不登校の回復期とは?段階ごとの特徴と、次の場所へ動き出すサイン

子どもが学校に行かなくなって数か月。最近、少し表情がやわらいできた気がする。会話も増えた。これは不登校の回復期なのだろうか。それとも一時的に元気なだけで、何か言えばまた閉じてしまうのか。「動き出すサイン」を見逃したくない一方で、急かして逆戻りさせるのも怖い。そんな状態ではないでしょうか。

先に結論をお伝えします。不登校の回復期とは、心のエネルギーがたまってきて「次の一歩」に向かう余力が出てきた時期のことです。ただし医学的な定義がある言葉ではなく、段階はきれいな階段のようには進みません。行ったり来たりを前提に、子どもが出すサインを見て、次の場所を「一つだけ」見せるのが親の役割です。この記事では、段階ごとの特徴、回復期に見えるサイン、そして「次の場所へ動き出す」ときに何をどの順で足すかを、当事者と運営者の両方の目線で整理します。

自己紹介が遅れました。小幡和輝と申します。僕は約10年間の不登校を経験しました。当時はフリースクールで学び、現在は不登校の専門家として本を書いたり、2000人以上の子どもたちとご家庭をサポートしてきました。

目次

不登校の回復期とは。3つの段階と、それぞれの特徴

不登校の経過は、大きく3つの時期に分けて考えると見通しが立ちます。名前は支援者によって多少違いますが、中身はおおむね共通しています。

  1. 不安定期(行き渋り・不登校のはじまり) 朝になると体調が崩れる、登校をめぐって親子の衝突が増える。本人も「行かなきゃ」と「行けない」の間で消耗している時期
  2. 休養期(エネルギーを回復する時期) 学校の話題を避け、部屋で過ごす時間が長くなる。昼夜逆転やゲーム漬けもこの時期に多い。外から見ると「何もしていない」ように見えるが、削られたエネルギーをためている
  3. 回復期(次の一歩に向かう余力が出てくる時期) 会話が増え、退屈を口にし、外の世界への関心が戻ってくる。ここで「次の場所」が視野に入ってくる

大切なのは、休養期を飛ばして回復期は来ないということです。文部科学省が所管する教育機会確保法の第13条には「個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえ」と明記されています(出典: https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380960.htm)。休むことは回復の前提条件であって、遠回りではありません。

もうひとつ押さえておきたいのは、支援の目標です。文部科学省の令和元年の通知では、不登校の子への支援は「学校に登校する」という結果のみを目標にするのではなく、社会的に自立することを目指す、という考え方が示されています(出典: https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm)。つまり回復期のゴールは「学校に戻ること」に限りません。子どもが自分の足で次の場所に向かえることが回復です。

回復期に見えるサイン。ただし「きれいな階段」では進まない

回復期に入ると、家庭の中で次のような変化が見えてきます。

  1. 会話の量と話題が変わる 学校以外の話題で、自分から話しかけてくることが増える
  2. 「暇」と言い出す 休養期は暇を感じる余裕すらない。「暇だ」は、外に向かうエネルギーが戻ってきた証拠
  3. 生活リズムが少しずつ戻る 昼夜逆転が完全には直らなくても、起きる時間が前より早くなる日が増える
  4. 将来や進路の話を自分からする 「高校ってどうなるの」「〇〇になるには」など、先の話が出る
  5. 外出のハードルが下がる コンビニ、図書館、親の買い物への同行など、家の外で過ごせる時間が増える

ここで親御さんに一番伝えたいのは、サインが出たあとの動き方です。回復期のサインは、一直線に強くなっていくものではありません。元気な日の翌日にまた部屋から出てこない、ということが普通に起こります。2000人以上のご家庭に関わってきて、「先週は前向きだったのに今週は元に戻った、失敗したのでしょうか」という相談はとても多いです。失敗ではありません。回復期は、良い日と悪い日を行ったり来たりしながら、良い日の割合がゆっくり増えていく時期です。週単位、月単位で見てください。

僕自身が運営するフリースクールでの話をします。半年間ひとことも話さなかった子が、eスポーツの大会の日に初めて声を出しました。保護者の方が泣いていました。この子の半年間は、外から見れば「何も変わっていない」ように見えたはずです。でも変化は、水面下でたまり続けて、ある日突然、形になります。回復期のサインが見えないからといって、何も起きていないわけではありません。

昼夜逆転の戻し方については、こちらの記事で解説しています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-chuya-gyakuten/

回復期に親がやりがちな3つの先回りと、言い換え方

回復期は、親にとって一番「動きたくなる」時期です。気持ちはよくわかります。ただ、ここでの先回りが逆戻りの引き金になりやすいのも事実です。よくある3つを、言い換えとセットで挙げます。

  1. 「じゃあ来週から学校行ける?」と登校に直結させる 子どもの「暇」は「学校に戻りたい」ではない。言い換えるなら「暇なら、こういう場所もあるよ」と、学校以外も含めた選択肢を一つ見せる
  2. 見学や体験をいくつも予約してしまう 選択肢が多いほど、子どもは選ぶ前に疲れる。一度に見せるのは一つ。断られたら引っ込めて、1〜2週間おいて別の一つを出す
  3. 元気な日に一気に話を進める 「今なら聞いてくれそう」という日は、親の期待が乗りやすい日。大事な話ほど短く切り上げて、子どもが考える時間を残す

回復期に必要なのは「安全な家」と「一つだけ見える次の場所」の両方です。家が安全でなければ外に出る足場がなく、次の場所が見えなければ足場があっても行き先がありません。先回りを減らすコツは、親が「提案する人」ではなく「見せる人」に回ることです。

親の声かけの基本については、こちらの記事にまとめています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/hutoukou-taiou/

次の場所へ動き出すときの順番。いきなり「毎日通う」を目指さない

回復期に「次の場所」を足すときは、負荷の低い順に並べると失敗が減ります。

  1. 家の中で人と関わる オンラインで同世代と話せる場、ネット上の担任とのやりとり。顔出しなしでも構わない
  2. 家の外に短時間、用事で出る 図書館、公園、買い物。目的が「人に会う」ではなく「用事」だから行きやすい
  3. 週1回・短時間から通える場所 対面やオンラインのフリースクール、教育支援センター(適応指導教室)など。最初から毎日通わなくていい
  4. 通う回数や時間を本人のペースで増やす 「もっと行きたい」と本人が言い出してから増やす。親が先に増やさない

この順番で大切なのは、1段飛ばしをしないことと、3に進んだからといって1や2をやめないことです。家の中の居場所は、外の場所が合わなかった日の戻り先になります。

僕がフリースクールに初めて行った日のことを、今でも覚えています。行く前日はドキドキしていました。着いたら誰も「なんで学校行ってないの」と聞かなかったのが衝撃でした。ゲームが好きな子がいて、すぐに仲良くなりました。回復期の子が次の場所に踏み出せるかどうかは、「そこで理由を聞かれないか」でほぼ決まります。見学のときは、子どもの様子だけでなく、その場所の大人が最初に何と声をかけるかを見てください。

日中の過ごし方の組み立て方は、こちらの記事で解説しています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-nitchu-sugoshikata/

なお、回復期かどうかの見きわめがつかない、体調面の不安が強い、といった場合は、スクールカウンセラーや自治体の教育相談、必要に応じて医療機関にも相談してください。回復期という言葉は便利ですが、子どもの状態を一つの型に当てはめるためのものではありません。

明光フリースクールという選択肢

明光フリースクール

平日の日中に通える場所として、僕たちは明光フリースクールを運営しています。明光義塾の個別指導の考え方がベースになっていて、一人ひとりに寄り添った運営をしています。プログラミングやeスポーツの時間もあり、「学校ではないけれど通う場所」として機能しています。

回復期のお子さんにとってのポイントは、週1回・短時間から始められることと、来た理由を聞かれないことです。「なんで学校行ってないの」から始まらない場所で、好きなこと(ゲームやプログラミング)を入口に同世代とゆるくつながる。先ほどの4段階でいう3つ目の場所として、本人のペースで回数を増やしていけます。学校の出席扱いや自治体の補助金の対象になる実績も多数あります。

新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。

明光フリースクールの詳細はこちら
https://freeschool.meikogijuku.jp/

まだ外に出るエネルギーがないお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。ネットの先生(担任)が伴走し、自宅から自分のペースで学べます。先ほどの4段階の1つ目、「家の中で人と関わる」を担う場所です。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。

学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。

クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
https://www.cjgakuen.com/

今日できる一歩
お子さんが次に「暇」「つまらない」と口にしたら、否定も提案の連打もせず、「そっか。じゃあ今度、こういう場所があるんだけど見てみる?」と選択肢を一つだけ見せてみてください。断られたら「わかった、また今度ね」で引っ込めて大丈夫です。見せたという事実が、子どもの中に残ります。

まとめ。回復期は「待つ」と「一つ見せる」を両方やる時期

不登校の回復期は、心のエネルギーがたまり、次の一歩に向かう余力が出てくる時期です。会話が増える、暇だと言う、外出のハードルが下がる、といったサインが目安になりますが、良い日と悪い日を行き来しながらゆっくり進みます。逆戻りは失敗ではありません。親の役割は、家を安全な場所に保ちながら、負荷の低い順に「次の場所」を一つだけ見せること。いきなり毎日通うことを目指さず、家の中から、短時間の外出、週1回の場所へと段階を踏んでいけば、子どもは自分の足で動き出します。

完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。

無料のLINE相談はこちら
https://www.obatakazuki.com/lp

よくある質問

不登校の回復期はどのくらいの期間で来ますか?

決まった期間はありません。数か月で回復期のサインが見える子もいれば、1年以上かかる子もいます。回復期という言葉には医学的な定義もなく、子どもによって経過は大きく違います。期間よりも、会話が増える、暇だと言い出す、外出のハードルが下がるといった変化を、週単位・月単位で見てください。

回復期に見えたのに、また部屋から出てこなくなりました。逆戻りですか?

逆戻りではなく、回復期によくある揺れです。回復期は良い日と悪い日を行き来しながら、良い日の割合がゆっくり増えていく時期です。元気な日に話を進めすぎていなかったかを振り返りつつ、家を安全な場所に保ち、次の場所の提案は一度引っ込めて、時間をおいてまた一つ見せてください。

回復期に入ったら、学校に戻るよう促したほうがいいですか?

学校への登校だけを目標にする必要はありません。文部科学省の通知でも、不登校の子への支援は学校に登校するという結果のみを目標にせず、社会的な自立を目指すという考え方が示されています。学校も含めた選択肢の中から、負荷の低い場所を一つずつ見せて、本人が選べる状態をつくることが優先です。

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この記事を書いた人

1994 年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し不登校の専門家として活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい/英治出版』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方/小学館』など計6冊。講演、メディア出演も多数。

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