「学校に行きたくない」とだけ言って、理由を聞いても答えない。何度たずねても「別に」「わからない」で会話が終わってしまう。理由がわからないから、休ませていいのか、行かせるべきなのかも判断できない。そんな状態で止まっているご家庭は少なくありません。
先に結論をお伝えします。理由を聞き出せなくても、親ができることは進められます。むしろ、理由の解明を先に置くほど動けなくなります。
この記事では「学校に行きたくない理由を言わない・わからない」ときに、理由不明のまま親が進める手順を具体的に解説します。理由そのものの全体像を知りたい方は、こちらの記事で年代別に解説しています。
「学校に行きたくない・行けない」小学生・中学生・高校生の理由を元不登校が徹底解説
>>「学校に行きたくない・行けない」小学生・中学生・高校生の理由を元不登校が徹底解説
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。約10年間の不登校を経験し、当時の僕を支えてくれた場所がフリースクールでした。いまはそれを運営する側として、本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭に関わっています。
理由を言わないのは、隠しているからではない
まず前提を1つ変えてほしいのです。理由を言わない子の多くは、親に隠しているのではなく、本人も言葉にできていないのです。
僕自身がそうでした。朝、ランドセルを背負って玄関までは行けたのに、そこから足が動かなくなった。学校に行ったふりをして、近所の公園でブランコに乗りながら、ただ時間が過ぎるのを待っていました。
あのときの僕に「なんで行けないの」と聞いても、答えられなかったと思います。行けない理由が1つの出来事として存在していたわけではなく、いくつもの小さなしんどさが混ざって、体が先に動かなくなっていたからです。
文部科学省の調査でも、小中学生の不登校は353,970人にのぼります。要因としていちばん多く挙げられたのは「学校生活に対してやる気が出ない」で30.1%、次いで「生活リズムの不調」が25.0%、「不安・抑うつ」が24.3%でした。特定の出来事を1つ挙げられないケースが多いことがうかがえます。
文部科学省 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
つまり「理由を言わない」は異常事態ではなく、むしろ典型的な状態です。ここを押さえるだけで、親の焦りは少し減ります。
聞き出そうとするほど、話せなくなる
「何かあったなら言って」「いじめられてるの?」と選択肢を並べて確認したくなる気持ちは自然です。ただ、質問を重ねるほど子どもが黙っていくのには構造があります。
- 答えられない質問の反復 「わからない」と答えるたびに親の表情が曇るので、話しかけられること自体が負担になります
- 解決が始まる予感 理由を言えば「先生に相談しよう」「その子と話してみたら」と即座に対処が始まることを子どもは予測します。まだ動く元気がない時期には、これが怖いのです
- 親を悲しませたくない気持ち 特にまじめな子ほど、親がショックを受けそうな内容を口にできません
だから、聞き出すことをいったんやめてかまいません。「話したくなったら聞くよ」とだけ伝えて、質問を閉じる。これは放置ではなく、子どもが話すための安全を先に作る対応です。
理由がわからないまま、親が進める4つの手順
ここからが本題です。理由の解明を待たずに、今週から進められることを順番に書きます。
1. 休む判断を先にする
理由がわからないと「ずる休みだったらどうしよう」と迷いますが、行き渋りが数日続いている時点で、体はすでに限界のサインを出しています。まず数日、理由を問わず休ませて様子を見る。この判断に理由の特定は必要ありません。行き渋りのサインの見分け方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
不登校の前兆・サイン。早めに気づいて家庭でできる対応
>>不登校の前兆・サイン。早めに気づいて家庭でできる対応
2. 学校への連絡は「理由不明」のまま伝えていい
欠席連絡で理由を求められて困る、という相談をよく受けます。ここも「本人が理由を言葉にできていない状態です。体調と気持ちが整うまで休ませます」とそのまま伝えて問題ありません。毎朝の連絡自体が負担なら、頻度や方法を変える相談もできます。そのまま使える例文はこちらの記事にまとめています。
学校への欠席連絡は何て言う?不登校が続くときの伝え方と、そのまま使える例文集
>>学校への欠席連絡は何て言う?不登校が続くときの伝え方と、そのまま使える例文集
3. 体のサインを観察し、続くなら受診する
頭痛、腹痛、朝起きられない、食欲の変化。理由を言葉にできない子は、体が代わりに話します。
メモ程度でいいので日付と一緒に記録しておくと、後で学校や医療機関に相談するときの材料になります。
なお、体の症状が強く続く場合は、無理に不登校の問題として抱え込まず、小児科やかかりつけ医など専門機関に相談してください。
4. 学びと居場所を細く確保する
理由がわからなくても、「学校を休んでいる間の学びをどうするか」は並行して準備できます。ここで大事なのは、いきなり別の場所へ通わせることではなく、家にいたまま続けられる細い線を用意しておくことです。動けるようになったとき、選択肢がゼロの状態と、すぐ乗れる線がある状態では、動き出しやすさが変わります。
理由は、安心してから後から出てくる
運営者として多くのご家庭を見てきて言えるのは、理由は「聞き出したとき」ではなく「安心したあと」に出てくるということです。休み始めて数か月たってから、ぽつりと「実はね」と話し出す子はめずらしくありません。半年以上たってから初めて語られることもあります。
そして、後から語られる理由は、親が予想していたものと違うことも多いのです。だからこそ、理由の仮説に基づいて先回りするより、どんな理由であっても対応できる体制、つまり休める家と、細く続く学びを先に整えるほうが合理的です。
クラスジャパン小中学園という選択肢
理由を言えない時期の子に外の場所を勧めても、動けないことがほとんどです。そんな時期でも家から始められる場所として、僕たちはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」を運営しています。
特徴は、ネットの先生(担任)が一人ひとりに付いて伴走することです。理由を問い詰めない第三者の大人が定期的に関わってくれることで、親には言えなかった気持ちが先生には話せた、というケースもあります。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。
学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる実績も多数あり、「休んでいる間の学び」の細い線として機能します。
今日できる一歩
今夜、お子さんに理由を聞く代わりに「理由は言わなくていいよ。話したくなったら聞くね」と一度だけ伝えてみてください。質問を閉じる宣言は、子どもにとって想像以上に大きな安心になります。そして手元のメモに、今日の体調と様子を1行だけ記録する。ここから始めれば十分です。
まとめ
学校に行きたくない理由を言わないのは、隠しているのではなく、本人にも言葉にできていないからです。聞き出すことをやめ、休む判断、学校への連絡、体のサインの記録、学びの細い線の確保という順番で、理由不明のまま親は動けます。理由は安心したあとに、後から出てきます。
休ませ方や学びの選択肢で迷ったら、LINEで無料相談を受け付けています。お子さんを責める必要も、ご自身を責める必要もありません。今日からできる小さな一歩を、一緒に探しましょう。
よくある質問
理由を言わないまま休ませ続けて、甘えにならないでしょうか
なりません。行き渋りが続く時点で体はすでにサインを出しており、まず休むことが出発点になります。理由が言えない子ほど限界まで我慢していたケースが多く、休める環境を作ることが先です。甘えかどうかの判断より、体調と気持ちの記録を続けることをおすすめします。
学校から「理由を教えてください」と言われたらどう答えればいいですか
「本人がまだ言葉にできていない状態です」とそのまま伝えてかまいません。理由の特定を待たずに、欠席連絡の方法や頻度を軽くする相談、学習面のフォローの相談は進められます。連絡の負担が大きいときは、電話ではなく連絡アプリやメールに変えられないか相談してみてください。
何か月も理由を話してくれません。カウンセリングを受けさせるべきですか
本人が嫌がるうちは無理に連れて行く必要はありません。まず保護者だけでスクールカウンセラーや自治体の教育相談を利用できます。
また、頭痛や腹痛など体の症状が続く場合は、小児科など医療機関への相談を優先してください。
理由を話すかどうかより、安心できる環境と関わってくれる大人を増やすことが、元気を取り戻すことにつながります。
