「学校から通級を勧められたけれど、特別支援学級と何が違うのかわからない」「通級に通ったら、クラスでの扱いが変わってしまわないか心配」。通級指導教室という言葉は、学校の面談で突然出てくることが多く、戸惑う保護者の方がほとんどです。
先に結論をお伝えすると、通級指導教室とは、通常の学級に在籍したまま、週に1〜8コマ程度だけ別室などで一人ひとりの課題に合わせた指導を受けられる仕組みです。在籍するクラスは変わりません。特別支援学級との最大の違いはここです。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。
通級を検討する段階のご相談も多く受けてきたので、この記事では制度の中身と支援級との違い、利用の流れを整理します。
通級指導教室とは。在籍はそのまま、週数時間の個別指導
通級指導教室(通級による指導)は、通常の学級での学習におおむね参加できるものの、一部に特別な支援が必要な子どものための仕組みです。学校教育法施行規則に基づく制度で、国語や算数といった授業を抜ける形、または放課後などに、別室で専門の先生から指導を受けます。
指導時間は年間35〜280単位時間、週に換算すると1〜8コマ程度です。学習障害(LD)や注意欠如・多動症(ADHD)の場合は年間10単位時間から認められており、月1回程度の利用から始めることもできます。
制度上の対象は、言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害、注意欠如・多動症、肢体不自由、病弱・身体虚弱です。知的障害は通級の対象になっていません。
これは、知的障害のある子には一部の時間だけの指導よりも、特別支援学級などで継続的に実態に合った教育課程を組むほうが適している、という制度設計のためです。また、2018年度からは高校でも通級による指導が制度化されています。
制度の詳細は文部科学省の特別支援教育のページで確認できます。
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なお、お子さんが対象に当てはまるかどうかは、この記事で判断できるものではありません。発達や特性について気になることがあれば、学校への相談とあわせて、医療機関や自治体の発達相談窓口など専門機関にも相談してみてください。
特別支援学級との違い。「在籍」が変わるかどうか
支援級(特別支援学級)との違いは、3つに整理すると迷いません。
- 在籍する学級 通級は通常の学級に在籍したまま。特別支援学級は在籍そのものが支援学級に変わります
- 時間の割合 通級は週1〜8コマだけ別室で、残りは今までどおりクラスで過ごします。特別支援学級は支援学級で過ごす時間が中心です
- 教育課程 通級は通常のカリキュラムに個別の指導を上乗せする形。特別支援学級は子どもの実態に合わせて教育課程そのものを組み替えられます
つまり「クラスでの学習はおおむねできているが、特定の苦手に専門的な支援がほしい」なら通級、「教育課程ごと調整したほうが安心して学べる」なら特別支援学級、という関係です。
どちらが合うかは一度決めたら終わりではなく、子どもの状況に応じて毎年見直せます。発達障害・グレーゾーンの子の学びの場の使い分けは、こちらの記事で解説しています。
>>発達障害・グレーゾーンの子はフリースクールに通える?通級・支援級との使い分けと選び方
利用の流れ。担任への相談から始まる
通級の利用は、就学前なら自治体の就学相談、在学中なら学校への相談が入り口です。おおまかな流れは次のとおりです。
- 担任か特別支援教育コーディネーターに相談 「通級を検討したい」と伝えるところから始まります。各学校に特別支援教育の窓口となるコーディネーターの先生がいます
- 校内委員会での検討 お子さんの様子をもとに、校内で支援の方針が話し合われます
- 教育委員会への申請と判断 面談や検査、行動観察などを経て、教育委員会が利用の可否を判断します
- 利用開始 指導の曜日・時間を決めて通い始めます。個別の指導計画が作られ、担任と通級の先生が連携します
手続きの詳細や必要な検査は自治体によってかなり差があります。また、申し込みから利用開始まで数か月かかることも珍しくないので、迷い始めた段階で早めに動くのがおすすめです。
知っておきたい現実。設置校の偏りと「他校通級」
制度の説明だけではわからない、実際に使うときのつまずきどころが2つあります。
1つ目は、通級指導教室はすべての学校にあるわけではないことです。自分の学校に教室があれば「自校通級」ですが、ない場合は他の学校へ通う「他校通級」になります。
授業を抜けて保護者が送迎し、また学校へ戻る、という平日の移動が毎週発生するため、共働きのご家庭には想像以上の負担になります。
地域によっては、通級の先生が学校を回ってくれる「巡回指導」の形をとっている自治体もあります。
2つ目は、利用希望者が増えていて、地域によっては空きを待つ期間があることです。「申請したのにすぐ始まらない」は制度の不備というより、それだけ需要が伸びているということでもあります。待っている間を空白にしないために、次に書く「学校の外の選択肢」を並行して知っておいてください。
通級だけでは足りないと感じるとき
僕がご家庭の相談を受けていて感じるのは、通級を検討する背景には「クラスで過ごすことそのものがつらくなり始めている」というサインが隠れていることが多い、ということです。週数時間の個別指導で立て直せる子もいれば、それだけでは足りず、行き渋りが本格化する子もいます。
ここで思い出してほしいのは、学び方が合うかどうかで子どもは大きく変わる、ということです。僕は学校には行っていませんでしたが、クイズ番組やNHKの教育テレビで勉強したり、本を読んだりすること自体は好きでした。
「信長の野望」という歴史のゲームがきっかけで日本史にハマり、教科書の範囲をはるかに超えた大学生用の分厚い本を読んで探求していました。
学校の教室というひとつの形が合わないことと、学べないことは、まったく別の話なんです。
通級のような学校の中の仕組みと、学校の外の学びや居場所は併用できます。教育支援センター(適応指導教室)とフリースクールの違いと使い方は、こちらの記事で解説しています。
>>適応指導教室(教育支援センター)とフリースクールの違い。両方使っていいんです
クラスジャパン小中学園という選択肢
通級の空きを待っている間や、教室で過ごすこと自体がつらくなってきたお子さんには、オンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」があります。
ネットの先生(担任)が一人ひとりに付いて伴走してくれるので、集団の一斉授業が合わなかった子も、自宅から自分のペースで学習を組み立てられます。
2018年の開校以来、2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。
学習には、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートを使えます。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えてくれるAIなので、一斉授業のスピードについていけずに固まってしまう場面がありません。
学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きなので、使わせるのが不安な方も安心です。一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度もあります。
今日できる一歩
今日できる一歩は、連絡帳かメールで担任の先生に「特別支援教育コーディネーターの先生に、通級について一度相談したいです」と一文送ることです。誰に何を聞けばいいかわからない段階でも、この一文だけで学校側の窓口につながり、話が具体的に動き始めます。
まとめ
通級指導教室とは、通常の学級に在籍したまま、週1〜8コマ程度の個別指導を受けられる仕組みです。
在籍が変わる特別支援学級との中間的な位置づけで、LD・ADHDなら月1回程度から使えます。入り口は担任か特別支援教育コーディネーターへの相談。
ただし設置校の偏りや待機など地域差があるので、早めに動きつつ、学校の外の学びや居場所も並行して知っておくと安心です。
完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。
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よくある質問
通級指導教室は誰でも利用できますか?
制度上の対象は、言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害、注意欠如・多動症、肢体不自由、病弱・身体虚弱の子どもで、知的障害は対象外です。利用できるかどうかは、面談や行動観察をもとに学校と教育委員会が判断します。まずは担任か特別支援教育コーディネーターに相談してください。
通級に通うと成績や内申に影響しますか?
在籍は通常の学級のままなので、成績の評価も基本的に在籍学級で行われます。通級の指導は特別の教育課程として位置づけられ、抜けた授業の扱いや評価への反映は学校ごとに運用が異なるため、気になる場合は利用を始める前に学校へ確認しておくと安心です。
自分の学校に通級指導教室がない場合はどうすればいいですか?
他の学校の通級に通う「他校通級」や、通級の先生が学校を回ってくる「巡回指導」という形があります。どの形が使えるかは自治体によって異なるので、担任を通じて、または教育委員会の窓口に直接、地域の設置状況を確認してください。
出典
