がいるか」にあります。

公立は授業料がほぼゼロで相談体制も整っていますが、週5日通えるコースは81校中1校だけで、在籍4年以上の生徒が25.6%います。

私立は就学支援金で授業料の負担が小さくなった一方、通学コースやサポートの費用は別にかかります。苦手な教科のレポートを一人で出し続けられるかを基準に選んでください。

完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。

>>不登校の専門家 小幡和輝の無料LINE相談

よくある質問

通信制高校は公立と私立のどちらが卒業しやすいですか?

文部科学省の令和7年度の調査では、在籍生徒のうち4年以上在籍している割合が公立25.6%、私立1.9%でした。公立は働きながら長く学ぶ人も多いため単純には比べられませんが、3年での卒業を目指すなら、公立では自分で計画を立てて進める力がより求められます。

公立の通信制高校はサポートが少ないのですか?

通い方の枠は少なく、週5日通学コースがある公立は81校中1校です。一方で、スクールカウンセラーに相談できる公立は98.8%、スクールソーシャルワーカーは91.4%と、相談体制は私立より整っています。日々の学習の伴走は私立や連携施設のほうが選択肢があります。

私立の通信制高校は就学支援金を使えば公立と同じくらい安くなりますか?

授業料は、2026年度からの就学支援金で1単位1万3,668円を上限に支給されるため、多くの私立で大部分がまかなえます。ただし入学金、施設費、コース費用、連携施設やサポート校の費用は対象外です。公立との差は、この授業料以外の部分で生まれます。

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出典

  1. 文部科学省「令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について」(通信制課程を置く高等学校323校・令和7年5月1日現在) ページ PDF(詳細版)  本文へ戻る
  2. 東京都教育委員会「都立高等学校、中等教育学校(後期課程)の授業料・入学料及び特別支援学校高等部の授業料について」 ページ  本文へ戻る
  3. 文部科学省「高等学校等就学支援金・新制度の概要」(令和8年度) PDF  本文へ戻る
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この記事を書いた人

小幡 和輝のアバター 小幡 和輝 株式会社明光みらい 代表取締役社長 / クラスジャパン小中学園 校長

1994年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、定時制高校を経て、その後、国立大学へ進学。不登校の専門家として、不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の校長として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい 親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』(エッセンシャル出版社)、『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方』(小学館)など。

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