3年生まではのびのびしていたのに、4年生になったら宿題を嫌がる、友だちの話をしなくなった、学童をやめたいと言う。「小4の壁」という言葉を検索したのは、そんな変化に戸惑った日ではないでしょうか。
先に結論をお伝えします。小4の壁とは、9〜10歳ごろの子どもが、勉強の抽象化、友だち関係の複雑化、放課後の居場所の変化という3つの変化に一度に向き合うことで、つまずきや自信の低下が起きやすくなることを指す言葉です。
病名でも診断名でもなく、成長の節目そのものです。乗り越え方の中心は「頑張らせる」ことではなく、比べない関わりと、学校の外にも安心できる場所をつくることにあります。
自己紹介が遅れました。小幡和輝です。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。
いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。
この記事では、小4の壁の正体を3つに分けて整理し、家庭でできること、そして「学校に行きたくない」に変わったときの動き方まで書きます。
小4の壁とは。9〜10歳で重なる3つの変化
小4の壁は、もともとは「学童保育が3年生までで終わり、4年生から放課後の行き場がなくなる」問題を指す言葉でした。
2015年の制度改正で学童の対象は小学6年生までに広がりましたが、実際には定員の関係で高学年が退所を求められる地域もあり、いまは学習面や人間関係も含めた、この時期のつまずき全体を指す言葉として使われています。
子どもの側で起きている変化は、次の3つです。
- 勉強が「見えないもの」になる 3年生までの算数は、数えられる、絵に描ける内容が中心でした。4年生では大きな数、わり算の筆算、小数と分数、面積、角度が一気に出てきます。国語も説明文の要約や、登場人物の気持ちを読み取る問題が増えます。頭の中で操作する力を求められ始めるので、ここで初めて「わからない」を経験する子が出てきます
- 友だちの世界が「グループ」になる 9〜10歳は、心理学で「ギャングエイジ」と呼ばれる時期にあたります。仲間だけの秘密やルールを持ち、親より友だちを優先し始めます。グループの内と外がはっきりするので、外れた子の孤立が起きやすく、しかも親には見えにくくなります
- 自分を他人と比べられるようになる この時期に「自分は人と比べてどうか」を客観的に見る力が育ちます。それ自体は成長ですが、テストの点、足の速さ、友だちの多さで自分を測り始め、劣等感を持ちやすくなります
3つが同時に来るのが小4の壁の厳しさです。勉強でつまずき、グループから外れ、それを自分で「だめだ」と評価する。この循環に入ると、家での口数が減る、宿題を隠す、学童や習い事を嫌がる、といった形で表に出てきます。
「小4から不登校が増える」は本当か。文部科学省の数字
この時期の難しさは、国の統計にも表れています。文部科学省の令和6年度の調査では、小学校の不登校児童数は137,704人で、学年別に見ると小3が19,460人、小4が25,322人、小5が31,979人と、学年が上がるごとに増えています。[1]
小4で急に跳ね上がるわけではありませんが、小3から小4にかけて約6,000人増えていて、壁の時期が登校のつらさにつながる子が一定数いることがわかります。
数字を出したのは不安をあおるためではありません。「うちの子だけがおかしい」のではなく、この学年の子どもが構造的につまずきやすいことを知っておいてほしいからです。つまずき自体は、成長の証拠です。
家庭でできること。「頑張らせる」より先にやる3つ
小4の壁への対処として「学習のフォローを手厚く」「自己肯定感を高める褒め方を」という助言をよく見ます。間違いではないのですが、僕は順番が大事だと思っています。
- 比べる言葉を家からなくす 「〇〇ちゃんはできてるのに」はもちろん、「前はできたのに」も比較です。この時期の子は、自分で自分を他人と比べて十分に傷ついています。家でまで比べられると、逃げ場がなくなります。比べるなら「先週の自分」とだけ比べてください
- 勉強のつまずきは「学年」ではなく「単元」で見る 4年生のわり算がわからない子の多くは、3年生のかけ算の九九か、2年生の繰り下がりで止まっています。4年生の内容を繰り返すより、止まっている単元まで戻ったほうが早く進みます。戻ることは負けではありません
- 学校の外に「評価されない時間」をつくる テストも順位もない場所で、好きなことに没頭する時間があると、「自分は人と比べてだめだ」という感覚が積み上がるのを止められます。習い事でも、地域の居場所でも、家で親と一緒に何かを作る時間でもかまいません
3つ目について、僕自身の話をさせてください。僕は学校には行っていませんでしたが、クイズ番組やNHKの教育テレビで勉強したり、本を読んだりすること自体は好きでした。
「信長の野望」という歴史のゲームがきっかけで日本史にハマり、教科書の範囲をはるかに超えた大学生用の分厚い本を読んで探求していました。学校の勉強でつまずいていても、「学ぶこと」そのものが嫌いになったわけではない。
この2つを分けて見てあげることが、小4の壁の時期にはとくに大切だと思っています。
自己肯定感を学校の外で取り戻す考え方は、こちらの記事で詳しく書いています。
>>子どもの自己肯定感が低いと感じたら。学校の外で取り戻すという考え方
家での関わり方に迷っている段階でも、LINEで相談を受け付けています。
「学校に行きたくない」に変わったとき。見るべきサインと動き方
小4の壁が登校のつらさに変わるとき、子どもは「学校に行きたくない」とはっきり言わないことが多いです。朝の準備が遅くなる、日曜の夜に元気がなくなる、頭痛やお腹の痛みを訴える。こうした形で出てきます。
ここで大事なのは、朝の腹痛や頭痛を「気持ちの問題」と決めつけないことです。9〜10歳は体も大きく変わる時期で、体の側に原因があることもあります。
症状が続くときは、まず小児科で体の状態を診てもらってください。そのうえで、学校のことがつらそうなら、担任やスクールカウンセラーに家での様子を伝えて、学校側の見え方と合わせてみてください。
不登校の前兆として現れやすいサインの全体は、こちらの記事にまとめています。
休みが続き始めたとき、知っておいてほしい制度が「出席扱い」です。文部科学省の通知に基づき、フリースクールや自宅でのICT学習が一定の要件を満たし、校長が認めれば、在籍校の出席として扱われます。[2]
小学生のうちは内申の心配はありませんが、「学校に行っていない自分」という感覚を薄めるうえで、この制度は意味を持ちます。要件の詳細はこちらの記事で解説しています。
>>「不登校でも出席扱いに?」文部科学省の通知で出席扱いになる3つの要件を徹底解説
クラスジャパン小中学園という選択肢
小4の壁でつまずいた子に必要なのは、「比べられずに、止まっている単元から学び直せて、誰かがそばにいる」環境です。僕たちが運営するオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」は、この3つを自宅からそろえるための場所です。
ネットの先生(担任)が一人ひとりにつき、学習だけでなく日々の様子を見ながら伴走します。学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた学習AIがあり、4年生のわり算でつまずいている子には、その手前の単元から順にたどれます。
答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、「わからない」で止まらずに自分の力で答えまで辿り着けます。
学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きなので、この年齢の子に端末を渡すことの不安も小さくできます。
2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。在籍校の出席扱いになった事例も多く、学校とのやりとりの進め方も一緒に考えます。休みがちになった段階での相談も歓迎しています。
小学生がオンラインで学ぶときの向き不向きは、こちらの記事で低学年と高学年に分けて整理しています。
>>オンラインフリースクールは小学生でも続く?低学年・高学年で違う向き不向きと親の関わり
今日できる一歩
今日できる一歩として、今夜の会話で「比べる言葉」を1つも使わないでみてください。
「〇〇ちゃんは」も「前は」も封印して、代わりに「今日、ちょっと面白かったことある?」とだけ聞いてみる。答えが「別に」でも構いません。
比べられない時間が家にあると知ることが、小4の壁の時期の子どもにとって、いちばんの土台になります。
まとめ
小4の壁とは、勉強が抽象的になる、友だち関係がグループ化する、自分を他人と比べ始めるという3つの変化が9〜10歳で重なり、つまずきや自信の低下が起きやすくなることです。文部科学省の統計でも、小3から小4にかけて不登校の人数は増えています。
家庭では、頑張らせる前に比べる言葉をなくし、勉強は学年ではなく単元で戻り、学校の外に評価されない時間をつくること。行き渋りに変わったら、体の状態を診てもらいながら学校と情報を共有し、出席扱いの制度や学校以外の学びの場も選択肢に入れてください。壁は、成長の節目です。乗り越え方は一つではありません。
「うちの場合はどう進めればいい?」という段階でも大丈夫です。まずは話を聞いてみるだけでも、気持ちが少し軽くなるはずです。
よくある質問
小4の壁は、いつまで続きますか?
期間には個人差がありますが、多くの子は5年生にかけて新しい人間関係や学習のペースに慣れていきます。
ただし勉強のつまずきは放っておくと5年生の割合や6年生の速さの単元まで引きずるので、止まっている単元まで戻る学び直しは早いほど楽です。
行き渋りや体の不調が週単位で続くときは、小児科やスクールカウンセラーに相談してください。
小4の壁で学校に行きたがらなくなったら、休ませていいですか?
休ませることは、その子の状態を守る選択の一つです。休んでいる間も、フリースクールや自宅でのICT学習が文部科学省の通知の要件を満たし、校長が認めれば出席扱いになる制度があります。学びと居場所を止めないことを先に考えてください。
クラスジャパン小中学園は小学4年生でも利用できますか?
利用できます。ネットの先生(担任)が伴走し、学習AIは4年生の単元の手前に戻って学び直せる仕組みです。在籍校の出席扱いになった事例も多くあります。
出典
