不登校の子の昼ごはん問題。働く親の現実的な回し方

「今日のお昼、どうしよう」。子どもが学校に行かなくなってから、毎朝この問題が頭をよぎる。仕事に出る前に何か作っておくべきか、コンビニのお金を置いていくだけでいいのか、そもそも一人でちゃんと食べているのか。不登校の昼ごはんは、小さいようでいて、働く親の心を毎日確実に削っていく問題です。

先に結論をお伝えします。昼ごはんは、毎日手作りしなくて大丈夫です。大事なのは「完璧な食事」ではなく、親が無理なく続けられる仕組みを作ること。そしてもう一歩進めると、昼ごはんはお子さんの「自分でできた」を増やすチャンスにもなります。

自己紹介が遅れました。学校に行かなかった期間が、僕にはおよそ10年あります。その間はフリースクールで学びました。いまは不登校の専門家として本を書いたり、対面やオンラインのフリースクールを運営しながら、2000人以上の子どもたちに関わっています。小幡和輝と申します。この記事では、たくさんのご家庭を見てきた立場と、家で昼を迎える側だった当事者の立場の両方から、不登校の昼ごはん問題の現実的な回し方をお伝えします。

目次

昼ごはん問題の正体は、食事ではなく「日中の設計」の問題

まず整理したいのは、親がつらいのは料理の手間そのものではない、ということです。文部科学省の調査では小中学生の不登校は34万人を超えていて(令和5年度・34万6,482人)、昼ごはんに悩む家庭はまったく珍しくありません。

出典: 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm

多くのご家庭の話を聞いていると、昼ごはんのつらさは3つの要素に分解できます。

  1. 物理的な負担 朝の準備に「昼の分」が毎日上乗せされる
  2. 栄養の心配 菓子パンやカップ麺ばかりになっていないかという不安
  3. 孤食への罪悪感 子どもが一人で食べている姿を想像してしまうつらさ

このうち1と2は仕組みで解決できます。そして3は、実は食事の問題ではなく「日中、子どもが一人でいること」の問題です。だから昼ごはんだけを頑張って改善しようとすると苦しくなります。後半で触れますが、日中の過ごし方全体をどう設計するかとセットで考えると、ぐっと楽になります。

日中の時間の組み立て方はこちらの記事で詳しく解説しています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-nitchu-sugoshikata/

働く親の現実的な回し方。よくある3パターン

僕が関わってきたご家庭で実際に回っているやり方は、だいたい次の3つに集約されます。どれか1つに決める必要はなく、曜日で組み合わせているご家庭が多いです。

  1. 前夜の作り置き+電子レンジ 夕飯を多めに作って1食分を冷蔵庫に入れておき、子どもがレンジで温める。追加の調理時間はほぼゼロで、栄養の心配も少ない基本形です。「温めるだけ」の状態にしておくのがコツで、「チャーハンを炒め直す」レベルでも省くと続きます
  2. 冷凍・レトルトの常備 冷凍うどん、冷凍おにぎり、レトルトカレー、パックご飯を子どもの手が届く場所に常備し、「この棚のものは昼に好きに食べていい」とルール化する。選ぶ楽しさが残るので、子どもの満足度が意外と高い方法です
  3. お金を置いて子どもに任せる 昼食代を渡して買い物から任せる。ただしこれは、外に出られる状態の子に限ります。この見きわめはとても大事なので、次のセクションで詳しく書きます

完璧を目指さないことも大切です。週5日のうち2日がカップ麺でも、夕飯でバランスを取れば大きな問題にはなりません。「昼は簡単に、夜でリカバリー」と決めてしまうと、朝の気持ちがずいぶん軽くなります。

なお、昼ごはんを食べる時間が毎日バラバラだと生活リズム全体が崩れやすくなります。昼夜逆転が気になる場合はこちらも参考にしてください。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-chuya-gyakuten/

「買いに行っておいで」が重荷になる子もいる。当事者だった僕の話

お金を置いて任せる方法について、当事者だった立場から1つ知っておいてほしいことがあります。

不登校だった頃、平日の昼間に外を歩いたとき、近所の人に「学校は?」と聞かれたことがあります。夕方のチャイムが鳴ると同級生が帰ってくるので、その時間は外に出られませんでした。家の外は、不登校の子にとって「なんで学校に行っていないの」と聞かれるかもしれない場所です。コンビニまでの5分が、親が思うよりずっと重い子もいます。

だから「お金を置いておくから買っておいで」がうまくいかなくても、怠けているわけではありません。外に出られる元気があるかどうかは回復の段階によって違うので、まずは家の中で完結する1や2の方法から始めて、外に出られる時期が来たら3に切り替える、という順番がおすすめです。

逆に、家の中でできることを任せるのは早い段階から有効です。冷凍うどんを自分で茹でる、卵かけごはんを自分で作る。そんな小さなことでも「自分の昼を自分で用意できた」という経験は積み重なります。不登校の時期は「できなかったこと」を数えがちだからこそ、昼ごはんは毎日必ずやってくる「できた」の機会になります。

罪悪感の正体は「一人で食べさせていること」。だから食事以外で解決できる

それでも残るのが、子どもが一人で昼を食べていることへの罪悪感です。仕事を辞めて家にいるべきなのか、と考える方もいます。

でも僕は、昼ごはんのために仕事を辞める必要はないと考えています。実際、不登校を理由に離職や休職をした保護者は4人に1人というデータもありますが、収入と親自身の世界を手放すことが、家庭全体にとってプラスに働くとは限りません。親の仕事と不登校の両立についてはこちらの記事で詳しく書いています。
https://freeschool.meikogijuku.jp/media/futoko-oya-shigoto/

罪悪感の正体が「日中ずっと一人」にあるなら、解決策は食事ではなく、日中に子どもとつながっている人を増やすことです。平日の日中に通える居場所ができれば、昼はそこで友達や大人と過ごせます。まだ外に出るエネルギーがない時期なら、オンラインで伴走してくれる先生がいるだけでも、「一人で家にいる」が「家で誰かとつながっている」に変わります。日中の孤独が薄まると、不思議なもので昼ごはんの悩みは「メニューをどうするか」だけの、ずっと軽い問題になります。

クラスジャパン小中学園という選択肢

オンラインフリースクール クラスジャパン小中学園

家にいる日中に伴走者をつくる方法として、僕たちはオンラインフリースクール「クラスジャパン小中学園」を運営しています。ネットの先生(担任)が一人ひとりに付いて伴走し、自宅から自分のペースで学べます。2018年の開校から、これまでに2000人以上の不登校の子どもたちをサポートしてきました。

日中に担任とのやりとりや授業のリズムができると、起きる時間と食べる時間も自然と整ってきます。「昼までに午前の課題をやって、昼ごはんを食べて、午後はゲームやプログラミングの部活」というように、昼ごはんが1日の区切りとして機能し始めるんです。親が仕事に出ていても、子どもの日中を見てくれる大人がいるという安心感は、働くご家庭にとって大きな支えになります。

学習面では、生徒一人ひとりにカスタマイズされた最先端のAIサポートがあります。答えをすぐ教えるのではなく、ヒントを出しながら一緒に考えるAIなので、親が仕事でそばにいられない時間でも、わからない場面でつまずかずに答えまで辿り着けます。学習以外の用途には使えないフィルタリング設定付きで安心です。一定の要件を満たせば在籍校の出席扱いになる制度もあり、クラスジャパンはこの仕組みを学校や自治体と一緒につくってきた先駆けです。

クラスジャパン小中学園の詳細はこちら
https://www.cjgakuen.com/

外に出るエネルギーが戻ってきたお子さんには、平日の日中に通える明光フリースクールもあります。通う日はお昼をまたいで居場所で過ごせるので、昼ごはん問題そのものが「家の外」に出ます。新規の校舎もどんどん展開していますので、お近くの教室についてはまずはお問い合わせください。
https://freeschool.meikogijuku.jp/

今日できる一歩

今夜、お子さんに「明日の昼、何食べたい?」と1つだけ聞いてみてください。リクエストに応えるためではなく、昼ごはんを「親が用意して置いていくもの」から「子どもと一緒に決めるもの」に変える最初の一歩です。「なんでもいい」と返ってきたら、「じゃあ冷凍うどんと、レトルトカレー、どっちがいい?」と二択にすると答えやすくなります。

まとめ

不登校の昼ごはんは、毎日手作りしなくて大丈夫です。作り置きと冷凍・レトルトの常備で仕組み化し、外に出られる段階の子には買い物から任せる。そして罪悪感の根っこにある「日中ずっと一人」は、食事ではなく、日中につながれる人と場所をつくることで解決できます。

それでも「うちの子の場合はどう組み立てればいいんだろう」と迷うことがあると思います。完璧な正解を最初から選ぶ必要はありません。迷っている段階の相談こそ歓迎です。ひとりで抱え込む前に、話してみてください。

無料のLINE相談はこちら
https://www.obatakazuki.com/lp

よくある質問

不登校の子の昼ごはんは毎日手作りするべきですか?

毎日手作りする必要はありません。前夜の作り置きや冷凍うどん・レトルトの常備で十分です。栄養が気になる日は夕飯でバランスを取れば大きな問題にはなりません。親が無理なく続けられる仕組みを優先してください。

昼食代を置いて子どもに買いに行かせてもいいですか?

外に出られる状態のお子さんなら、買い物から任せるのは自立の練習になります。ただし平日の昼間の外出は「学校は?」と聞かれる不安があり、想像以上にハードルが高い子もいます。うまくいかなくても責めず、まずは家の中で完結する方法から始めるのがおすすめです。

子どもが一人で昼を食べているのがつらいです。仕事を辞めるべきでしょうか?

昼ごはんのために仕事を辞める必要はないと僕は考えています。罪悪感の根っこは食事ではなく「日中ずっと一人でいること」なので、平日の日中に通える居場所や、オンラインで担任が伴走してくれるフリースクールなど、日中につながれる人を増やすことで解決できます。

X

\ X更新中! /

note

\ 明光みらい公式note /

Instagram

\ Instagram /

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

1994 年、和歌山県生まれ。10年の不登校を経験。不登校当時はフリースクールで学び、その後18 歳で起業。SNS を活用したマーケティングを専門とし、東京2020 オリンピック・パラリンピックでは総フォロワー1000万人以上の公式SNSアカウントを運用。不登校への偏見を払拭し、不登校になっても取り残されない社会を目指し不登校の専門家として活動。オンラインフリースクール『クラスジャパン小中学園』の代表として、これまでに2000人以上の不登校生徒をサポート。著書に『学校は行かなくてもいい/英治出版』『学校では教えてくれない 稼ぐ力の身につけ方/小学館』など計6冊。講演、メディア出演も多数。

目次