埼玉県にお住まいで、お子さんが学校に行けない日が続いているご家庭に、知っておいてほしい公的サービスがあります。埼玉県教育委員会が令和7年度から実施している「メタバース空間を活用した不登校児童生徒等支援事業(埼玉県メタキャンパス)」です。自宅からアバターで参加できる県の居場所で、朝の会やオンライン学習、カウンセラーへの相談までできます。この記事では、埼玉県の不登校メタバース支援の内容と申込み方法を県の公式情報だけで整理し、気になる出席扱いの考え方、そして対象外だったときの選択肢までまとめます。メタバース登校という仕組みそのものの解説は、こちらの記事で書いています。本記事は埼玉県の事業に絞ります。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/metaverse-toko/
自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は約10年間の不登校を経験しました。当時はフリースクールで学び、現在は不登校の専門家として本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしてきました。オンラインの居場所を運営する立場でもあるので、その視点から書きます。
埼玉県メタキャンパスとは?県公式情報でわかっていること
埼玉県メタキャンパスは、埼玉県教育委員会が令和7年度から取り組んでいる、公立小・中学校の不登校児童生徒等のための新しい居場所・学びの場です(埼玉県公式ページ https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/metaba.html )。学校に通えておらず、オンラインでの学習を希望する子どもが対象で、自宅のパソコンやタブレットからメタバース空間に入って過ごします。
県の公式ページによると、できることは主に次の4つです。
- 朝の会 生活リズムを整えることなどを目的に、10時25分頃から10〜15分程度、各フロアで行われています
- オンライン学習 TeamsやZoomを使って、各教科への学びのきっかけになる内容やレクリエーションが実施されています。個別学習用にオンライン学習支援教材「デキタス」も使えます
- オンライン相談 スクールカウンセラー(月・水・木・金曜日)とスクールソーシャルワーカー(火・木・金曜日)に相談できます。子ども本人だけでなく、保護者のみ、教職員のみの相談も可能です
- オンラインイベント 県立博物館・美術館や民間企業、大学、他の都道府県と連携した社会科見学などのイベントが定期的に開かれています
朝10時25分という時間設定を、僕は良い設計だと思っています。不登校の子にとって、平日の昼間はけっこうつらい時間です。僕自身、不登校だった頃に平日の昼間に外を歩いたら、近所の人に「学校は?」と聞かれました。夕方のチャイムが鳴ると同級生が帰ってくるので、その時間帯は外に出られませんでした。家にいながら、誰にも聞かれずに「今日の予定」が持てることは、想像以上に子どもの気持ちを守ってくれます。
ひとつ大事な注意点があります。この事業に申し込めるのは、参加市町村に在籍する児童生徒だけです。埼玉県内の全市町村が参加しているわけではなく、参加市町村の一覧(令和8年5月時点)が県の公式ページにPDFで掲載されています。お住まいの市町村が載っているか、まず確認してください。載っていない場合の動き方は、後半で説明します。
申込み方法と利用までの流れ
県の公式ページに示されている流れは次のとおりです。
- 説明動画を見る 県の公式ページに掲載されている事業の説明動画を、参加を希望する子どもと保護者で視聴します
- 参加申込書を在籍校に出す 「参加申込書(様式1)・利用にあたっての約束事項」に必要事項を書いて、在籍している学校に提出します
- IDとパスワードを受け取る 県がIDとパスワードを発行し、在籍している市町村の教育委員会を通じて知らせてくれます
- メタバース空間にログインする 案内されたURLからログインして利用を始めます
窓口が「在籍校」である点がポイントです。学校に行けていない状態で学校に書類を出すのは気が重いかもしれませんが、電話や保護者だけの訪問でかまいません。担任か教頭に「埼玉県メタキャンパスに申し込みたい」と伝えれば話が通ります。細かい運用は市町村ごとに担当窓口が置かれているので、わからないことは県ページ掲載の市町村担当窓口一覧から確認できます。利用料についての記載は県の公式ページにはありません。費用面が気になる場合も、市町村の担当窓口に確認しておくと安心です。
埼玉県のメタバース支援は出席扱いになる?
ここはいちばん誤解が生まれやすいところなので、正確に書きます。埼玉県メタキャンパスに参加すれば自動的に出席扱いになる、という制度ではありません。出席扱いを決めるのは、あくまで在籍校の校長です。
自宅でのオンライン学習を出席扱いにできる仕組みは、文部科学省の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」で示されています。保護者と学校の連携、計画的な学習プログラム、学習の記録といった要件を満たしたうえで、最終的に在籍校の校長が判断する形です(文部科学省 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm )。これは県の事業を使う場合でも変わりません。
だからこそ、申込みの段階で在籍校に「メタキャンパスでの活動を出席扱いにできるか、何を記録すればいいか」を先に聞いておくことをおすすめします。窓口が在籍校なので、申込書を出すタイミングがそのまま相談のチャンスになります。参加してから交渉するより、最初に確認しておくほうがずっとスムーズです。
出席扱いは、欠席日数の問題だけではありません。「自分のやっていることが認められている」という感覚が、子どもの自己肯定感を支えます。僕が2000人以上の子どもたちを見てきて確信していることのひとつです。
対象外だったとき・合わなかったときの選択肢
埼玉県メタキャンパスは良い事業ですが、誰でも使えるわけではありません。次のようなケースがあります。
- お住まいの市町村が参加していない 参加市町村の児童生徒だけが申込み対象です。県は「上記以外の市町村の実施については該当の市町村にお問い合わせください」としています
- 私立の小中学校に在籍している 事業の対象は公立小・中学校の不登校児童生徒等です
- 使ってみたが合わなかった アバターの空間が合う子もいれば、決まった時間の朝の会がプレッシャーになる子もいます
対象外だった場合、まず頼れるのが市町村の教育支援センター(適応指導教室)です。埼玉県内はほとんどの市町村に設置されていて、無料で通えて、通所が出席扱いになる例も多くあります。埼玉県内の教育支援センターを含む相談先は、こちらの記事に一覧でまとめています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-soudan-saitama/
外に出るエネルギーが戻ってきているなら、県内の通えるフリースクールを探すのもひとつです。市区町村別の一覧と補助金の情報はこちらにまとめています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/freeschool-saitama/
そして、市町村に関係なく自宅から使えるオンラインの選択肢が、次に紹介するオンラインフリースクールです。
クラスジャパン小中学園という選択肢
僕たちは、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」を運営しています。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。住んでいる市町村や在籍校が公立か私立かに関係なく、全国どこからでも自宅で参加できます。埼玉県メタキャンパスの対象外だったご家庭にも、県の事業と並行してもう一歩踏み込んだ伴走がほしいご家庭にも使える選択肢です。
いちばんの特徴は、ネットの先生(担任)が一人ひとりに付いて伴走することです。オンラインの空間に「いる」だけで終わらせず、日々のやりとりの中で学習計画を一緒に立て、学習記録を積み上げていきます。一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになり、この出席扱い制度はクラスジャパンが先駆けとなって学校や自治体と一緒につくってきました。出席扱いに必要な「計画的な学習」と「記録」を作りやすい仕組みです。
学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。
クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
https://www.cjgakuen.com/
今日できる一歩
今日できることは1つだけです。埼玉県の公式ページ( https://www.pref.saitama.lg.jp/f2209/metaba.html )を開いて、参加市町村一覧のPDFにお住まいの市町村があるか確認してください。載っていれば説明動画の視聴へ、載っていなければ市町村の教育支援センターかオンラインフリースクールの検討へ。どちらに転んでも、今日のうちに次の行き先が決まります。
まとめ
埼玉県の不登校メタバース支援「埼玉県メタキャンパス」は、参加市町村の公立小・中学校の子どもが自宅から使える、朝の会・オンライン学習・相談・イベントのそろった公的な居場所です。申込みは説明動画の視聴と、在籍校への参加申込書の提出から始まります。ただし出席扱いは自動ではなく、文部科学省の通知の要件を踏まえた在籍校の校長判断です。そして対象外でも、教育支援センターや担任が伴走するオンラインフリースクールという道があります。県の事業と民間の伴走は、対立するものではなく組み合わせられるものです。
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よくある質問
埼玉県メタキャンパスは誰でも利用できますか?
対象は、事業に参加している市町村に在籍する公立小・中学校の不登校児童生徒等で、オンラインでの学習を希望する子どもです。県内全市町村が参加しているわけではないため、埼玉県の公式ページにある参加市町村一覧の確認が最初の一歩になります。私立在籍や参加していない市町村の場合は、教育支援センターやオンラインフリースクールが選択肢になります。
埼玉県メタキャンパスの申込みはどこにすればいいですか?
在籍している学校が窓口です。県の説明動画を視聴したうえで、参加申込書に必要事項を書いて在籍校に提出すると、県がIDとパスワードを発行し、市町村教育委員会を通じて知らせてくれます。細かい運用は市町村ごとの担当窓口でも確認できます。
埼玉県メタキャンパスに参加すれば出席扱いになりますか?
自動的に出席扱いになる制度ではありません。文部科学省の通知に基づき、計画的な学習や学習記録などの要件を踏まえて、在籍校の校長が個別に判断します。申込書を出すタイミングで、出席扱いにできるか、何を記録すればよいかを在籍校に確認しておくのがおすすめです。
